投稿日:2025年7月12日

日本の化粧品コスメ商品や食品飲料雑貨のモンゴルへの輸出方法と成功事例

はじめに:日本の高品質商品がモンゴルで選ばれる理由

日本の化粧品コスメ、食品飲料、雑貨は、品質の高さや信頼性を背景に世界中で人気を集めています。
特にモンゴル市場は近年、経済成長や都市化、生活スタイルの変化に伴い、日本製品へのニーズが高まっている注目市場です。

本記事では、製造業の現場で携わってきた筆者の経験を生かし、日本の化粧品コスメや食品飲料雑貨をモンゴルに輸出する具体的な方法、そして成功事例を実践的な観点から詳しく解説します。
これから海外展開を考えている企業やバイヤーを目指す方、日本製品を扱うサプライヤーにとって有益な情報を提供します。

モンゴル市場の基礎知識と魅力

モンゴルの消費者動向

モンゴルの首都ウランバートルを中心として、急速な都市化、人口の増加、若年層の増加が進んでいます。
また、所得の増加や西欧志向の高まり、新しいライフスタイルへの関心が高く、特に美容や健康志向が年々強くなっています。

近年、SNSやインターネットの普及で日本製品へのアクセスが容易になったこと、また日本への観光ブームの影響もあり、「信頼性」「品質」「安全性」がモンゴル消費者の購買動機として根付いてきました。

日本製品の強みと市場ニーズ

モンゴルで人気なのは、化粧品であれば敏感肌向け/ナチュラル成分配合、食品飲料であれば無添加・健康志向の商品、雑貨ではデザイン性や使いやすさ、長寿命といった日本ならではの特徴が評価されています。

モンゴル現地には偽物や品質の低いものも多く出回っており、本物の「MADE IN JAPAN」ブランドへの信頼は非常に厚いのが実情です。

モンゴルへの輸出フロー:基本の「3ステップ」

1.現地ニーズの徹底的リサーチ

モンゴル市場は日本と大きく異なる点が多いため、まずは市場調査が欠かせません。
現地の小売店やバザール、モールで売れている商品を確認し、現地パートナーや商社から情報収集しましょう。
SNS調査を並行して行い、現地消費者のレビューや好みを把握するのも重要です。

現地バイヤーやサプライヤーへのヒアリング、商談会への参加も効果的です。

2.現地パートナー探しと販路構築

多くの日本企業が壁となるのが販路やパートナー探しです。
モンゴルは言語や商習慣の違い、法規制の壁が存在します。
現地に根付いた輸入代理店や小売チェーンと信頼関係を築き、中長期の視点でパートナーシップを持つことが成功の鍵です。

また、インターネット販売(EC)、現地イベントや日本製品の展示会も販路拡大の手段として有効です。

3.輸出手続き・品質保証対応

モンゴルへの輸出は、商工会議所やJETROのサポートも得つつ、現地の輸入規制やラベリング要件を正確に理解し対応しましょう。
化粧品であれば成分表記、食品では原材料の表示、雑貨では安全基準への適合といった法規制をクリアすることが絶対です。

現地語(キリル文字)併記や、必要な通関書類の用意、衛生・品質証明の発行なども一つひとつ丁寧な準備が求められます。
この点は現場経験者ほど細心の注意が必要です。

昭和的アナログ業界でも通用する“現場主導型”の戦略

製造業、とくに中小企業では「まず輸出ありき」でモノを送り出そうとしがちですが、これは失敗のもとです。
大量生産大量輸出という昭和の商習慣から脱却し、「売れる場所・売れる理由・売れる量」の3つを現場視点で分析することが重要です。

現地市場では細やかなパッケージ改良やプロモーションの工夫、日本での当たり前が現地で通用しないことが多々あります。
たとえば、化粧品のパフや容器が寒冷地仕様かどうか、食品であれば常温保存可能かどうか、雑貨の取扱説明書はモンゴル語対応かといった細部が「現場主導型」ならではのポイントです。

バイヤーの本音を掴む:信頼関係+サービス

モンゴルのバイヤーは「日本企業の対応力」「信頼性」「アフターフォロー力」を重視します。
これまでの現場経験から、単なる価格競争でなく「この企業に任せて安心」という信頼構築が長期の取引に繋がることを痛感しています。
納期遵守や品質管理はもちろん、現地のトラブルにも柔軟に対応できる体制がライフラインになります。

アナログ的な「顔と顔を合わせた商談」、きめ細かなサポートなど、人間味あふれるやりとりは今も変わらず重視されています。

モンゴル輸出の具体的な流れ

1. 輸出申請・商品登録

まずは現地の商事登録(Product Registration)を完了させます。
化粧品、食品の多くは事前に規制当局(モンゴル保健省、食品安全庁)へのサンプル提出・成分チェックが義務づけられています。

食品であれば賞味期限、原材料の明記。
化粧品なら製造証明や成分証明、雑貨なら素材・用途の記載徹底が必要です。

計画的な準備が、現地での検査トラブル・通関遅延を予防します。

2. 輸送手配:陸路と空路、それぞれの注意点

モンゴルは内陸国であり、空路(ウランバートル空港)か中国経由の陸路(鉄道・トラック)となります。
数量やコストに応じて最適な方法を選定し、梱包や保管にも細心のケアが求められます。

寒冷地仕様のパッケージや凍結対策など、現場発想でトラブル回避策を立てることが必須となります。

3. 通関・現地流通

モンゴル税関では各種帳票・証明書のチェックが厳格に行われます。
ここで間違いや不足があると、商品が数週間足止めとなるケースも少なくありません。
現地パートナーと連携し、書類確認や必要証明書の事前準備を徹底しましょう。

また、現地ディストリビューターへの納入後は棚卸管理や販促活動(店頭販促、SNS拡散など)も重要な実務となります。

成功事例:現場主導で切り拓いた日本企業の実践

成功事例1:化粧品のカスタマイズ輸出

ある中堅化粧品メーカーは、モンゴルの厳しい乾燥・寒冷環境に合わせて、既存の人気商品を保湿力強化/パッケージ防寒仕様に部分改良しました。
現地リサーチを徹底し、モンゴル語の説明書やサンプル販促も取り入れることで差別化に成功。
競合他社との差別化が功を奏し、現地大手ドラッグストアへの定番採用を実現しました。

成功事例2:食品飲料の「ストーリー重視」販売

日本食ブームに着眼した食品メーカーは、単なる輸出ではなく「日本の食卓の物語」「安全・安心の追求」といったストーリー展開を現地プロモーションに盛り込みました。
モンゴルメディアを活用し現地の食文化と日本食のコラボイベントを展開。
現地インフルエンサーや料理イベントとのコラボがクチコミにつながり、輸出量が前年比2倍以上に伸びました。

成功事例3:雑貨分野での“現場力”アピール

日本の生活雑貨メーカーは、現地パートナーとの連携強化と「日本の工場現場のこだわり」を動画やSNSで可視化しました。
商品の機能紹介だけでなく、職人の手仕事や品質チェックの現場映像を現地消費者に見せることで、商品への信頼感を構築しました。
結果、現地ネット通販サイトで人気ランキングにランクインし、継続的な受注に成功しています。

今後の製造業が目指すべき新たな地平線

日本の製造業はいま、変化の激しい世界市場の中で、現場主導の実践知・柔軟性・そして徹底した現地適応力が問われています。
モンゴル市場はその“実験場”とも言える新たなフロンティアです。

最新デジタル技術とアナログな現場経験、両輪を活かすことで、従来の大量輸出モデルから「現地に寄り添った価値提供」へと大きく舵を切る時代が訪れています。
現場目線での「人」「物」「情報」への投資を怠らず、着実な信頼を積み上げていくことが、長期的な海外展開の成功には欠かせません。

まとめ:モンゴル輸出成功のために今からできること

日本の化粧品コスメ、食品飲料、雑貨をモンゴルへ輸出する際は、徹底した市場調査と現地パートナーとの連携、法規制対応、そして現地消費者本位の“現場主導型”対応が成功の土台となります。
単なるスペックや価格だけでなく、日本企業の「現場力」と「誠実な対応力」がこれからの海外展開の鍵となるでしょう。

モンゴル新市場への挑戦は、製造業にとっても今こそ大きな成長機会です。
現場力を最大限に活かし、グローバルな大地をともに切り拓いていきましょう。

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