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投稿日:2025年6月6日

水処理分野での製品調達におけるインド市場の活用方法

はじめに:製造業とインド市場の新たな可能性

近年、日本の製造業は人手不足や原材料費の高騰など、かつてない危機感に直面しています。
加えて、DX(デジタルトランスフォーメーション)進展の波やサプライチェーン多様化の必要性に迫られ、従来からの調達先や生産体制を見直す動きが一層加速しています。
その中でも、水処理分野はインフラの老朽化や環境規制強化によって、今後ますます注目される市場です。

従来は国内や中国・アセアン各国が主な調達先でしたが、昨今急成長を遂げている「インド市場」の存在感が急速に高まっています。
なぜ今、インド市場は日本の製造業にとって調達バリューが高いのでしょうか。
また、その活用にはどんなポイントや注意点があるのか、現場目線で徹底的に掘り下げていきます。

インド市場を取り巻く現状と製品調達の特徴

インドの工業発展と水処理分野の現状

インドは世界有数の人口大国であり、近年では「世界の工場」「IT大国」としても飛躍的な成長を示しています。
政府主導のMake in India政策も功を奏し、機械、化学、プラント装置など多岐にわたる分野で、欧米や日本の大手サプライヤーも多数進出しています。

とりわけ、水処理分野においては、人口増加に伴うインフラ整備や環境規制が強化されたことで、大手から中小まで多くのローカル企業が生まれています。
逆に言えば、質の高い配管部材やポンプ、膜フィルター、センサーなど、ニッチな部材の内製化や調達ニーズも爆発的に増えているのです。

インドサプライヤーの強みと弱み

インドのサプライヤーには大きく2つの特徴があります。

ひとつは、コスト競争力の高さです。
豊富な労働力、鉱物などの資源供給力に支えられ、金属部品やプラスチック成型品、繊維フィルターなどは、中国やASEAN諸国に匹敵する驚異的な価格で調達できます。

もうひとつは、欧米市場やグローバル商品のOEM・ODM生産で鍛えられているため、最新の国際規格(ISO等)やRoHS、REACHといった規制対応力も備えている点です。
とくに日系企業向けの商習慣や品質基準に精通した大手サプライヤーであれば、現地スタッフや通訳を含めたきめ細やかなサポートも期待できます。

一方、弱みとしては「工程管理力のバラつき」や「現場のトラブル時における対応スピード」が挙げられます。
たとえば、日本独特の細やかな品質管理や納期順守意識、フォロー体制などは、まだ発展途上の部分が多いのが実情です。
相手をよく見極め、現地の監督・監査体制を整えることは必須です。

水処理分野における具体的なインド活用例

配管部材・バルブ調達のケース

水処理プラントでは、SUS製や樹脂製のパイプ、各種バルブが大量に使われます。
これらは従来、中国・台湾・ベトナムなどからの調達が中心でしたが、近年インドの主要都市(ムンバイ、アーメダバード、プネなど)を拠点とする高品質サプライヤーが台頭しています。

例えば、日本や欧米の厳しい飲料水規格(NSF, JWWA等)をクリアしたステンレス配管を、インド現地で安定して量産する事例も増えてきました。
しかも、生産拠点の分散化という観点から、中国リスクや海上運賃高騰といった懸念も軽減できます。

水処理薬品・ろ材の調達戦略

活性炭やイオン交換樹脂、多孔性ろ過材、凝集剤など、水処理プラントの消耗品は調達コストに大きく影響します。
インドには、世界有数の活性炭メーカー(ココナッツシェル由来等)や樹脂メーカーが集積しています。

成分管理やトレース管理、出荷前サンプル検査まで徹底すれば、品質も十分合格点を狙えます。
特に製品ラベルや梱包仕様、日本語対応などを細かく取り決めることで現場負担を減らすことができます。

現場目線でみるインド市場調達のポイント

日本流の「管理力」をいかに伝えるか

日本のものづくりは「現場力」「かんばん方式」に代表されるような、きめ細やかな管理と納期順守、ロスを出さない思考に支えられてきました。
インド市場で調達を成功させるには、この「日本流の品質マネジメント」をいかに現地サプライヤーに根付かせるかがカギとなります。

たとえば、定期的な品質監査、製造プロセスへの現地立ち合い、QCサークルの共同実施など、「共に現場を改善していく」姿勢が重要です。
一方的な管理・押し付け型ではなく、互いの強みを活かし合うことで中長期的な信頼関係が生まれやすくなります。

現地パートナーとのアライアンス戦略

昭和時代の調達は「取引先を支配・管理」する意識が強かったですが、現代は「パートナーとして共に育つ」アプローチが成果を最大化します。
特にインドでは、家族経営や親子・親族間の意思疎通が強く、トップ同士のリレーション構築が非常に効果的です。

現地で信頼できる商社やエージェントを介すことで、日本式品質管理やトラブル時のバックアップ体制をスムーズに導入できる場合もあります。
また、サプライヤーの教育や現場改善支援を直接行うことで、現場力が飛躍的に伸びる事例も増えています。

アナログ文化とDX化の“せめぎ合い”に勝つ

日本の製造業現場は、「根回し」「現場見学」「お客様の声」など、いまだに極めてアナログな意思決定や調達フローが残っています。
インド市場を活用するうえでも、実地訪問や現地スタッフとの会食・雑談を通じた信頼構築が、今なお大きな価値を持っています。

とはいえ、近年急速に普及するデジタルプラットフォーム(RFQ自動化、原価シミュレーション、品質レポートのオンライン共有等)と組み合わせて、調達プロセス全体をスピーディーかつ透明化することが不可欠となっています。

また、越境ECサイトや専業B2Bマーケットプレイスを活用することで、より広範囲な選定・見積・契約スキームが可能となっています。
この“アナログとDXのせめぎ合い”をどうバランスさせるかこそ、今後の現場力向上のポイントです。

リスクマネジメントと今後の成長戦略

リスク分散の観点からみたインド調達

コロナ禍やロシア・ウクライナ情勢を経て、サプライチェーンリスクは企業経営の最優先課題となりました。
中国・アセアン依存からの脱却や、複数地域からのサプライ分散は必須です。
インド調達は、このリスクヘッジ策としても有効です。

一方で、地政学リスクや現地物流、災害時のバックアップ体制など、想定外の事態も起き得ることを充分に認識し、代替サプライヤーや在庫戦略、緊急時のコミュニケーションルート確保が大切です。

バイヤー視点・サプライヤー視点の深化

「自社にとって本当に必要なサプライパートナー像は何か?」を再定義し、価格・品質だけでなく納期・柔軟性・開発協力力まで含めた多面的評価が求められます。

また、サプライヤーの立場で考えれば、「なぜバイヤーが今インドを選ぶのか」「どこに安心と不安があるのか」を把握し、独自の付加価値提案が強い武器になります。

インド市場の活用は単なるコストダウンではなく、「ものづくりの新たな成長エンジン」「現場改革の起爆剤」と捉えることが重要です。

まとめ:日本の製造業現場がインドに学ぶもの

日本の製造業がインド市場を積極的に活用することで、価格優位性だけではなくグローバル・スタンダードな品質改革、現場改善文化のさらなる進化につなげることができます。

「管理力」「協業力」「リスクマネジメント力」「デジタル適応力」という4つの現場力を融合させ、令和時代の新たな製品調達戦略を描いていきましょう。
水処理分野という激動の分野こそ、インド市場の知見と現場体験が大いなる力となるはずです。

明日の日本の現場に、新たな追い風を――。
是非、今こそインド市場のポテンシャルを製品調達の現場に活かし、次代の製造業バイヤー・サプライヤー像を、一緒に切り拓いていきましょう。

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