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企業内ナレッジマネージメントシステム普及のための販売代行企業の選定方法

目次
はじめに:製造業におけるナレッジマネージメントの重要性
製造業の現場では熟練者の知恵やノウハウが暗黙的に伝承されてきましたが、人的リソースの流動化や世代交代が進むなか、企業内ナレッジの体系化・活用が急務となっています。
ナレッジマネージメントシステム(KMS)が導入されることで、知識が現場全体で共有され業務効率や品質、そしてイノベーションにつながる土壌が整います。
しかし日本の製造現場では、昭和型のアナログな情報伝達や属人的管理が根強く、KMSの普及・定着には高いハードルがあるのが実情です。
導入後の継続利用・現場定着には「職人気質」や独特の現場文化などを理解し、それに寄り添った販売・サポート体制が不可欠です。
そのため多くのメーカーは、KMSの販売代行企業を活用し、自社に合った導入・サポートを模索しています。
本記事では、私自身が製造業の現場で培った視点をもとに、KMS普及を成功させるための販売代行企業(パートナー)の選定方法について解説します。
KMS販売代行企業選定における時代背景と課題認識
なぜ販売代行企業の選定が重要なのか
自社でKMS導入プロジェクトを完結できる企業はごくわずかです。
特に多拠点展開や中小製造業では、専門の販売・サポートベンダーとタッグを組む必要性が高まっています。
昨今KMSベンダーの拡大やSaaS系サービスの台頭により、販売パートナーの質と量はともに向上しましたが、その一方で「成果が出ない」「現場定着しない」といった失敗例も増加しています。
特に昭和的価値観(現場主義・形式主義・紙文化など)が色濃く残る業界では、単なるシステム販売や初期導入支援だけでは現場活用に至りません。
そのため、販売代行企業(以降パートナーと呼ぶ)の選定基準は、従来の「導入実績」や「サポート体制」だけでなく、新たな視点が求められているのです。
製造業特有の現場事情と落とし穴
製造業の現場では「現場の肌感覚」が意思決定を左右するケースが多く、IT部門主導では現場活用まで辿り着かないことが多々あります。
たとえば、現場リーダーが不安や抵抗感を持ったままプロジェクトが進むと、形だけの活用に終わります。
また、情報漏えいリスクや現場独自の帳票文化への配慮、カスタマイズ性、階層ごとのユーザビリティ、さらにはシステムが現場業務のどこにどうフィットするかなど、多層的な視点が必要です。
これらの事情を汲み取ることのできるパートナーを選定することが、最大の肝となります。
販売代行企業選定:6つの必須チェックポイント
1.製造業現場に対する深い理解と経験値
KMS販売パートナーを選ぶ際、IT知識やシステム実績以上に重要なのは、「現場目線」での理解力です。
たとえば、「なぜ紙ベースが残るのか」「暗黙知をどう引き出すか」「班長・現場長の意思決定フローはどうなっているか」など、現場特有の習慣や心理的障壁を掴めているかを確認しましょう。
ベストなのは、製造業向けシステム導入の実体験を有し、現場ヒアリングや課題抽出のノウハウがあるパートナーです。
現場OJTや改善活動、品質管理手法(TPMやQC活動)などを語れる担当者がいれば、なお望ましいです。
2.「昭和文化」に寄り添ったコミュニケーション力
日本の工場には今もなお、「ハンコ・紙文化」「前任者からの口伝」「阿吽の呼吸」などなかなか変わらない文化が根付いています。
パートナーに求められるのは、こうした文化の否定やトップダウン導入ではなく、段階的な意識改革と現場コミュニケーションです。
役職者・ライン従業員・パートなど様々な立場の「なぜ・どうしたら納得するか」を対話し、少しずつ現場浸透させる地道なアプローチができるかを見極めましょう。
3.マルチベンダー目線での提案力と柔軟性
KMSソリューションは各社さまざまな強み・特徴があり、業務内容・規模・現場の成熟度により最適解は異なります。
ある程度パッケージ化された製品も多いですが、現場事情に合わせてカスタマイズや他システム連携も柔軟に対応できるかどうかが肝となります。
製造業×ITに精通し「一社ベンダー」押しではなく、各製品のメリット・デメリットを説明できる中立的な視点があるかどうか、これは事前ヒアリングや提案段階で厳しく見極めてください。
4.現場定着に特化した教育・運用ノウハウ
どんなに良いシステムでも「現場が使いこなす」「自然と利用が生まれる」仕組みづくりが最重要です。
パートナー企業が、OJT形式の教育コンテンツや、現場ロールプレイ、フォローアップ会などの“実践型サポート”を用意しているか確認しましょう。
また、導入初期の現場不安・抵抗感にどう対処してきたか、過去事例として失敗/成功事例を共有してもらい、「現実的な現場定着率」をあえて問いただすことも有効です。
5.長期にわたるサポート体制とイノベーション提案力
KMSは導入して終わりではなく、運用・改善・進化を継続することが求められます。
販売・サポート体制(導入後のハンズオン、トレーニング、定期レビュー、活用促進会議)の充実度はもちろん、現場の声を製品開発・改善にも反映できる「フィードバックループ」があるかをチェックしましょう。
イノベーション(たとえばAI連携、DX化支援、現場ラボ運営など)への対応力も、今後の長い目で見て重要な指標です。
6.現場目線でのROI(投資対効果)検証力
製造現場にとって、KMS導入は「投資」であり、数字でメリットを説明できなければ現場は納得しません。
「見かけのコスト」ではなく、「現場でどんな無駄が減り、知見が蓄積・改善でき、最終的にどんな利益が生まれるのか」を可視化できるパートナーを選びましょう。
数字で示してくれる担当者は、現場視点でプロジェクトを牽引できます。
パートナー選定プロセス:現場目線で成功確率を高めるには
社内ヒアリング・現場ミーティングの徹底
選定にあたり最も重要なのは、IT部門・経営層だけの視点でなく「現場の不安・抵抗感」「今の業務プロセスの不便」「属人的な情報伝達への課題」など、現場の肌感覚を引き出すことです。
実際の販売パートナー候補と現場メンバーが直接面談し、具体的なオペレーション課題や現場疑問を相互に投げ合う「お試しミーティング」を強く推奨します。
大きな現場であれば、小規模グループでの「現場ワークショップ」や「使い勝手実演」も有効です。
提案フェーズで“現場想定”のプランを必ず提示させる
各パートナーに対しては、「具体的な現場課題」「紙で残っている部分」「人の動き・判断プロセス」などに即したプランを提示させることが重要です。
パワーポイントだけで終わるシステムベンダーではなく、実際の業務フローや現場の写真・業務手順に沿った説明資料を提案書に盛り込めるかを条件に加えましょう。
同時に、現場管理職・ベテランメンバーのコメントや不安点を正直にストレートに伝え、それに対しどう応えるかを見てください。
現場トライアル(PoC)で本気度と定着性をテスト
可能なら、「一部工程・一部ライン」でトライアル導入を行い、パートナーの現場サポート力・改善提案力を見極めることをおすすめします。
アドバイスやQA対応の質、現場の困りごとへの向き合い方で、パートナーの本気度と適性は短期間でも浮き彫りになります。
トライアル後は現場全体でしっかりレビューし、パートナーの追加説明や再提案を求めるサイクルを設けましょう。
まとめ:理想の伴走型パートナーとともに現場変革を進める
KMSの導入・普及は、単なるシステム更新やデジタル化とは次元の異なる「現場変革」です。
旧来の業務文化や心理的障壁を乗り越え、現場の知恵と技術を組織全体の力に昇華させるには、現場に根付くパートナーの力が不可欠です。
売り手都合や最新技術だけを押し付けるベンダーではなく、現場の声と文化に寄り添いながら、着実な一歩をともに歩んでくれる“本物の伴走者”を見極めてください。
長年の製造現場経験から断言できることは、現場を軽視しない、現場を理屈抜きで尊重するパートナーこそ、KMS普及を成功に導くキーマンになるということです。
現場も、経営も、技術も、全員が納得し共に歩む改革を――。
その第一歩として、ぜひ本記事を今後の選定活動に役立ててください。
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