- お役立ち記事
- 新FMEA手法でリスクを低減する未然防止ワークシート活用法
新FMEA手法でリスクを低減する未然防止ワークシート活用法

目次
はじめに:製造業におけるリスク低減の重要性
製造業の現場では、日々多くのリスクと隣り合わせで業務が進行しています。
調達購買、生産管理、品質管理、工場の自動化といった各部門も、安定した生産や納期・コスト・品質の維持向上のために、さまざまな工夫や改善を重ねています。
しかし、昭和の時代から根強く続くアナログな現場風土において、過去の経験や勘に依存した「リスク管理」では対応できない課題も増えています。
グローバル競争の激化、顧客要求の多様化、さらにはサプライチェーン全体の複雑化により、より体系的で再現性のあるリスク低減策が求められています。
そこで近年注目されているのが、「新FMEA手法」と「未然防止ワークシート」です。
本記事では、20年以上現場を経験した筆者が、現場目線でこの新しいアプローチの本質と効果的な活用方法を、SEO観点も交えながら徹底解説します。
FMEAとは何か?昭和的FMEAから「新FMEA」への進化
従来型 FMEA の限界
FMEA(故障モード影響解析)は本来、設計や工程に潜む不具合を未然に洗い出し、リスクを評価し対策を立てる手法です。
一方、日本の多くの製造業では、FMEAが「やらなければならない帳票作業」「指摘されてから書き足す台帳」のように形骸化し、部門間でシートが共有されず、リスクが現場に伝わらないまま運用されてきたケースも目立ちました。
新FMEA手法の特徴と本質
新FMEAでは、「リスクを未然に防ぐ」ことにフォーカスし、現場・設計・調達・品質が情報をオープンにし、ワークショップ形式でリスク洗い出し・評価・対策をチームで行います。
主な特徴は下記の3点です。
1. 評価指標(発生、重大、検出)を明確に定義し根拠ある数値化を行う
2. ヒューマンエラー要因や依存構造など現場実態に即した視点の導入
3. 書類作りでなく「現場実装・運用重視」のストーリー設計
この進化は、アナログな文化や縦割り組織が根強い業界でも、デジタル化や働き方改革の波に押される形で広がりつつあります。
未然防止ワークシートとは?なぜ今これが求められているのか
未然防止ワークシートは、「失敗学」「ヒヤリハット」のエッセンスを取り入れ、
FMEAよりもっと現場の作業レベルに落とし込みやすい実践的なツールです。
失敗が起きるイメージを活用し、事故や不具合、納期遅延といった事象の背後に潜む「当たり前の落とし穴」を、作業者自ら書き出して可視化します。
新しいリスク低減として注目されるポイントは以下の3点です。
1. ミスやトラブルの原因・背景を広く深く考える(ラテラルシンキング的視点)
2. 管理者と現場メンバーが共にワークシートを見ながら改善策を議論できる
3. 複数職種(生産、調達、品質、営業)が共通言語として使える
昭和の頃は「ミスは現場の気合や熟練でゼロにしろ」とされがちでしたが、未然防止ワークシートを活用することで
個人任せになりがちなリスク管理を組織的な未然防止活動として根付かせることができます。
未然防止ワークシート×新FMEAの実践活用フロー
STEP1:現場の具体的な業務・工程を棚卸しする
最初に現場で日常的に発生している作業内容・取引・コミュニケーションをリストアップします。
この過程でできるだけ部署横断で「現場の生の声」を集めることが肝心です。
調達購買であれば、発注から納入までの一連のプロセス、生産管理であれば生産計画・進捗管理・在庫管理・物流、品質管理なら測定・検査工程など、それぞれの実際の業務フローを書き出します。
STEP2:失敗事例、ヒヤリハットを可視化する
各工程・業務について「過去に実際起きた失敗」「ヒヤリとした場面」「慣れや油断に起因しそうな潜在リスク」を全員でブレストします。
例えば
– 発注ミスによる納期遅延
– 納入品質のばらつき
– 検査ミスによる不適合流出
– 伝票の転記ミスや意思疎通不足による誤認
これらは一見、単純でありがちなミスに見えますが、現場目線で掘り下げると「しくみの穴」が浮かび上がります。
STEP3:新FMEA手法によるリスク評価・重大度・発生頻度分析
新FMEAのフレームワークに則り、
「そのリスクが発生した場合、どのくらい重大か?」「どのくらい頻繁に起きるか?」「現状の検出策でどれだけカバーできているか?」を定量的に評価します。
ここで重要なのは、机上の空論にせず過去の事実や数字をベースに評価することです。
例えば「月1ペースで発生」「10件に1回」などできる限りデータで議論します。
STEP4:未然防止ワークシートで具体的対策を策定
高リスク、高重大度の項目について、
「どう防ぐか?」「仕組みとして組み込むには?」「誰がいつ何をするか?」
など、知恵出しと設計を進めます。
たとえば、バーコードによる入力自動化や、チェックリストによる多重防御、現場標準の見直し、ルール教育の徹底など、アナログ・デジタルの垣根を越えて、現実的かつ運用しやすい未然策を具体化します。
STEP5:現場運用&継続的な見直し、ナレッジ蓄積
策定された未然防止策は、現場で運用して初めて意味があります。
ワークシートは「書類の山」ではなく、掲示やIT化で現場スタッフがいつでも参照できる仕組みを用意し、実践しながら課題や運用上の突き返しを定期的にアップデートします。
また、未然防止ワークシートを横展開・標準化することで、自社内のナレッジが蓄積・共有できるようになります。
日本のアナログ業界に根強く残る課題と新FMEA手法の未来
なぜ帳票や経験頼りから抜け出せないのか?
製造業の現場で感じるのは、「書類を揃えること」「いつもの同じやり方」が強く重視され、突発事象や新たな課題への柔軟な対応が後回しになる傾向です。
また、中堅ベテラン人材の「自分の経験に基づくリスク想定」が暗黙知化し、若手やサプライヤーに伝承しきれない問題もあります。
こうした課題には、帳票や指示書を「未然防止ワークシート」「新FMEA」といったオープンなツールに置き換え、
多様なメンバーがリスクと対策を自律的・協働的に考える文化が不可欠です。
現場が変わる、組織が変わる力を持つ新FMEA・未然防止ワークシート
未然防止ワークシートの活用は、単なる不具合・クレーム削減を越え「人が知恵と創造でつながる組織」づくりにつながります。
これは競争力を高め、人材定着やエンゲージメント向上にも直結します。
また、バイヤー・サプライヤー間の情報共有やリスク洗い出しの共通言語としてワークシートが機能することで、サプライチェーン全体の信頼も高まります。
バイヤー・サプライヤー・現場の三者協働で進める未然防止のポイント
– バイヤー目線:共通言語としてのリスク管理、協力会社との透明な情報共有
– サプライヤー目線:現場工程・材料調達の中での潜在リスク発見と具体的な低減提案
– 現場スタッフ目線:自分たちの日々の気づき、失敗を全体の教訓に昇華する仕組み化
この三位一体で「失敗を隠さず、先回りで手を打ち、チームで価値を高める」文化が根付いていくのです。
まとめ:新FMEA手法と未然防止ワークシートの現場実践がもたらす未来
製造業は今、従来のアナログ文化や個人依存から脱却し、全員が知恵を持ち寄りリスクを先読みして未然に防ぐ組織へと変革する分岐点に立っています。
新FMEA手法と未然防止ワークシートの導入は、単なる帳票業務やチェックリストではありません。
現場の個々の声を引き出し、部署を超えた協創を生み、現実的かつ実装可能な対策へと結実させる、まさに「現場力とナレッジの可視化・共有」の最前線手法です。
失敗やヒヤリを「責める」文化から「価値ある知恵」として組織共有する一歩を、ぜひこのワークシートと新FMEA手法で踏み出してみてください。
製造業に勤めるすべての方が、これからの日本のものづくりを変える主役となるのです。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)