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投稿日:2026年1月4日

冷却配管部材の内面粗さが冷却性能に影響するポイント

はじめに

冷却配管部材の内面粗さは、意外と見過ごされがちなポイントです。
しかし、現場で長年働いてきた私の経験から断言します。
この「内面の滑らかさ」こそ、冷却システムの性能に直結する非常に重要な要素です。

近年は、省エネや品質安定化のために冷却効率向上への要求がますます高まっています。
一方で、まだまだ昭和時代のままの設計や調達基準が残り、内面粗さを定量的に管理していない工場も珍しくありません。
本記事では、冷却配管・冷却系部材の内面粗さがどのように冷却性能へ影響し、どうすれば実践的に改善できるのか、現場目線で徹底解説します。

冷却配管部材の内面粗さとは?

内面粗さの定義

配管部材の内面粗さとは、配管の内側表面のデコボコ(凹凸)の度合いを数値化したものです。
一般的には「Ra(算術平均粗さ)」や「Rz(最大高さ)」などの指標で表現され、μm(マイクロメートル)単位で管理されます。

なぜ冷却配管の内面粗さが問題になるのか

冷却水や冷媒を流す配管では、内面粗さが大きいほど流れが乱れやすくなり、流体抵抗が増します。
この影響で伝熱効率や流量が低下し、結果的に冷却性能が落ちてしまうのです。
特に最近の高効率・省エネ・高稼働率を求める現場においては、ほんの僅かな粗さの違いが大きな差を生むこともあります。

内面粗さが冷却性能に与える主な影響

流体抵抗と圧力損失の増加

配管の内面が粗い場合、流体は配管の微小な凹凸にぶつかるたび、乱流や渦が発生します。
これが圧力損失(ヘッドロス)の増加要因となり、必要流量が低下したり、冷却塔やポンプの消費電力が増大したりと、悪影響が出ます。

伝熱効率の低下

内面が粗い場合、流体が壁面に沿って綺麗に流れないため、伝熱抵抗が増加します。
その結果、熱交換器や冷却配管で想定した熱移動量が達成できず、設備全体の冷却能力が発揮できません。
金型冷却や成形機など、厳密な温度管理が求められる分野では致命的な問題となります。

スケーリングや腐食リスクの増大

表面の凹凸が多いと、流体中の異物やスケールが引っかかりやすくなります。
結果として、スケール付着や局部的な腐食の発生リスクが高まります。
これは長期間の稼働で設備寿命の低下やメンテナンス増大につながります。

製造業現場の「昭和的な常識」からの脱却

「配管はただの通路」という思い込み

長年、冷却配管は「水が流れればどれも同じ」と軽視されがちでした。
その背景には、耐圧や漏れなど安全面が最優先された昭和的な調達基準の名残があります。
多くの現場では図面指示が「材質・公称径・厚み」だけで、内面粗さにまでは言及しません。

最近の業界傾向

近年、半導体・自動車・精密機器といった分野では冷却精度の要求が厳しくなっています。
また、カーボンニュートラルやSDGsの流れでエネルギーロス削減が大命題です。
そのため、「内面粗さの規定値指示」や「研磨済み部材」、「電解研磨管」などを採用する事例が増えています。
しかし、業界全体には部分的な浸透にとどまり、旧来型の現場ではまだまだ「見た目でOK」な文化も根強いのが現状です。

なぜバイヤーやサプライヤーは内面粗さを気にするべきなのか

バイヤー目線:製品の「本質」を押さえる

バイヤーが単にカタログスペックや価格だけで配管部材を選ぶ時代は終わりました。
使用する現場で「冷却性能・フロー安定性・メンテ工数・設備寿命」にまで視点を拡げることが求められるのです。
内面粗さ管理による長期的なTCO(総所有コスト)削減は、これからの調達の新たなスタンダードと言えます。

サプライヤー目線:競争力の源泉に

自社製品の「内面粗さ」管理を徹底し、それをデータや実機テストで示すことができれば、他社との差別化ポイントとなります。
実際、食品・医薬・精密分野ではすでに「粗さ測定表」や「研磨後Ra保証」などが求められ、ビジネス上の武器になっています。
今後は一般製造業でもその流れが本格化するでしょう。

現場で実感する「僅かな粗さの差」の影響

私自身、工場長として様々な設備導入・改修を経験してきました。
例えば、内面粗さRa3.2μmとRa0.8μmの冷却パイプを同じ配管長・同じポンプ条件で使用した場合、流量や冷却温度安定性で明確な差が出ます。
とくに製品歩留や生産サイクルへの効果は想像以上で、たった一度の配管選定ミスが年間で数百万円ものロスに直結する事例もありました。

内面粗さを実務でコントロールするポイント

設計段階の注意点

・仕様書や図面で具体的に「Ra値」「研磨度」「仕上げ種別」を明記する
・込まれる流体の性質(腐食性、成分等)に応じて素材や仕上げ方法(機械研磨・電解研磨など)を最適化する

調達・バイヤーの工夫

・メーカーやサプライヤーのカタログ数値だけでなく、実際のサンプル評価・第三者検証結果も取り寄せる
・量産時にはロットごとの粗さ測定データ提出を要求することでばらつきをチェックする

現場運用での注意

・据付後の清掃工程(溶接スラグ、切粉の除去)を怠らない
・長期運転による劣化・スケーリングへの定期点検で粗さ維持を図る
・不具合発生時は「配管の内面粗さ」をチェック対象に加える

省エネルギー・品質向上と内面粗さの関係

現場目線では、「冷却ラインの抵抗減=ポンプ電力削減」「温度バラツキ減=品質安定」につながります。
冷却水コストや装置の突発停止による損失削減にも直結します。
最新のカーボンニュートラル関連申請でも、「配管部の高性能化による省エネ改善案」として評価対象となる事例が増えつつあります。

管理職・工場長が知っておくべき冷却配管戦略

・新規設備では「内面粗さ保証の標準化」を設計標準・調達基準に盛り込む
・メンテナンス工程で配管の分解・再組立時に再仕上げ・洗浄をルーチン化
・「内面粗さ=コスト増」だけでなく、トータルの省エネ・生産性・品質保証メリットを現場スタッフに周知徹底する

まとめ:付加価値の源泉は細部に宿る

冷却配管部材の内面粗さは、直接「モノづくり」の結果に影響する重要な品質要素です。
多忙な現場では軽視しがちですが、時代が要求する「高効率・省エネ・高品質」への近道でもあります。
バイヤー、設計者、サプライヤーの皆さんには、ぜひ「内面粗さ管理」という視点を意識して、これからの製造現場の競争力向上につなげてほしいと思います。

配管の内側一つにも勝負の分かれ目がある――昭和から令和への現場改革は、細部への目配りから始まります。

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