- お役立ち記事
- イベント消耗品を減らす判断が営業心理に与える影響
イベント消耗品を減らす判断が営業心理に与える影響

目次
はじめに:イベント消耗品削減の議論が製造業の現場にもたらすもの
製造業に従事していると、さまざまな場面で「コスト削減」の声が上がります。
特に、社内外のイベントや展示会で使用される「イベント消耗品」への経費、無駄ではないかと見なされがちです。
一方で、こうした削減の決定が現場担当者や営業担当者、さらにはバイヤーやサプライヤーの心理にどのような影響を与えるのか、深く考えたことはあるでしょうか。
昭和の時代から続く「大量に配って覚えてもらう」というプロモーションの発想が根強く残る一方、持続可能性やデジタル化が加速する現代において、イベント消耗品を本当に減らすべきか、それとも現場目線で再定義すべきなのか。
この記事では、実践的な知見と業界動向を交え、イベント消耗品削減というチョイスが営業心理、さらには製造業全体の価値創造プロセスにどのような影響をもたらすのかを掘り下げていきます。
イベント消耗品とは何か?その役割と業界に根付く慣習
イベント消耗品の定義と主な種類
イベント消耗品とは、展示会や社内イベント、販促活動などで一時的に使われ、使い捨てや短期間で役目を終える物品を指します。
具体例として、パンフレット、カタログ、ノベルティ(ボールペン、メモ帳、エコバッグなど)、名刺入れやファイル、ブース装飾品、プラスチックカップや紙皿などがあります。
なぜこれほどまでにイベント消耗品が使われてきたのか
昭和~平成初期にかけて、他社との差別化や「お土産文化」、モノを通じた企業認知獲得の手段として消耗品配布が盛んに行われてきました。
「とにかく目立つ」「数が正義」という価値観が根強かった時代背景もあり、準備量やアイテムの質よりも「とにかく持って帰ってもらう」ことが優先されてきました。
しかし、令和に入りSDGsや環境配慮、経費最適化の波にさらされ、従来型プロモーションの見直しが余儀なくされています。
それでも、長年の慣習はなかなか変わらず、営業現場では「何も配らなければ不安」「名刺代わりにノベルティが必要」といった心理が根強いのも事実です。
イベント消耗品削減の動きが加速する背景
SDGs・サステナビリティ意識の高まり
昨今では社会全体でサステナビリティ意識が高まっています。
使い捨てプラスチックや過剰な包装が問題視される中、企業にも「環境配慮型経営」が求められています。
とくに産業界や大手メーカーでは、消耗品削減が率先されるようになってきました。
コスト削減とデジタル化の進展
原材料費や物流コストの高騰を背景に、「本当に必要なプロモーションか?」を精査する企業が増えています。
加えて、パンフレットの電子化やオンライン商談の拡大に伴い、物理的な配布物の必要性自体が見直され始めています。
営業ツールもiPadやタブレットに置き換わるなど、現場の商談スタイル自体が変化している状況です。
消耗品削減が営業心理に与える影響とは
「武器を持たずに戦え」という現場の不安
イベントでの消耗品削減策が打ち出されると、営業担当者は「何を武器にお客様の心を掴めば良いのか」と不安になります。
長年、カタログやノベルティが「話しかける口実」「記憶に残る仕掛け」であっただけに、それが使えないとなると現場の心理的ハードルは一気に高まります。
例えば、「まず、お土産だけでも…」という伝統的な値踏みのしやすさが消え、お客様とゼロベースでのコミュニケーション力が問われます。
慣れない営業パーソンや、従来型のアナログ営業スタイルに慣れた層には、この変化が大きなプレッシャーとなりがちです。
新たな営業のあり方へのジレンマ
営業現場としては、「消耗品を減らすことが本当に成果に直結するのか」という疑問も生まれます。
一方で、効率化や本質的な付加価値提案へ移行する好機と捉える声もあります。
漠然とした「不安」と「期待」が交錯する中で、現場はゆっくりとでも新しい営業プロセスへの適応を迫られています。
バイヤー・サプライヤーから見た消耗品削減とその裏側
バイヤーの本音:経費管理と合理化の追求
イベント消耗品の削減案を推進する担当バイヤーは、「経費削減」「合理的な購買活動」「持続可能性への貢献」をモチベーションに掲げています。
しかし、彼らも現場と経営層、サプライヤーの間で板挟みになることが多いのです。
営業現場からは「モチベーションが下がる」「お客様への付加価値が減る」と反発され、サプライヤーからは「新規発注が減る」と嘆かれます。
バイヤーとしては、「本当に必要な分だけ調達しつつ、現場の士気やブランド価値を守る」最適解を求め続けています。
サプライヤーの心境:変化と再生への挑戦
サプライヤー側も、イベント消耗品需要の減少は死活問題に直結します。
従来の製造・納品スタイルでは先細りが見えているので、サプライヤーもエコ素材の開発や多用途提案、デジタル連動商品などを積極的に模索しています。
バイヤーの購買ロジックや現場の営業心理を汲み取りながら、持続可能な共創を目指す姿勢が今まで以上に強く問われています。
現場目線で考える:本当に減らすべきもの、残すべきもの
消耗品をただ減らせばよいのか?見極めの重要性
イベント消耗品は「ただのノベルティ」「配って終わりのアイテム」と捉えられがちです。
しかし、営業戦略や現場でのコミュニケーションにおける「ツール」として、依然として有効な場合も多いです。
過去20年以上、現場でさまざまなイベント施策を経験し、手応えを感じてきた立場から言えば、「減らせるもの/残すべきもの」の見極めが何より大切です。
ROI(費用対効果)思考で考える
消耗品ごとに、「誰に向けて」「どのくらい」「いつ必要か」「成果にどうつながるか」を冷静に評価しましょう。
例えば、決裁権者との商談やニッチ市場の顧客には限定版や高品質なアイテムが有効ですし、一般的な来場者にはデジタル配布や「場づくり」にリソースを寄せるのも戦略です。
現場主導で集計・検証→バイヤー・サプライヤーと情報共有し、納得感ある削減策に落とし込むことが、士気低下防止にもつながります。
「ブランド体験」の視点を持つ
令和の営業活動は「ブランドの接触体験」を重視する傾向にあります。
ノベルティや配布物が「体験型プロモーション」や「サービス満足度向上」と連動している場合、それ自体がブランド価値となります。
モノの有無だけでなく、「何が顧客体験なのか」「いかに心に残せるのか」を全体設計として考えることが、営業現場の心理的不安を払拭する鍵となります。
消耗品削減時代の新たな営業力・調達力とは
デジタルとアナログのハイブリッド戦略
パンフレットやノベルティをデジタルQRコード化、アフターフォローのサンクスメールに置き換えるなど、物理的コスト・環境負荷を抑えながら接点は多様化できます。
一方で、ここぞという勝負どころではアナログな配布物のインパクトも依然大きい。
「どこでどれだけ使うか?」の戦略的使い分けが今後の営業・調達の差別化ポイントです。
チームで最適化をはかるオープンコミュニケーション
削減施策を一方的に押しつけるのではなく、営業、調達、サプライヤーが問題意識や現場の声にオープンに耳を傾けることが重要です。
属人的な経験だけに頼らず、データ利活用やフィードバックを共有、共通の目標(例:ブランド価値毀損のないコスト最適化)を定めれば、売り手・買い手の心理的負担も減少します。
このプロセス自体が「脱・昭和アナログ」への第一歩です。
まとめ:現場目線・業界動向で考える新しい価値創造
イベント消耗品削減の潮流は、営業現場の心理やバイヤー・サプライヤー間の力学にも大きな影響を与えています。
ただ単に「減らす」ではなく、「本当に必要な体験・ツールとして何を残すべきか」、現場の知見、データ、顧客視点をもとに最適解を共に模索することが求められます。
デジタル化とサステナビリティが加速する今、営業現場も調達担当もサプライヤーも、「業界の慣習にとらわれないラテラルシンキング」で、新たな地平線へとともに歩み出すべきタイミングです。
イベント消耗品を「経費の無駄」として敬遠するのではなく、「営業心理・ブランド体験の一部」として最適化し直す。
それこそが、製造業の未来価値創造につながる一歩である、と私は確信しています。