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TRIZ発想法で研究開発速度を上げる革新的アイデア創出術

目次
TRIZ発想法とは何か?製造業の現場を変えるイノベーションの起点
TRIZ(トゥリーズ)は、ロシアの発明家ゲンリッヒ・アルトシューラー氏によって開発された問題解決・発明理論です。
正式名称は「発明的問題解決理論(Theory of Inventive Problem Solving)」で、長年にわたる膨大な特許分析をもとに体系化されています。
これまで日本の製造業では、「改善」や「カイゼン活動」の名の下、現場に根付いた着実な進化が続けられてきました。
一方で、既存の枠組みを抜け出す「イノベーション」や、他業種発想を持ち込む「ラテラルシンキング」には、やや消極的な風土も根強く残っています。
TRIZは、そのような昭和アナログ的な「慣れ親しんだ道だけを歩む」思考から一歩踏み出し、革新的なアイデアの創出や研究開発のスピードアップを現場力で実践するフレームワークです。
本記事では、製造業バイヤーやサプライヤー、研究開発者、さらに今後の現場を担う方々向けに、TRIZ発想法の基本概念から、現実の現場で役立つ活用方法まで分かりやすく解説します。
TRIZ発想法の基本:なぜ革新的なアイデアが生まれるのか
特許の膨大なデータから導かれた“解決パターン”
TRIZが革新的なのは「優れた発明や新技術には、必ず“科学的な解決パターン”が存在する」と考える点です。
アルトシューラー氏とその研究グループは、何十万件もの特許と発明事例を調査し、人間の発想に頼った“ひらめき”に依存せず、数十のシステマティックな問題解決原則を抽出しました。
現場でありがちな「あたりまえの改善」や「過去データに基づく回答」から脱却し、本質的な“矛盾を解消するアイデア”を体系的に生み出すことが、TRIZの最大の特長です。
TRIZのコアとなる「発明原理」
TRIZ発想法には、「40の発明原理」という中核パターンがあります。
これは「分割」「逆転」「組み合わせ」「事前作用」「ダイナミック化」「局所品質」「空間配置の変更」など、さまざまな発想の型です。
これらをアイデア発想時に適用するだけで、“まったく違う視点から課題に挑める”ようになります。
特に製造現場で頻繁に起こる「コストダウンしたいが品質は落とせない」「生産効率を上げつつ安全性も強化したい」といった矛盾(トレードオフ)に対して非常に強力です。
TRIZが工場現場・購買・生産管理で役立つ理由
現場の「思い込み」や「当たり前」を打ち砕くラテラルシンキング
TRIZの真髄は、「非常識」に挑むラテラルシンキングに他なりません。
多くの製造業現場では、長年の経験やベテランの勘が重視される傾向があります。
それ自体が強みである一方、「この方法しかない」「これは不可能だ」といった固定観念が生まれやすいのも事実です。
TRIZの40原理を使うと、「この工程とこの工程、逆にしてみたら?」「あえて一部の無駄を許容したら?」といった発想が促され、従来の延長線上では思いつかない斬新な解決策が見えてきます。
バイヤー視点:調達・購買力強化にもTRIZは使える
購買・調達部門にとってもTRIZ発想法は武器になります。
例えば、サプライヤーから「もうこれ以上コストダウンは無理です」と言われたとき、現場の制約条件だけでなく、TRIZ原理に照らせば“技術的・工程的に見逃していた代替策”を検討できます。
発明原理「分割」を使い、コストのかかるパーツのみ外部調達に切り替える。
「組み合わせ」で異なるサプライヤーの強みを統合する。
「他用途転用」で、まったく違う業種の部材や工程技術を調達に活かす──。
こうした事例は実際の購買現場でも大きなブレイクスルーとなることが増えています。
現場力を底上げするTRIZの導入ステップ
とはいえ「TRIZを使えといわれても、具体的にどう始めれば?」と思う方も多いでしょう。
とくに中小工場や伝統的な職人気質の現場では、「型にはまり過ぎるのでは?」と懸念されることも珍しくありません。
実際には、TRIZは標準化のためのツールではなく、「現場知」に新たな視点をプラスし、実行力を加速するメソッドです。
最初は、「一番困っている課題について、TRIZ原理に照らしてみる」ことから始めてください。
たとえば、生産リードタイム短縮の課題なら、
・分割して段取りを同時進行できないか
・工程の順番を逆転できないか
・外注や自動化機器との組み合わせでワンランク上の効率化ができないか
こうした検討だけでも、現場に新鮮な風が吹きます。
昭和の“改善”から抜け出すには?TRIZがもたらす新たな働き方
“擦り合わせ文化”と“抜本的転換”の共存
現代日本の製造業は、「現場の泥臭いノウハウ」=擦り合わせ文化に支えられてきました。
これは他国に真似できない日本の強みでもある一方、急速なグローバル競争やDX(デジタルトランスフォーメーション)時代には“抜本的な業務改革”も求められています。
TRIZは、現場の改善力・現場発想の底力に、新たな「俯瞰と飛躍」の論理を与える技術です。
属人的な暗黙知に頼るのではなく、課題・矛盾・制約を“システマティックに俯瞰し、真逆の発想で切り拓く”。
結果として、
・既存設備の限界を超える運用最適化
・サプライヤーとの協業によるコスト・品質革命
・現場従業員からアイデアが続出する組織風土
こうした現場主導のイノベーションにつながります。
TRIZを現場に根付かせる3つのヒント
1.小さな成功体験を積み重ねる
最初からすべてをTRIZで置き換えようとせず、まずは1テーマ、1プロジェクト単位で適用してみましょう。
ちょっとした工程改善や、既存案のブレイクスルーから手応えを掴んでください。
2.現場目線の「困りごと」にTRIZを適用
トップダウンでのお題目ではなく、実際に「現場が今、一番困っている」テーマにTRIZをあててみる。
不良削減・納期短縮・属人的工程の標準化など、即効性の高い分野での実績が、組織内浸透の近道です。
3.バイヤーやサプライヤーとの連携で新価値創造
一社で完結する時代は終わりました。
バイヤーやサプライヤーと共に、「この矛盾、一緒に乗り越えるにはどんなTRIZ原理が使えるか?」といったワークをする(共創ワークショップなど)。
「自分たちだけの発想」にとどまらない発見、副次的アイデアの創出に繋がります。
TRIZ活用の現場リアル事例と今後の展望
実例:現場発・TRIZアイデアで新製品・新工程が生まれる
実際、筆者の経験では次のようなTRIZ活用例があります。
・自動車部品の組立工程。「分割×組み合わせ」原理により工程を同時並行化し、納期30%短縮。
・調達部門。「他用途転用」原理を使い、IT業界の検査技術を調達して不良流出ゼロ達成。
・生産管理。「局所品質」原理で、全体最適よりも要所要所の可視化・自動化に投資し、無理のない自動化を達成。
TRIZ発想法の今後:製造業イノベーションとDXの交差点へ
近年ではTRIZはAIやIoT、データサイエンスとも融合しつつあります。
従来の技巧や現場勘と、AIによるパターン認識・ビッグデータ解析を組み合わせることで、「過去にはなかった矛盾や制約」をダイナミックかつ精緻に解決する道が開きつつあります。
また、“変化が激しい時代”においてこそ、「一つ一つ確実に積み上げるカイゼン」と「劇的に飛躍するTRIZ的発想」とをブレンドする現場改革が、ますます重要になります。
まとめ:TRIZはすべての製造業現場の“武器”になる
TRIZ発想法は、ただの“理論”でも“海外の珍しいフレームワーク”でもありません。
人と組織の可能性を解き放つ“新しい常識”、現場のプロフェッショナルがさらに一段階成長するための「思考の道具箱」です。
思考停止や惰性から抜け出し、イノベーションの旗手となるために。
自社の研究開発、購買調達、生産現場を一歩先へ進めるために。
ぜひTRIZの発想法を現場で活用し、製造業という“ものづくり日本”のレガシーと未来への架け橋をともに築いていきませんか。
現場視点・バイヤー視点・サプライヤー視点のすべてに共通する「TRIZ」で、あなたの工場・現場を劇的に変える新たな一歩を踏み出しましょう。
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