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靴の中敷がずれないための接着剤塗布位置と圧着プロセス

目次
はじめに:昭和から続く“靴の中敷”問題とものづくりの本質
製造業の現場では、どんなにAIやIoTが進化しても、必ずと言ってよいほど「なんでこれだけが、うまくいかないのだろう?」と思う“つまずきの石”が存在します。
「靴の中敷がずれる」という問題も、まさにその代表例です。
バイヤー目線で考えれば、消費者満足度やクレーム減少はもちろん、ブランド価値維持のためにも見逃せません。
一方でサプライヤーにとっては、「中敷のずれ」に対応することで、現場の歩留まり向上やリピート受注、ひいては競合他社との差別化にも直結します。
本記事では、20年以上の現場経験を持つ筆者が、“本当に使える”中敷接着のための接着剤塗布位置・圧着プロセスについて、業界のリアルと今後の発展性も交えて徹底解説します。
なぜ「中敷のずれ」は起こるのか?基本メカニズムの理解
まず、靴の中敷がずれる主な要因を整理しましょう。
接着剤の塗布位置・面積の不備
想像よりずっと多くの工場で、「とりあえず接着材を全面に塗布して圧着」という昭和から続く発想が残っています。
しかし、足の動き・圧力のかかり方といった人間工学を無視した塗布や、無駄に広範囲へ接着してしまうことで、“追従性”を阻害し、逆にズレやすくなっているのが実情です。
圧着の圧力・時間の管理不足
適切な圧着がなされていない現場は少なくありません。
中敷素材・靴底素材の相性も無視され、「管理基準値では合っているが、実際にはズレる」ケースが発生しています。
現場スキル依存から脱することが鍵
マニュアルが未整備な現場や、熟練作業者のカン頼みがいまだに多いのが実情です。
ヒューマンエラーや作業ごとのばらつきが疑問視されています。
最適な接着剤塗布位置:現場に刺さる“どこにどう塗るか”の新常識
基本は「3点止め」戦略——全面塗布は時に逆効果
靴の中敷について多くの現場でおすすめするのは、「踵」「土踏まず中央」「つま先」の3点にポイント的に接着剤を塗布する方法です。
理由は2つあります。
1. 靴の中敷がズレやすい方向は、“前後と回転方向“
2. 通気抵抗やクッション性を持たせつつ、追従性と安定性を両立
全面に塗ることで接着面積は増えるものの、着脱・曲げ・応力集中時に「バリッ」と浮きやすくなります。
一方、3点止め方式はひとたび圧着されると「点」がしっかり支点となり、動的応力にも強い構造になります。
塗布ポイント別解説
– 踵部:最も荷重がかかるため、外側寄りにしっかり塗布
– 土踏まず中央:シューズの“ねじれ”軽減の役割。腱を包み込む形で点接触
– つま先:歩行時の蹴り出しでズレ防止。面ではなく点で接着することで、屈曲を妨げない配置が望ましい
ここに加え、スポーツシューズや安全靴などは用途にあわせて「サイドの接着追加」など微調整を実施します。
塗布量の目安と環境対応
過剰塗布は撥水・吸水トラブルや、乾燥工程での剥離リスクを生みます。
標準的な中敷(EVA、PU等)は直径7〜10mm程度、厚み0.3mm程度に抑えると最適です。
環境配慮のためには、VOC(揮発性有機化合物)対策・水性接着剤の採用拡大もポイントです。
現場での粘度調整、噴霧防止・定量吐出ノズルなどの選定も労働安全と両立させましょう。
「圧着プロセス」こそ品質安定のカギ——科学的管理が必要
最適な圧着条件:圧力・温度・時間の最適解
製造現場では「圧着=ただ押しつける作業」と安易に考えがちですが、下記3要素が重要です。
– 圧力(目安:0.5〜1.0MPa)…高すぎると中敷変形、低すぎると接着ムラ
– 温度(接着剤タイプにより20〜60℃)…冬場の冷えは硬化遅延リスク
– 時間(一般的に10〜30秒程度)…ラインスピードとのバランス要調整
特に近年は「サイクルタイム」厳守が求められる自動化ラインが増えています。
サプライヤーとしては、客先仕様+現場実務の両睨みでテスト・監査を重ねることが求められます。
現場ベースの自動化・標準化事例
「圧着冶具の自動化」や「一体型ロボットピック&プレース装置」の導入が急速に進んでいます。
また、IoTセンサーで毎ロットの加圧条件をデータロギングし、不適合品流出防止へ活用する動きも定着しつつあります。
ただし、どんなに自動化しても「接着剤の塗布ずれ」「中敷形状個体差」への対応は現場対応力が問われます。
こまめな点検・日常の小さな気付き(冶具摩耗やノズル詰まりの検知)を現場レベルで積み上げてください。
アナログとデジタルを“融合”させた進化へ——これからの中敷接着
「人」の五感も積極投入する発想転換がポイント
AIや自動検査装置が進歩しても、「心地よさ」「違和感のなさ」——つまり“人間ならではのフィーリング”はデータ化が難しい部分です。
具体的には、圧着直後に熟練現場員が「押しズレ」「浮き」を指でなぞって最終確認する工程を省かない。
これが、大量生産下でもクレームを最小化する現場智恵です。
ヒューマンエラー防止のための可視化・教育施策
– 塗布位置・量の「目視ガイドマーク」導入
– 圧着冶具にストップウォッチ的タイマー・圧力ゲージを設置
– 不良発生箇所のフィードバックループ(仕掛品→製品→クレーム情報まで紐付け)
– 微細な工程変更への「変更管理シート」運用
以上の施策を徹底すると、たとえ作業者の交代があっても“地力”の強い現場が育ちます。
バイヤー・サプライヤー・現場が一体で成長していくために
現場担当者や品質管理者には、「単なる貼り付け作業」から一段階上の「価値ある接着」への意識転換が必要です。
バイヤーは工程監査で、“実習現場のバラツキ度合い”“トラブル時のフィードバック体制”など、“細かな現場対応力”をチェックしてください。
サプライヤー側は、単なる仕様・基準遵守にとどまらず、「現場力」と「改善力」をアピールすることで信頼を得られます。
最新技術導入だけでなく、足もとの“アナログ知見”を巻き込みながら、お客様の課題を解決する発想が重要です。
まとめ:現場目線の真実とこれからの進化
靴の中敷のズレ防止は、表面上はシンプルな“貼り付け作業”のように見えながら、工程管理・品質保証の本質がギュッと詰まった課題です。
現場の声、AIやIoTによる自動化、何より「現場の小さな気づき」を大切にする昭和的アナログ知見——。
これらを柔軟に融合し、「時代に流されてもぶれない製造現場力」を全員で高めることが、業界全体の底上げにつながると、私は信じています。
今日からぜひ、自社の塗布位置・圧着プロセスを見直し、“納得のおける工程標準”を築きあげてください。
それが、明日の競争力を決めるいちばんの“現場改革”です。
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