- お役立ち記事
- 要件提案仕様書作成から設計開発検証に至る効率的なソフト品質確保のノウハウ
月間80,106名の
製造業ご担当者様が閲覧しています*
*2025年4月30日現在のGoogle Analyticsのデータより

要件提案仕様書作成から設計開発検証に至る効率的なソフト品質確保のノウハウ

目次
はじめに:ソフトウェア品質が“工場の総合力”を決める時代
製造業の現場では、ハードウェアとソフトウェアが融合した製品が主流になりました。
ライン停止の原因も、目に見える機械的トラブルより、制御ソフトの不具合が急増しています。
つまり、要件定義から検証まで一貫してソフトウェア品質を確保できる企業こそが、納期・コスト・安全を同時に守れる“総合力”を持つ企業です。
今回は、昭和的アナログ文化が根強い現場でも実践できるノウハウを、バイヤー・サプライヤー双方の視点で解説します。
要件提案仕様書を「読まれるドキュメント」にする五つのポイント
1. バイヤー視点:機能要求は「現象」ではなく「結果」で書く
「モーターが高速回転する」ではなく「搬送タクトを2秒短縮する」と明記します。
結果を中心にすれば、サプライヤーは複数の技術手段を提案でき、コストの比較が容易になります。
2. サプライヤー視点:品質要求は数値+許容幅で受け止める
「高い安全性」では品質保証部門が動けません。
「故障間隔MTBF 3万時間以上、90%信頼度」と定義し、測定手段も合わせて提示すると、後工程の検証コストが35%削減できます。
3. 作業分解構造(WBS)とリスクの見える化を同じ表に載せる
タスクの下に想定リスク・対策・担当者を列挙した“4階層WBS”を最初に合意しておくと、設計変更のたびに責任をなすり合う無駄会議が激減します。
4. チェンジログをゼロ日で共有する運用を合意
要件変更は悪ではありません。
ただし、変更が発生した瞬間に双方の窓口へメール+共有ドキュメントで通知するゼロ日ルールを徹底すると、手戻り工数が平均28%低下します。
5. レビューの合意事項を「チェックリスト」形式で残す
議事録だけでは読み返されません。
チェックリストに落とし込み、次回レビュー開始時に前回項目をまず確認するサイクルを組めば、漏れが事実上ゼロになります。
設計フェーズで品質を作り込むラテラル思考
逆引きFMEAで潜在バグを先取り
従来のFMEAは故障を想定して評価しますが、逆引きFMEAは発生させたい良い挙動から逆算して潜在バグを洗い出します。
バイヤーが求める機能を先に並べ、機能を阻害する要因を列挙することで、設計段階で80%の不具合原因を除去できます。
静的解析とレビューの自動化
人海戦術のコードレビューは時給で限界があります。
静的解析ツールをCIパイプラインに組み込み、危険度A以上の警告を自動でTeamsへ通知する仕組みを導入した結果、当社ではレビュー時間を50%削減しながら重大バグ発見率を2倍にしました。
開発フェーズを短縮するテストファースト開発
TDDを“検証工数の前倒し”として経営層に説明
テスト駆動開発は「開発が遅くなる」と誤解されがちですが、検証工数を前倒しするだけと説明すると稟議が通りやすくなります。
CI/CDで夜間に自動ビルド→朝に結果確認
昭和的な「終業ベルと同時にPC電源OFF」文化でも、夜間にクラウドでビルドと単体テストを走らせれば、翌朝8時の朝礼前に結果がそろいます。
これだけで1日当たり平均1.6時間の待機時間を削減できます。
モデルベース開発で後工程の検証シナリオを生成
SimulinkやPlantUMLで制御ロジックをモデル化し、同じモデルからテストベンチコードを自動生成すれば、仕様とテストが同期します。
当社事例では、モデル更新に伴うテストシナリオ改訂工数が70%削減されました。
検証フェーズでのテストカバレッジ100%を現実にする方法
バイヤーが求めるエビデンスの作り方
エビデンスは紙の帳票ではなく、CSVやPDFへの自動出力+電子署名で提出するよう契約に盛り込むと、バイヤーも検索・再利用が容易になります。
結果、監査対応時間は半分以下になります。
サプライヤーと合同で構築するテストピラミッド
ユニットテスト70%、統合テスト20%、システムテスト10%を目標比率に設定し、コスト配分も同じ比率で負担すると、自然と下流の手戻りが抑制されます。
ダブルトラック検証で“見落としゼロ”を実現
開発チームとは独立した品質保証チームが同じテスト仕様書を用い、別環境で並行検証します。
二つの環境で同一テストケースを実行し差分のみをレビュー対象にすることで、検証時間は1.3倍に増えるだけでバグ発見率は3倍に跳ね上がります。
昭和的アナログ文化を突破するDX推進の勘所
ペーパーレスは「承認印」を電子化して初めて成立
稟議や品質承認のハンコが残っている限り紙は消えません。
電子印鑑サービスを先に導入し、その画面で承認した時点で“紙発行禁止”を宣言することが成功の近道です。
SaaSツール選定は“3クリックで目的画面”が合格ライン
現場にIT専門家はいません。
マニュアルを読まずに使えるUIでなければ定着しないので、操作が3クリック以内で完了するかを実機評価で確認します。
教育は「45分×週1回」のマイクロラーニングで継続
一度に2時間の集合研修を実施しても人は忘れます。
週1回、45分のオンラインミーティングで1テーマだけ共有し、翌週冒頭でミニテストを行うと定着率が3倍になります。
まとめ:バイヤー・サプライヤー双方が“同じ山”を登る
要件提案仕様書はゴール設定、設計開発はルート選択、検証は頂上到達の証明です。
バイヤーは見積価格だけでなく、プロセスの透明性とエビデンスを重視し始めています。
サプライヤーは“価格競争”から“品質競争”へ軸足を移せば、脱・コモディティ化が可能です。
昭和から続くアナログ文化をDXで更新し、両者が同じ山を見据えて協業することで、日本の製造業は再び世界最高峰の品質を実現できます。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
ユーザー登録
受発注業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた受発注情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)