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情報共有不足で営業と製造が分断される問題

目次
はじめに:営業と製造。なぜ「分断」が起きるのか
製造業の現場では、営業部門と製造部門の間に深い溝ができてしまうケースが少なくありません。
「広告塔」として未来の案件を語る営業。
そして、「現場主義」で目の前のトラブルや納期に日々奔走する製造。
この両者の間に立ちはだかる壁は、昭和・平成・令和と時代が進んでもなかなか取り払われていません。
この「分断」の根本原因は何でしょうか。
一番の問題は「情報共有不足」です。
現場で培った経験や、過去の失敗・成功事例が活かされないまま、断片的な情報だけが伝言ゲームのように流れていきます。
結果的に、営業はお客様の希望だけを重視し、製造は現場の制約だけを重視するという構図が生まれます。
この状況をどう打破すべきか。
昭和的アナログ文化の香りが色濃く残る工場現場でも機能する、現実味ある対策を深掘りしていきます。
分断がもたらす現場のリアルな弊害
1. 見積もり精度の低下
営業が十分な現場情報を持たずに案件を獲得し、製造に無理難題がふりかかるパターンは後を絶ちません。
材料リードタイムや工程負荷、さらには歩留まりなど本来営業が把握しておくべき条件が共有されていないと、
机上の空論だけで見積もりが作られてしまいます。
その結果、利益率を削る追加対応や、最悪の場合は納期遅延やクレームに発展してしまいます。
2. クオリティとスピードのジレンマ
製造サイドは、限られた設備や人員で複数の案件を同時に回しています。
営業が受注時に「即納」「高品質」を約束してしまうと、現場は過剰なプレッシャーを受けます。
時には十分な品質確認ができないまま出荷せざるを得ず、顧客のクレームや信頼損失につながってしまいます。
3. 社内モチベーションの低下
「自分たちは外のことを知らされていない」
「営業が勝手に話を進めている」
そんな現場の不満は組織内にしこりを残し、全体のモチベーション低下に直結します。
優秀な現場スタッフが離職する原因にもなりえます。
分断はなぜ起きるのか?昭和的慣習が残る理由
縦割り組織の弊害
従来の製造業では、営業と製造が異なる指揮命令系統に属していることが一般的です。
現場経験者の「職人魂」、営業の「数字至上主義」はどちらも重要ですが、互いに歩み寄る文化が浸透していません。
「餅は餅屋」という考え方が強調されすぎて、部門間の壁が厚くなるのです。
言葉の壁と伝言ゲーム
営業と製造では使う言葉も異なります。
「数量」といえば営業は受注数、製造は仕掛数を想定することも珍しくありません。
この「翻訳不全」はコミュニケーションロスを増幅し、真意が伝わらないまま誤解や軋轢が生まれます。
アナログ運用の限界
FAXや口頭指示、ホワイトボードのスケジュール管理……。
DXやIoTの波が製造現場まで十分に浸透していない中小企業や下請工場では、情報共有が極端に遅れがちです。
現場でしか分からない”勘と経験”にどうしても頼るため、属人的なノウハウがブラックボックス化します。
これが、ミスや手戻りの温床となっています。
どう「分断」を打破するか?現場発想の対策五選
1.日常的な「ざっくばらん対話」の場を設ける
まずは「腹を割って話せる関係づくり」が重要です。
形式的な会議だけでなく、オフライン・オンライン問わず営業と製造が本音を語り合う場を定期的に設けましょう。
例えば朝礼や夕礼前後のカジュアルな雑談時間、月に一度のランチミーティングなどがお勧めです。
2.現場見学・交代実習でリアルを体感
営業担当が最低年1回は現場で作業を体験し、逆に現場担当も顧客訪問や現調(現場調査)を同行する。
お互いの環境や苦労を肌で感じることで、実務的な視点を持ちやすくなります。
3.「調達・購買」主体の橋渡しポジションを強化
営業と製造の接点として、購買・調達部門が両者の窓口となる役割を担うのも有効です。
サプライヤー視点でバイヤーの考えや現場事情を翻訳し、そのまま伝えず”通訳”していく重要なポジションです。
調達・購買部門のプロフェッショナル化が両部門の摩擦を和らげます。
4.シンプルなITシステム導入から始めてみる
クラウド型の日報共有ツールやチャットツールの導入は、意外と小規模な現場でも即効性があります。
最初は紙と並行運用でも構いません。
例えば、「困ったこと」「現場で気づいた改善案」などテーマ別チャットルームを設け、自由に投稿できる仕組みを作りましょう。
慣れてきたら、工数や納期だけでなく営業活動の進捗確認にも範囲を広げていくと良いです。
5.成功体験の水平展開・見える化
「分断」を乗り越えたチームの体験談を積極的に全社共有します。
製造と営業が協業して納期短縮やコストダウンを成功させた事例を、社内報や朝会で取り上げましょう。
できれば「なぜうまくいったのか」「苦労した点」「得られた学び」をストーリー仕立てにして共有することで、
他部門への横展開が進みます。
分断の解消が”イノベーション”と”競争力”の源泉に
営業と製造が分断されたままでは、生産効率の改善も、魅力ある新商品開発も望めません。
お客様と現場を最も良い形で結びつけるためには「断絶」ではなく「共創」、つまりコラボレーションの意識が不可欠です。
現場目線で言えば、単なるIT推進や業務手順の上書きだけでなく、
「人や組織の壁を乗り越えるコミュニケーションこそが最も有効なデジタル化」である、という視点を忘れてはいけません。
逆説的ですが、古き良き「顔の見える関係」「職人のネットワーク」をITや仕組みで再現するのが、今こそ求められるジレンマ解決策だと言えます。
これが実現できれば、現場のリアルなニーズをくみ取った営業活動、工場全体の最適化、ひいては全社一丸となったイノベーション創出につながります。
バイヤー・サプライヤーの立場から考える「分断」解消への期待
営業・製造分断の解消は、サプライヤーやバイヤーの立場でも大きなメリットがあります。
サプライヤーとしては、バイヤー(営業・調達)の意思決定プロセスやオーダー背景をきちんと知ることで、プロアクティブな提案や納期調整がしやすくなります。
また、現場要件が明確であれば、見積もりミスや無理な発注を減らすことが可能です。
逆にバイヤー側も、サプライヤーの強みを正確に伝えてもらうことで、受注後のトラブルやコスト増リスクを抑えることができるようになります。
そのためには、営業・製造の間だけでなく、サプライヤーも巻き込んだ「三位一体」の情報共有とフィードバックサイクルが重要です。
まとめ:今こそ「情報共有」で製造業を一新する時
これまで述べてきたように、営業と製造の分断は、企業規模や業種を問わず製造業全体に蔓延している課題です。
しかし、現場目線に立ち戻り、小さな一歩(対話・体験・仕組み化)から確実に始めることで、確かな変化をもたらすことができます。
最前線で働く皆さんこそが、次の世代の製造業を支える原動力です。
「情報共有不足の壁」を突破し、現場と営業の知恵を結集することで、より魅力的な製品とサービスを共創していきましょう。
情報が交差する現場から、イノベーションは始まります。
小さな改善と積極的なシェアを積み重ねることが、これからの製造業の勝ちパターンです。
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