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抽出装置用多孔板部材のレーザー加工とバリ残り問題

目次
はじめに:抽出装置用多孔板とレーザー加工の現場トレンド
現代のものづくり現場において、抽出装置用多孔板はさまざまな用途で不可欠な部材です。
特に化学、食品、医薬、石油精製といった分野では、異物混入防止やろ過効率の向上、安定的な生産プロセスの維持において多孔板の精度が求められます。
製造現場での多孔板加工の主流は、打ち抜きやエッチング、ドリリングから、デジタル制御のレーザー加工へと急速に進化しています。
しかし一方で、レーザー加工による「バリ残り」という新たな課題が現場で繰り返し起きていることも事実です。
本記事では、20年以上の製造実績と現場管理職としての経験から、抽出装置用多孔板部材のレーザー加工、そして現場を悩ませる“バリ残り問題”のリアルな現状や解決指針を、ラテラルシンキングで深く探究します。
製造業従事者はもちろん、バイヤーやサプライヤーの双方の視点でも理解を深めていただける内容です。
レーザー加工の仕組みと多孔板部材への応用
なぜ多孔板にレーザー加工が選ばれるのか
かつて多孔板の量産には、プレス加工や機械ドリルによる方式が一般的でした。
しかし「高精度化」「微細化」「短納期化」「小ロット対応」などの新たなニーズが高まる中、レーザー加工の出番が急増しています。
レーザー加工は非接触でワークに穴をあけるため、工具の摩耗や型替えによる段取り替えも不要です。
また、CADデータに基づいた自在なパターン加工が可能となり、従来は非常に難しかった微細孔の高密度パターンも低コスト・短納期で実現できるようになりました。
レーザー加工の基本プロセス
レーザー加工は、高密度エネルギーを帯びたレーザービームを材料表面に集中照射することで一瞬にして金属を局所的に溶融し、穴やスリットを形成します。
主なプロセスは以下の通りです。
– 加工対象部材をセットする
– CADデータからNC制御でレーザービームを走査
– 材料を瞬時に溶融・気化させ孔を開ける(アシストガス注入で溶融物を除去)
– プログラム通り連続孔あけ加工
レーザー加工の最大の利点は「物理的な負荷をかけずに複雑・微細なパターンを高速・精密に加工できる」点にあります。
一方、従来加工よりも“想定外”の不良要因が出現しやすい特殊性も持ち合わせます。
高機能抽出装置の多孔板における品質要求
抽出装置用多孔板部材は、液体・気体の均一な分散や分離機能、安全衛生などの側面から、以下のような厳格な品質要求を満たさねばなりません。
– 各孔の内径精度、平滑性
– 板全体の厚み精度・フラットネス
– 板表面、孔・縁周辺のバリ(突起物)の有無
– 異物、残渣の完全除去
レーザー加工は最適解にも見えますが、現場では「バリ残り」を中心に多くの実務トラブルに直面しているのが現実です。
バリ残り発生のメカニズムと現場課題
レーザー加工でなぜバリが発生するのか
レーザー加工によるバリは、下地の金属が完全に溶けきらなかった部分や、アシストガス(窒素・酸素等)の流れが不十分で、溶けた金属のスパッタが孔の縁に再固着してしまうことで発生します。
主な発生要因を整理すると以下の通りです。
– レーザー出力が不足・過剰で適正融解温度から外れている
– 加工スピードと穴径のバランス不良
– アシストガスの噴流条件の最適化不足
– 材料側の異種金属混入や表面酸化
– 複数回同一位置への照射による再付着
– 微細孔・多量穿孔工程の熱歪み
特に、昭和から続くアナログ現場では「型抜きと同じ感覚」で加工条件を設計してしまい、アシストガス制御や温度管理の重要性を十分に認識しない場合が多いのも課題です。
バリ残りが工程全体に与える悪影響
多孔板のバリ残りは、目視で発見できればよいですが、微細孔や数万個単位の穴では検出が困難です。
残留バリは次のような不良連鎖、工程ロスを引き起こします。
– 装置稼働後のろ過不良、圧力損失増大
– 板全体の強度低下、割れクラック原因
– 残留バリが流体・ワークへ混入し異物不良
– サプライヤーとバイヤーの品質トラブル
– 給与入力や納期遅延による損失拡大
バイヤー視点では“異物ゼロ”が要求水準であり、サプライヤーは「コストパフォーマンスと納期を守りつつ、厳格な品質検査が必要」という高次元バランスを求められています。
バリ残り対策の最新実例と課題突破策
プロフェッショナル現場の具体的な対策方法
私が工場長として対策を指示した経験から、バリ残り対策の王道は「加工条件最適化×工程間フィードバック×検査の自動化」の三位一体です。
1. 加工条件の最適化
– 使用材料に合わせてレーザー出力・スピード・ビーム径・アシストガス流量を最適設計
– 微細孔・高密度パターンごとに標準条件をパラメトリック化
– 熱影響領域(HAZ)最小化を目標設定
2. 工程間フィードバックの徹底
– 加工中のバリ発生状況をリアルタイムでサンプリング → 即時加工条件に反映
– 金型や材料ロットによる結果差分を工程管理システムで追跡管理
3. 自動化技術を活用した全数検査
– 画像処理・AI外観検査によるバリ検出基準の自動化
– 光学顕微鏡や3Dスキャナーを駆使して穴ごとのバリ寸法を記録
– 合格品データベースの構築によるトレーサビリティ向上
これらによって、一部の現場ではバリ不良率を従来の1/30まで低減した実績もあります。
昭和から抜け出せない現場へのアプローチ
アナログ志向が根強い現場では、「ベテランの勘と経験」に依存した加工条件設定がまかり通っています。
この“昭和的ものづくり”の良さを認めつつも、現代の微細加工には以下の対応が求められます。
– ベテランが持つ目視ポイント・音・臭い等の判定基準をデータ化し、後進育成の教材に
– 現場主導(Gemba)の改善案を集約し、IoT・データロガーでPDCAサイクル強化
– ソフト・ハード投資(レーザー設備更新、見える化システム導入)にバイヤーも積極関与
サプライヤー側も“融通の利く現場”から“解析と再現性のある現場”へ進化を図る転機といえるでしょう。
バイヤーとサプライヤーが共に品質・コスト競争力を高めるために
バイヤーが知っておくべきレーザー加工現場の「限界点」
購買担当者やバイヤーは、「図面指示通り=無条件でできる」と思われがちです。
しかし現場には物理的に達成困難な穴径、抜きパターン、コスト条件が存在します。
例えば100μm未満の超微細孔、高変則パターン、高硬度材などは通常設備では製造不可、あるいはバリ残りゼロ不可を意味します。
バイヤーはこれらを事前に理解し、サプライヤーと誠実な技術対話を持った上で現実的なスペックとコストのバランスを再考することが、生産性と品質保証の両立に不可欠です。
サプライヤーが知るべきバイヤーの「選定基準」
バイヤーは「価格」「納期」「品質」の三大軸で選定しますが、レーザー多孔板の領域では「工程解析能力」「トラブル対応力」「技術進化への柔軟性」も重要な選定指標となっています。
– 工場見学や現地立会いで、工程監査に強力な透明性を見せる
– バリ残りなど不具合発生時に、素早く原因分析・再発防止策を提示できる能力
– 新しい加工法や検査法の継続的なアップデート
– デジタル技術者、品質エンジニアなどと密に連携し“アナログ+デジタル融合”での現場提案力
こうした姿勢が、受注獲得・継続発注に直結することを意識しましょう。
今後の業界動向と“未来の現場”に向けて
レーザー加工を活用した多孔板部材供給は、今後ますます高精度・高機能化が求められる一方、技術や人材の陳腐化もリスクになります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)がバズワードに終わらぬよう、“リアルものづくり現場”の知恵と組み合わせ、現場力とデータ力を両立することが競争力のカギです。
– IoT・ビッグデータで現場プロセスを「見える化」「解析」
– 自動検査装置やロボティクスで人依存を減らす
– 熟練工の“暗黙知”をAI・機械学習に落とし込む
– サプライヤー・バイヤーが共同の品質保証基準を設定
現場目線とラテラルシンキングで「常識の壁」を打ち破る革新を続けることで、抽出装置用多孔板の未来も、製造業の価値もさらに高まっていくでしょう。
まとめ:抽出装置用多孔板レーザー加工のバリ残り対策は全員参加で進化する
抽出装置用多孔板部材のレーザー加工は、現場改革の潮流とともに劇的に進化を遂げています。
しかし、その道のりは決して平坦ではなく、「バリ残り」に象徴されるさまざまな課題と向き合い続ける必要があります。
バイヤーの知識アップデート、サプライヤー現場力の底上げ、そして現実的なスペック設計とオープンな情報共有が、真の品質向上とコスト競争力の両立を生み出します。
昭和脳からDX現場まで、すべての“現場プロ”が一体となってものづくりの知恵を磨き続けましょう。
製造業の進化は、現場に蓄積された叡智と、絶えまない革新の意志から生まれるのです。
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