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ロジカルかつビジュアルに伝えるプレゼン資料作成改善テクニック実習講座

目次
はじめに:ものづくり現場で求められる「伝える力」とは
製造業の現場では、日々の業務報告や改善提案、取引先への製品プレゼンなど、「伝える場面」が至る所に存在します。
しかし、膨大なデータや専門用語が飛び交う現場では、せっかくの情報や工夫がうまく伝わらず、評価されない、理解されないという問題に直面した経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
特に近年はデジタル化やグローバル化の影響もあり、誰もが納得しやすい「ロジカル」かつ、ひと目で理解できる「ビジュアル」なプレゼン資料作りが不可欠になっています。
本稿では、アナログ時代から抜けきれない現場だからこそ引き継がれているリアルな悩みや、新たなデジタルツールの活用動向も踏まえつつ、「ロジカルかつビジュアルに伝えるプレゼン資料作成改善テクニック」について、実践目線で解説します。
サプライヤーとしてバイヤーの視点を知りたい方、バイヤーへの転身を検討されている方、現場でプレゼンスキルに磨きをかけたい方は、ぜひ参考にしてください。
なぜ製造業において「ロジカル×ビジュアル」な資料が必要なのか
現場の悩み:資料=“報告書”=“文字だらけ”の限界
昭和時代から続く製造業の資料文化では、A3報告書やエクセル帳票が主流で、どうしても「文字や数字だらけ」になりがちです。
その結果、以下のような課題が生まれています。
・報告書の内容がダラダラ長く、要点がつかみにくい
・グラフや図が少なく、全体像が伝わらない
・関係者の理解度や関心度に大きなバラつきが生じる
・正しく伝わらず、再説明や手戻りが発生する
・若手や女性メンバーが内容を咀嚼できず消耗してしまう
現場力をフルに生かすためにも、この“アナログ資料文化”をアップデートする必要があります。
業界トレンド:意思決定のスピード向上、グローバル化に対応
今やグローバル企業の購買担当や経営層は、一目で状況がわかるサマリー、短時間で判断できる“決定資料”を強く求めています。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革の観点からも「説明回数を減らす・合理的に伝達する」ことが必須となっています。
これらに応える手段は「ロジカル=論理的」な構成と、「ビジュアル=図解やグラフ、写真など視覚情報」の両立しかありません。
ロジカル資料作成の実践テクニック
1.結論ファーストの構成を徹底する
多くの現場資料は「経緯説明→途中経過→最後にまとめ(結論)」という順番で作られています。
しかし、現代のビジネスコミュニケーションでは「結論ファースト」が大前提です。
【悪い例】
製造の歩留まり低下について、長々と原因分析や経緯を書き連ね、最後に「こう対策します」と結論づける。
【良い例】
最初のスライドや冒頭で
・現象(歩留まり低下〇%)
・主要因(工程Aでの異物混入)
・今後の対策(検査強化・設備改善)
を3行で端的に伝える。
この「結論→理由→根拠→具体例」のピラミッド構造を徹底すると、どんな会議でも即座に理解されます。
2.MECE思考で漏れ・ダブりのない整理
MECEとは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略で、「モレなくダブりなく」情報を整理・分類するフレームワークです。
例えば、
・問題の要因を「人・物・設備・方法・環境」で分類
・サプライヤーの選定評価を「コスト・品質・納期・技術・サービス」で整理
こうしたMECE分類で情報を整理することで、「どこが問題か」「何を優先するか」が明確になります。
3.ストーリー設計:相手の“関心”をゴールにする
プレゼンの目的は「自分が伝えたいことを並べる」ことではありません。
「相手(=決裁者やバイヤー)がどう判断するか」というゴールから逆算したストーリ設計が大切です。
具体的には、
・相手が最も気にする“リスク”や“コスト”には根拠データと対策案を必ず用意
・現場改善の案なら、ROI(投資対効果)やQCストーリーで結論を補強
など、相手の意思決定ポイントに集中して構成を組み立てましょう。
ビジュアル資料作成の実践テクニック
1.グラフと図解で「一目瞭然」をつくる
製造現場では、膨大なデータ表や数字が並ぶ傾向がありますが、「図・グラフ」への変換が鉄則です。
・推移やトレンド比較⇒折れ線グラフ
・構成比やシェア⇒円グラフ、帯グラフ
・改善効果の前後比較⇒棒グラフ、写真のビフォーアフター
・手順やプロセス⇒工程フロー図
データ表+補足説明ではなく、まずは「ひと目で分かる」図形に落とし込みましょう。
2.写真・動画・現場画像は最大の説得力
現場で起きたトラブルや改善内容は、どんな言葉よりも「現場写真」や「動画」が雄弁に語ります。
特に経営層や中国・東南アジアなど海外拠点との情報共有では、言語を超えた「現物」で納得度が高まります。
・異常の発生箇所⇒写真に赤丸/矢印で強調
・装置改造の様子⇒動画で“分かりやすく”
スマホ撮影も十分活用可能です。
3.色・フォント・レイアウトで「直感的に」伝わる工夫
色使い、フォントのサイズ・種類、余白や整列など、基礎レイアウトを押さえるだけで伝達力が格段に上がります。
・重要ポイントは赤や太字で
・良好=青、警告=黄色、異常=赤など色で直感指示
・余分な装飾や文字詰めはNG、余白を活かして見やすく
また、パワーポイントやGoogleスライドのテンプレート活用で品質のバラツキも減らせます。
現場・バイヤー・サプライヤー目線で考える「伝わる資料」とは
工場長・現場リーダー向け:事実×改善提案で評価を勝ち取る
現場では
「何をやったか」+「その結果どう変わったか」
をデータや現場写真で明確に伝えると、経営陣の評価・支援を得やすくなります。
QCサークルや維新活動の発表では、改善前後で分かる動画やレイアウト図を取り入れ、「自分ゴト化」してもらいましょう。
バイヤー志望者向け:“買い手”の論理とニーズを想定する
調達・購買部門の資料作りでは、サプライヤー比較、トラブル対応、原価低減案などを整理する場面が多いです。
ロジカル×ビジュアルな資料にすると
・候補先評価や意思決定の理由をきちんと説明できる
・社内調整で「説明負担」を減らせる
・サプライヤーにもフェアな説明・交渉がしやすい
というメリットがあります。
海外メーカーとの比較や、ESG調達(環境・社会・ガバナンス)につながる要素もシンプルに図解しましょう。
サプライヤー目線:バイヤーの“決裁ポイント”を見抜く
自社製品・技術のアピールや報告をまとめる際は、バイヤーの「判断根拠」「納得できる品質・価格・納期の理屈」を図や数字で見せることが重要です。
・納入実績や受賞歴は“写真”でエビデンス化
・不具合対応や改善は“理由-対策-仕上がりイメージ”を図で展開
・QCD(品質・コスト・納期)改善効果はグラフで視覚化
結果的に、サプライヤーとしての信頼性・競争力アップに直結します。
業界アナログ志向への“打開策”とこれからの動向
ツール活用:パワーポイント/Googleスライド/miro等の導入
「うちは古いから…」「エクセルしか使ってない…」という現場も多いですが、昨今は現場向けの簡単なテンプレートや共同編集(クラウド化)も広がっています。
・パワーポイント:製造業向けの無料テンプレート多数
・Googleスライド:リアルタイム共同作業で改善提案の即時反映
・miro:工程フローや組み立てラインの図解や付箋整理に最適
昭和から続く“手書き文化”に一歩でもデジタル図解を取り入れることで、属人化や共有の壁を乗り越える第一歩になります。
AI・自動作図ツールの活用
AIによる自動要約やグラフ作成、画像分析も進化しており
・議事録や現場作業の要点抽出
・異常検知をAIが勝手にグラフ化
・不具合写真から自動で“異常部”を抽出
といった業務効率化も現実味を帯びています。
リソースの限られた現場ほど、こうしたツールのトライをおすすめします。
まとめ:明日から使える「ロジカル×ビジュアル資料作成」の極意
製造業はデジタル化・グローバル化・働き方改革の大きな波の中にあり、現場資料・プレゼンも進化の時代です。
本稿で紹介した
・結論ファースト/MECE/ストーリーのロジック
・グラフ、図解、写真、配色、フォントのビジュアル手法
・ツールの活用と未来型資料へのシフト
は、どんな現場・部門でもすぐに取り組める実践テクニックです。
昭和的な「文字だらけ・説明だらけ」の世界から一歩抜け出し
「ひと目でわかる」「誰にでも伝わる」現場資料を実現することで、仕事の質もスピードも格段に向上します。
あなたの現場と製造業界が、より強く・しなやかに進化する一助となれば幸いです。
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