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中小製造業でもできる低コストなSDGs推進の実践事例

目次
はじめに:なぜ今、中小製造業でもSDGsが求められるのか
ここ数年、大手企業だけでなく中小規模の製造業でもSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが強く求められるようになっています。
その背景には、グローバルサプライチェーンの多層構造化や顧客、取引先からのサステナビリティ要求の高まりがあります。
また、金融機関や投資家からのESG(環境・社会・ガバナンス)情報開示要請も拡大しています。
しかし、長年昭和のアナログ流儀が根強く残る中小製造業では、「SDGsに取り組みたいが予算も余力もない」「どこから始めればいいのかわからない」という声が多く聞かれます。
実際、費用や人材リソースを理由にSDGsに対して腰が引けている現場も少なくありません。
本記事では、現場目線で即実践できる低コストかつ効果の高いSDGs推進の実践事例を紹介します。
生産現場、調達・購買、品質管理の分野で、中小規模でも十分戦えるSDGs戦略を知りたいバイヤーや、サプライヤー側からバイヤーの考えを知りたい方に向けてお届けします。
SDGsとは何か?製造業の現場に落とし込むとどうなるのか
「SDGs」という言葉だけが独り歩きしがちですが、製造業の現場で考える際には、「今のやり方で10年後も会社が持続可能であるか」に言い換えると理解が深まります。
材料調達の持続性、働く人の安全と成長、地域社会との良好な関係など、17の目標全体を大きく捉えるのではなく、自社の現場で取り入れやすい目標にフォーカスします。
たとえば「エネルギーの有効利用」「廃棄物削減」「従業員の働きやすさ向上」など、まずは3つ程度に絞って始めることをおすすめします。
これはISO14001や9001に準じて「自分たちが管理でき、改善できる領域」の特定と似ています。
自社の資源や技術、持っているネットワークを活用し、着実に一歩を踏み出すことが重要です。
低コストで始められるSDGs施策3選~工場・現場編~
1. 廃材・不良品の再利用と「もったいない」精神の見直し
現場で出る端材や不良品は、従来産廃として処理しているところが多いです。
しかし発想を少し変えることで、端材を試作用や治具、補助パーツとして再活用できるケースもあります。
大手ほどの自動化設備がない場合でも、手作業による端材の区分け・管理方法を見直すだけで再利用率が格段に向上します。
たとえば、部品加工業では「端材置き場」と「用途例パネル」を現場に掲示し、端材から社内治具を作ったり、協力業者や地元の学校・施設に提供する活動も広がっています。
これは経済的なメリットも大きく、「不要廃棄物減・購入コスト減」という両面で効果をもたらします。
2. 社内LED化・省エネ対策の小さな一歩
電力消費の削減は、どの製造現場にも関わるテーマです。
大掛かりな太陽光発電導入や設備刷新だけが省エネではありません。
「従業員の手が届く位置の蛍光灯をLEDに1本ずつ交換」「使用していないエリアの照明・空調オフを徹底」のように、即日実践できる対策は多数存在します。
照明の個別スイッチ化や、機械停止時に自動的にランプを消すタイマー装備は極めて低コストな改善です。
実際、年間で数パーセントの消費電力量減少が見込めます。
省エネキャンペーンを現場で「見える化」することも従業員の意識向上に貢献します。
3. 地域連携を活かした循環型プロジェクト
意外な効果を発揮するのが、地域社会や近隣企業と連携したSDGs活動です。
たとえば「工場から出るパレットや木箱を地元小学校と共同で再利用してベンチを製作」「作業着の廃棄前に布切れとして地域福祉施設へ提供」など、社会貢献と廃棄物削減を同時に達成できます。
こういった活動事例は、地元新聞や業界紙で紹介されることで社内外へのPRにもつながります。
中小製造業であればこそ、フットワークの軽さを活かしてスピーディーに進められる分野です。
アナログ業界で根付く昭和流儀×SDGsの新しい地平線
現場では「昔からのやり方」が根づいており、新しい取り組みに抵抗感があることも事実です。
一方で、昭和流の「もったいない精神」「職人の手作業での無駄取り」「道具や材料を大切に使い切る文化」は、実は世界的なSDGs精神そのものです。
バイヤーの評価軸も変化しています。
安さや納期だけではなく、「持続的な取引関係を築ける企業か」「CO2削減・倫理的な調達姿勢を持つサプライヤーか」が新たな選定基準になりつつあります。
アナログな現場にSDGsの考え方をマッチングさせることで、昭和の知恵が新しい競争力に変わるのです。
調達・購買部門でできるSDGs推進の実践ルール
グリーン調達基準の明確化と取引先選定
サプライヤーへエコマテリアルや再生材の利用、地産地消への配慮などを具体的に要求する「グリーン調達基準」を設定しましょう。
取引開始時に書類を一律で要求するのではなく、現場ヒアリングや実態観察を通じて「協力してレベルを上げていく」方針にすることで、サプライヤー離れを防ぐことができます。
取引先との協働によるコストゼロ改善事例の共有
たとえば「納品時の梱包材リユース」や「工程ごとの在庫最適化」など、取引先と共同で取り組めるネタを定期的に話し合い、双方のコスト負担ゼロ/マイナスになる改善事例をストックしましょう。
中小規模では担当者同士の関係性が強みとなるので、気軽に提案しやすい環境づくりが重要です。
サプライヤーの現場目線の情報発信力を活用する
現場でSDGs的な改善が進んだ場合、そのストーリーやプロセスをサプライヤー自身が発信(Webサイト掲載、展示会PRなど)する機会も与えましょう。
これにより、製造業界全体のSDGs水準が底上げされ、バイヤー・サプライヤー双方にメリットが生まれます。
社内巻き込みを成功させるカギ:小さな成功体験と見える化
組織全体でSDGs推進を続けるためには、「まずやってみて効果を実感」「成果を全員に共有」のサイクルをできるだけ簡易に回すことが重要です。
・現場に小さなチャレンジを提案(端材再活用、省エネ職場づくり等)
・1ヵ月ごとの成果(廃棄費削減、電気代減少、地域貢献活動)を数字・掲示で「見える化」
・成功事例や失敗事例もオープンにしてノウハウ蓄積
この地道な繰り返しが、抵抗感を小さくし社員一人ひとりの「自分ごと化」につながります。
まとめ:未来を見据えた中小製造業のSDGsは「現場起点」で勝てる
SDGsは決して華やかなものでも、難解なものでもありません。
現場に根付く昭和の「もったいない精神」と、日本的な現場改善力があれば、低コストでも大きな成果を出すことができます。
小さな一歩でも、顧客や地域社会、取引先から「持続可能性」の評価を受けることで、新たなビジネスチャンスや競争優位の得点に直結します。
バイヤーやサプライヤーを問わず、これからの製造業では、SDGsを「やらされるもの」から「武器」に変えていくことが求められます。
まずはできるところから、あなたの現場でSDGs推進の新しい一歩を踏み出してみませんか。
継続は力なり。
そしてその一歩が、必ず製造業全体の明るい未来につながると信じています。
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