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OEMパーカーで人気のデザイン傾向と市場トレンド2025

目次
はじめに――製造業の視点で捉えるOEMパーカー市場
OEM(Original Equipment Manufacturer:相手先ブランド名製造)は、アパレル業界においても急速に成長しています。
とりわけパーカーは、シーズンや世代を問わず愛される定番アイテムのひとつです。
今回は、2025年を見据えた人気のデザイン傾向や市場動向を、製造業経験者の視点から読み解きます。
アナログなやり方が依然として根強い製造業界において、バイヤーが求める要件やサプライヤー側の現場感覚を交えながら、OEMパーカーの世界を深掘りします。
本記事は、製造業に勤務されている方、バイヤーを目指す方、さらにはサプライヤーの立場でバイヤーの思考を知りたい方にも役立つ内容となっています。
OEMパーカーとは?今さら聞けない基礎知識
OEMパーカーとは、発注元(主にブランドや小売、企業など)の要望に応じて受託側の工場(メーカー)が製造し、発注元のブランド名で販売されるパーカーのことを指します。
多品種・小ロット生産が可能になった現代において、オリジナリティあふれる商品を素早く市場投入できるOEMは、特にアパレルで重宝されています。
アパレルの現場では、昭和時代からの「職人技」や「コネクション」に頼る商習慣が今も根強く残っています。
一方で、EC市場の拡大や技術革新、消費者ニーズの多様化を背景に、より柔軟かつ効率的なものづくりへの対応力が求められる時代になりました。
2025年に向けたパーカーデザインの注目トレンド
シンプル&クリーンが主流へ――ミニマルデザイン
2025年のOEMパーカー市場は、「飽きのこない」「合わせやすい」デザインが一層重視されます。
ロゴやプリントを小さく抑えたり、ワンポイントに絞ったりする傾向が顕著です。
この背景には、「流行のサイクルが短い」「季節やシーンを問わず着用したい」といった消費者心理が働いています。
長く売れる=在庫リスクや値崩れを防ぐ、という観点ではOEMバイヤーにとっても大きなメリットです。
現場では、刺繍技術やプリント精度の向上で、小ロットでもコストバランスを取った生産が可能となりつつあるため、シンプルなデザインを高品質に仕上げたパーカーの受注が増加しています。
ルーズフィット&ビッグシルエットの継続人気
近年続いている「ビッグシルエット」「ルーズフィット」の潮流は、2025年も健在です。
体型を問わず誰でも着やすく、かつファッション性も高いことから、OEMパーカーの型紙・パターン設計でもこの傾向が定番化しています。
製造現場としては、規格寸法の管理や裁断・縫製工程で気を付けるポイントが変わってくるため、昭和的な「型紙流用」「職人の勘頼み」だけでは対応が難しい一面もあります。
業界のデジタル化が、ここでも遅れ気味なのが現実です。
機能性&サステナブル素材――付加価値の訴求
パーカー自体が「カジュアル」「イージー」というイメージから、機能性の追加や素材の差別化がバイヤー側で一層重視されています。
たとえば、
– 吸汗速乾
– UVカット
– 抗菌防臭
– 防風・撥水
などの素材提案や、オーガニックコットン・再生ポリエステル等のサステナブル素材へのシフトが目立ちます。
現場目線では、国内外の原材料仕入れバランスや、加工設備の導入コスト、品質管理体制の再構築といった課題が立ちはだかっています。
ただ、全国の工場で「ぽっと出のSDGs対応」は儲からない、という肌感覚も根強いため、現時点では「見栄え重視のサステナブル訴求」商品と、こだわり志向のOEM案件が二極化しています。
OEMパーカーのバイヤーが重視するポイント
生産背景の透明化に対するニーズ拡大
コストだけでなく「どこで、どんな労働環境で作っているか」を示すトレーサビリティへの関心が高まっています。
特に海外工場との取引が多いアパレルOEMでは、欧米のブランド基準(BSCI、WRAPなど)への適合や、労働環境証明書の提出が常識化しつつあります。
国内の昭和的な「義理・人情・根回し」文化や、「御用聞き型」営業では説得力がなくなり、書面ベース・データベースの明示といったアプローチが重要です。
小ロット・短納期への対応力
消費者の好みの多様化、トレンドサイクルの高速化により、最小ロット数(MOQ)が減少傾向です。
老舗メーカーや地場縫製工場では、「昔ながらのロット商売」から「多品種小ロット・短サイクル生産」への体制転換を迫られています。
バイヤーは初期投資や在庫リスクを抑えつつ、タイムリーで柔軟な納品を望んでいるため、自社の生産ラインや工程管理の柔軟さが競争優位性につながります。
製品安全・品質保証体制への要求水準の高まり
昭和以前の「目視」や「現場判断」主体の品質検査・出荷検査から、よりデータ主導・マニュアル化された管理体制が求められています。
納品不良による損失やブランド毀損のリスクが高まっているため、トータルの品質保証体制と不良ゼロに向けた改善策が不可欠です。
サプライヤーとしては、「ISO9001」や「エコテックス」などの認証取得だけでなく、QC工程表・ヒヤリハット事例の資料提出、工程内カイゼン活動の見せ方も差別化につながります。
OEMパーカーの市場動向――2025年の展望
国内生産と海外生産の棲み分けが鮮明に
かつてはコストダウンが最優先され中国・ASEANなどへの生産委託が主流でしたが、コロナ禍以降のサプライチェーンリスク顕在化や物流の混乱から、「一部国内回帰」の流れが見られます。
細やかな要望やスピード感への対応は国内工場が得意領域とされ、「ハレの日受注」「商業施設向け短納期案件」では国内OEMの出番が増えています。
一方、「ファストファッション」「大手量販向け」などは、相変わらず海外大量生産が主流ですが、バイヤー側でも「自然リスク把握」「物流遅延リスク見極め」が発注時の大きな判断材料となっています。
EC・D2C新興ブランド台頭によるOEM多様化
2025年は、EC(ネット通販)・D2C(Direct to Consumer)ブランドによるOEMパーカーの発注増が顕著になると見られています。
これら新進ブランドは「少量多品種・スピード重視」と「オリジナル(独自性)」への欲求が強く、これまでOEM対応が難しかった「特注カラー」「特殊寸法」「細部の仕様変更」などへの対応力を持つサプライヤーが求められます。
製造現場では、デザインから設備、工程設計、原材料調達、サンプル提出に至るまで、柔軟性とスピード感のバランスが大きなテーマです。
デジタル化&工場自動化に向けたギアチェンジ
国内の縫製業界は「職人仕事」や「手作業伝承」が美徳とされてきましたが、人材不足や高齢化が深刻化しています。
2025年以降、多くの工場がパーカー外縫い工程のデジタル化、トレースマシン設備導入、自動検反・自動裁断システム等の投資に乗り出すでしょう。
ただし、老舗工場や中小メーカーには「設備投資コスト」「ノウハウ伝承」「新しい現場マネジメント手法の確立」といった、アナログからの脱却に向けた課題が山積です。
サプライヤーから見たバイヤーとの関係構築のコツ
提案型商談で信頼を獲得する
昨今のバイヤーは単なる「安い・早い」だけでなく、「どうしたら競合メーカーより自社がもっと売れるのか」という視点で提案力も重視します。
・マーケティング視点のデザイン提案
・素材・副資材の最新動向紹介
・工程改善によるコストダウン策
・品質安定化に向けた布石
など、単なる御用聞きでは差別化できません。
製造現場で蓄積した知見をもとに、課題提起から解決案の提示まで「現場目線」「経営目線」を行き来するコミュニケーションが信頼獲得につながります。
アナログ文化とうまくつき合う
業界内では、未だにFAXや電話中心の発注、対面営業、紙の現品票管理など、アナログ文化が色濃く残っています。
「古臭いやり方だ」と切り捨てるのではなく、バイヤー側の安心・信頼感を担保しつつ、徐々にデジタル化のメリットを実感してもらうプロセスが大切です。
また、年配バイヤー層が根強く活躍している会社も少なくありません。
人間関係づくり、誠実なレスポンス、小回りのきいた対応を心がけましょう。
まとめ――2025年のOEMパーカー市場で勝ち抜くために
OEMパーカー市場は、消費者ニーズや小売=発注元の多様化によって大きく変貌しています。
トレンドをおさえたデザイン提案力、小ロット・短納期へのフレキシブルな対応、高付加価値・サステナブルへの応答力、透明化された生産体制――。
加えてバイヤーが「この会社に任せたい」と思える、現場目線の提案営業や、アナログとデジタルの良いとこ取りをした現場運営が求められます。
昭和のノウハウ、令和のイノベーション。
その両輪をバランスよく回しながら、ぜひ2025年のOEMパーカー市場でのリーダーシップを目指してください。
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