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FCL→LCL切替で発生する荷扱い増加リスクを最小化する梱包・ラベル設計

目次
FCLからLCLへの切替に立ちはだかる「荷扱い増加」問題
製造業において、グローバルサプライチェーンが一般化する中で、物流の形態も変革を迫られています。
特にFCL(Full Container Load)からLCL(Less than Container Load)への切替は「納期短縮」「費用分散」「在庫削減」など多様なメリットを提供しますが、現場で最も深刻な懸念事項が「荷扱い増加」に起因するリスクの拡大です。
昭和から令和へと時代が移り変わっても、梱包やラベルといった「一見地味」な工程が、実はサプライチェーン全体の信頼性・効率性を大きく左右していることを見過ごしてはいけません。
本記事では、FCL→LCL切替による荷扱い増加リスクの本質と、それを最小化するための実践的な梱包・ラベル設計ノウハウについて深掘りします。
なぜFCLからLCLへ切り替えると荷扱いリスクが増加するのか
FCLはコンテナ1本(20ft、40ft等)を一社で丸ごと使う輸送形態です。
積載した貨物は一度もばらされることなく、積地→港→船積み→到着港→納入先、という流れで一気通貫で運ばれます。
対してLCLは、複数の荷主の貨物を集めて「コンテナ1本」に混載する仕組み。あなたが1パレット・数箱しか出荷しない場合でも柔軟に対応でき、FCLのように大きなロットが不要になる点が特徴です。
しかしLCLになると、「バンニング」(積込)や「デバンニング」(取出し)が各ハブ(CFS倉庫)で回数・人の手を介する頻度が大幅に増えます。
FCL→LCLで発生する荷扱い工程の変化
- 積地工場でのパレット化・バンニング
- CFS(コンテナフレイトステーション)で混載便の仕分・積替え
- 到着港側CFSでのデバン・仕分・再パレット化
- 最終納入先での荷降ろし・検品
こうした作業が増えることで、以下のリスクが現実味を帯びます。
- 輸送途中でカートンが開いてしまう・品物が散乱
- ラベルの剥がれ・荷札の紛失による誤配送
- 小口貨物(カートン単位、パレット単位)での数え間違い・紛失
- 仕向地でのクレーム増加(破損・数量過不足・誤品)
現場視点で考える、梱包・ラベル設計の基本と通念
ここで「荷扱い増加(=ハンドオーバー回数増)」という物流現場のリアリティをしっかり理解しましょう。
工場では「梱包仕様書」や「出荷ラベル」はコスト・手間・従来通りで設計されがちですが、LCL化する現代では一気に“業界標準”が通用しなくなります。
昭和の梱包から令和の梱包へ:何が変わるべきか
- 個装(カートン)は持ちやすく、積みやすい形状・サイズか?
- パレット梱包でも、“バラし”やすく、“組み直し”やすい構成か?
- ラベルはすべての面/仕分けシーンで「目視可能」か?
- 現場作業者にも伝わるアイコン化・ピクトグラム化がされているか?
- スマートフォン等での一括読み取り・トレースが可能か?
上記を満たさなければ「FCL時代」の常識が、LCL時代にはリスク要因となってしまいます。
リスクを最小化するための“攻め”の梱包設計ノウハウ
荷扱いの教訓は“揉まれることを前提に設計せよ”です。
FCL→LCLで起こる現場の声を科学しながら、理想的な梱包設計のポイントを具体的に紹介します。
カートン強度・形状設計のキーポイント
- 最低でもダブルウォール(C/Bフルートなど)を選定し、「圧縮試験(ECT)」データも必ず確認します。
- できるだけ標準化されたカートンサイズ(A式・B式)を用いて、輸送効率・荷役効率の最適化を図ります。
- 「底抜け」「側面割れ」を回避するため、内寸外寸設計・仕切り材利用などを綿密に検証します。
パレット設計で重要な3点
- パレット積載時に、各カートンが「段ズレ(オーバーハング)」しないこと。
- 資材の許す限り「フィルム梱包(ストレッチラップ)」を採用し、ばらけを防ぐ。
- コンテナへの積込時、必ず四隅四角パレット(通称“四角パレ“)に統一して、スペースロス・崩れリスクを最小化します。
仕分・混載段階での「再梱包許容設計」
CFS倉庫や港湾現場で「荷崩れ→緊急再梱包」が発生するケースも視野に入れます。
オリジナルの梱包パーツだけでなく「現場の標準資材と互換性」を持たせておくことで、被害拡大を未然防止できます。
“混載リスク”撃退のカギ〜ラベルのデジタル活用と徹底標準化〜
LCLになるほど、「現場でラベル読み違い→誤配送」が多発します。
ヒューマンエラーを可視化し、アナログ業界の現実に即したうえでデジタル活用を強化することが求められます。
世界標準・現場標準 両立のコツ
1. 各カートンの「全側面」へのバーコード/QRコード印刷
2. 英語、中国語、日本語などマルチランゲージ対応(特に混載拠点が海外の場合)
3. パレット単位とカートン単位でペアリングできる管理ID
4. OSやスマホカメラで瞬時にスキャンできるデータ設計(GS1準拠など)
5. 輸出書類(P/L、INVOICEなど)と連動した自動帳票出力
実務者の負担=現場の生産性低下に直結するラベル運用は厳禁
読みにくい・剥がれる・見つかりづらいラベルは、現場での「問合せ渋滞」「チェック作業増」「誤送・紛失の原因」となります。
ここをゼロベースで再設計することが、LCL時代の品質マネジメントに不可欠です。
現場マネージャー・バイヤー目線でのリスク予防策と効率化のポイント
製造現場の責任者や、サプライヤー側の物流担当者が梱包設計・ラベル設計に介入することで、大きな効果を生みます。
1. サプライヤーとの仕様書設計段階から“LCL前提条件”を盛り込む
- LCL輸送を実施する際の標準カートン強度・サイズ・パレット規格
- 「どのシーンで分割・積み替え」が発生するか、具体的な仕分けフローを設計書に明記
- ラベル・ピッキングデータの「マスター連携」を仕入先間で確認
2. 物流現地見学・棚卸での実地検証の徹底
上流工程でいくら完璧な仕様を策定しても、実際のハンドリング現場で「このラベル見えない」「このカートンだと潰れ易い」といった課題が頻発します。
バイヤー・仕入担当者自ら、CFS倉庫や受入現場のオペレーションを定期確認し、定性・定量両面の改善サイクルを回します。
3. IOT・物流トレーサビリティツールの実装推進
DX時代の今、RFID・トラッキングシステムを外部委託会社任せにせず、「自社の業務プロセス改善」の観点から自律検討します。
バーコードやQRラベルの自動一括読み取り、ピッキングミス防止ツール、現場での作業実績データの収集など、小さな一歩から始める意識が重要です。
バイヤー・サプライヤー双方の未来志向とは
FCL→LCLへの切替による「荷扱い増加リスク」を制御するためには、従来型の“コスト削減”だけの梱包設計から「全体最適」を志向した領域横断型のアプローチが求められます。
サプライヤー側は「現場の手間が増えること」を理解し、積極的に改善策を提案することが選ばれる条件です。
一方でバイヤー側も「物流現場の現実」を知り、仕様書や契約交渉に現場の知を落とし込む姿勢が不可欠です。
まとめ 〜“輸送方式のシフト”は梱包進化のチャンス〜
時代はアナログからDX化、FCL中心からLCL・混載対応へシフトしています。
“荷扱い増加”という問題を、単なるコスト増・リスク増と捉えるのではなく「より良い梱包設計・ラベル設計を再定義する絶好の機会」と捉えましょう。
経験値と現場の「本音」、最新テクノロジーを結集させ、工場発から世界市場まで「安心・安全・効率的」なモノの流れを築く――。
それが、製造業バイヤー・サプライヤーすべての進化であり、現場から業界の未来を切り拓くラテラルシンキングの原点だといえます。
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