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実装不良を減らす不具合発生メカニズム解析と対策による品質改善法

目次
はじめに:実装不良とは何か?
製造業では、日々多くの不良品が生産ライン上で発生しています。
その中でも、実装不良は最も厄介な問題の一つです。
電子部品の実装工程における不具合や、溶接・組立て段階での微細なエラーは、製品全体の信頼性を大きく損ないます。
なぜなら、実装不良は顧客からのクレームやリコールにつながることも多く、そのコストは計り知れません。
では、どうすればこれらの実装不良を減らすことができるのでしょうか。
本記事では、現場で培った知見とラテラルシンキングで深堀りしたアプローチを交えながら、不具合発生メカニズムの解析手法と実践的な品質改善方法を詳しく解説します。
現場で起きる実装不良の具体例
製造現場の実装不良と一口に言っても、その内容は多岐に渡ります。
代表的なものをいくつか紹介します。
はんだ付け不良
はんだブリッジ、未はんだ、ボイド、クラックなど、電子実装では多様なはんだ付け不良が発生します。
リフロー炉の温度プロファイル不良や、基板・部品の湿度不良、はんだペーストの劣化など、起因する要素は複雑です。
部品実装ズレ・取り付け誤り
表面実装(SMT)のラインでは、チップ部品の吸着・移載ミス、誤った部品取り付けが意外と頻発します。
これは設備のキャリブレーションズレやオペレーターの熟練度不足、帳票管理のアナログ運用など、単純ミスからアナログ文化由来まで、さまざまな背景があります。
異物混入・コンタミネーション
埃や油脂、配線カス、工具の切断片など、現場で日常的に発生するコンタミネーションも見逃せません。
とくに精密実装では、こうした微小な異物が後工程で不具合やクレームにつながりやすいものです。
電気的性能不良・開通不良
基板回路が開通しない、所定の抵抗値や接触抵抗が規格外になる、といった電気的な不良も典型的です。
工程内の検査で発見できても、根本的な要因を解析できなければ、同じトラブルが何度も繰り返されます。
不具合発生メカニズム解析の重要性
実装不良をゼロに近づけるためには、その発生メカニズムを徹底的に解析する姿勢が不可欠です。
ただ単に表面的な現象を修正するのではなく、「なぜ、どのようにして不良が生まれるのか」を深く掘り下げて考察することが、真の品質改善に直結します。
昭和的なアナログ思考では、不良が出た都度「現場努力」や「気合・根性」で乗り切ろうとしがちです。
しかし、それでは根本原因にたどりつけないまま、同種不良の再発を招く負のスパイラルに陥りやすいです。
だからこそ、科学的・論理的な不具合解析アプローチが求められます。
なぜなぜ分析(5 Why’s)の活用
現場ではよく「なぜなぜ分析」が推奨されています。
これは、ある不具合が起きた際に「なぜそうなったのか?」を5回繰り返して掘り下げていく手法です。
例えば「はんだブリッジが発生した」
→なぜ?「クリームはんだが過剰塗布された」
→なぜ?「印刷版のクリーニング頻度が低かった」
→なぜ?「作業者が工数を省略した」
→なぜ?「作業指導書が現実に即していなかった」
→なぜ?「現場と技術部門のコミュニケーション不足」
このように単なる現場オペレーションの問題から、組織の構造的課題まで見抜くことが重要です。
FMEA・FTAの導入
FMEA(故障モード影響解析)やFTA(故障の木解析)は、製造工程でのリスク要因を整理しやすい分析手法です。
これらを導入することで、ヒューマンエラーや設備起因不良といったミスの「見える化」が可能です。
特にアナログ運用が残る現場では、FMEAの定期見直しや現場リーダーを巻き込んだFTAワークショップが、不具合の未然防止策に直結します。
現場視点での具体的な対策法
不具合解析ができたら、次に重要なのは「再発防止に向けた実践的対策」です。
ここでは、私が工場長や技術責任者として実際に導入・定着させてきたノウハウも交えて解説します。
作業手順の棚卸し・標準化
はんだ作業や組み立てプロセスなどは、属人的なノウハウに依存しがちです。
そこで、まず現場の作業手順を一つひとつ分解し、課題があれば標準化していきます。
例えば、実際に優秀なオペレーターの手順を動画で記録し、現場教育の教材にしたり、工程ごとの「コツ」や「勘所」をベテランと若手で共有する場を設けることで、技能伝承の属人化を防止します。
タクトタイムの見直しとラインバランス改善
ライン作業のタクトタイムが現実と乖離している場合、「焦って作業」→「ポカミス発生」→「不良」といった流れに陥るケースが多いです。
現場ヒアリングと実地観察によって、無理なく熟練者も新人も高い品質で作業できる「理想のタクトタイム設定」を見直すことが重要です。
設備の定期点検と自動化の推進
洗練された自動化設備であれば、ヒューマンエラーの多くを排除できます。
しかし実際は、設備のメンテナンスが軽視されがちです。
定期点検リストを作成し、現場と協働で予防保全活動を徹底します。
さらに、新設備導入時には「品質保証への貢献度」をベースとしたROI(投資対効果)も提案し、自動化ファーストの意識改革を加速させています。
見える化(可視化)による現場変革
不具合や作業トラブルの「見える化」は根本改善の第一歩です。
例えば、工程ごとの良否判定を大型モニタでリアルタイム集計する、各班の不良件数を見やすいグラフで掲示するなど、現場全体への“気づき”を促進します。
このような情報共有の仕組みは、アナログ業界の現場にも非常に有効です。
品質改善のために“組織の壁”をどう破るか?
不良削減の本質は、ライン現場だけでなく、設計・調達・生産管理・品質保証など、組織横断の連携強化にあります。
昭和から続く縦割り文化や「お国意識」が品質改善の障壁になり続けています。
バイヤーと現場の“風通し”をよくする
調達・購買部門(バイヤー)は、ともするとコスト削減ばかりを重視して現場品質に目が届きにくい傾向があります。
サプライヤーも「価格競争のみ」となり、現場実装の工程改善や品質維持への提案が二の次になりがちです。
だからこそ、バイヤー視点では「何が現場で実装不良の引き金になるのか」や「サプライヤー側の提案をいかに現場改善につなげるか」を理解することが求められます。
現場見学会や現場勉強会の頻度を増やし、設計・購買・現場の三者が一緒に不具合要因を討議する仕組みをつくると、ボトムアップ型の品質改善が定着しやすくなります。
サプライヤーとの真正面からの品質対話
アナログな時代背景では「価格交渉=全て」と考えがちですが、現代のバイヤーや現場担当は「サプライヤーもチームの一員とみなす」発想が不可欠です。
例えば、「各工程で実装不良がどう発生したか」の現場情報をタイムリーに共有し合い、改善策を共同で考えること。
また、月次的不具合傾向をグラフ化した品質連絡会議の定例化など、透明性のある品質マネジメントが競争力向上にも直結します。
自動化・DXで新たな地平を切り拓く
デジタル技術やAIが加速度的に進歩する中で、「実装不良の撲滅」にもデータを駆使した取り組みが不可欠になっています。
IoT・画像認識を活用した実装不良のリアルタイム検知
IoTセンサや画像処理AIを組み込むことで、不良の前兆やパターンをリアルタイムに把握する仕組みが構築できます。
例えば、はんだ検査装置の画像データから異常を自動検知し、瞬時にラインストップ&警告通知が行われるようにすれば、「潜伏型不良」の流出を根本的に阻止できます。
現場ノウハウのデータベース化
ベテラン作業員の“手技”や、過去のミス事例から得たノウハウをデータベース化・ナレッジ共有することで、技能伝承やトラブル未然防止の新たな武器になります。
昭和アナログ現場でも、タブレットやPCを使ったミス事例集の閲覧・コメント機能を設置するだけで、若手作業員の“勘所”向上につながります。
まとめ:実装不良低減は全員参加の“現場改革”
実装不良の低減は、一部門や限られた先進設備だけで実現できるものではありません。
現場オペレーター、バイヤー、サプライヤー、技術者、マネージャーが垣根を越えて、原因を深掘りし対策を持続的に積み重ねることが、真の品質改善に直結します。
アナログ文化が根強く残る製造業だからこそ、“ラテラルシンキング”で一歩先の改善策に挑戦し、新しい地平線を切り拓くことが求められます。
本記事を、実装不良の撲滅や、現場起点の本質的な品質改革のヒントとして活用いただければ幸いです。
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