投稿日:2025年8月28日

標準色と標準塗料への統一で調色費と不良を減らす外観設計

標準色と標準塗料への統一で調色費と不良を減らす外観設計

はじめに:日本の製造業が抱えるアナログな課題

いまだに多くの製造工場では、外観品質、とりわけ着色や塗装の領域においてアナログな運用が色濃く残っています。
昭和から続く職人気質の現場では「都度調色」と「属人的な色合わせ」が当たり前。
その結果、調色費や不良発生がかさんで経営を圧迫しています。
時代は変わり、グローバルサプライチェーンに組み込まれる今、標準色と標準塗料への統一は避けて通れない課題です。

本記事では、現場で培ったノウハウや最新の業界動向にも触れつつ、調色費削減と不良リスク低減の視点から標準色・標準塗料導入の実践的な設計ポイントを徹底解説します。

なぜ調色コストが膨らむのか? 現場目線で解剖

現場では設計担当から「OEM先の指定色」「得意先担当者の気分によるマイナーチェンジ」「わずかな色ノイズが不良判定」など、調色要求が溢れています。
これにより、都度小ロット生産や再調色、色見本提出、見本承認待ちなどの工数が加算され、コストが雪だるま式に膨れ上がります。

加えて、標準化されていない塗料や顔料では、扱う材料点数も増えるため在庫・管理コストも嵩みます。
また、熟練作業者に依存した調色業務は「人手不足」「高齢化」のダブルパンチにより、リスクが増大しています。

標準色・標準塗料への統一がもたらす3つの恩恵

標準色・標準塗料へ統一することで、製造現場では具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。
現場視点で大きく3つの恩恵を解説します。

  1. 調色工数と調色費の削減
  2. 色調整工程が大幅に簡略化され、既製の標準色を指定することで調色作業が不要となります。
    都度の色見本提出・承認プロセスが減り、開発から量産立ち上げまでのリードタイム短縮に寄与します。

  3. 不良率低減と安定生産
  4. 色ブレによる外観検査不良や、色ズレの再塗装・再生産が激減します。
    塗料スペックも事前検証されているため「塗膜の密着不良」や「経年褪色によるクレーム」を大きく抑制できます。

  5. 在庫・材料管理コストの削減
  6. 塗料・顔料の品種を精選することで、部材在庫圧縮と発注量増による単価ダウン、新しい塗料採用時の検証工数低減を実現できます。
    結果的に生産管理の効率が飛躍的に向上します。

外観設計の現場に潜む「色バラツキの温床」とは

とはいえ、現場には「設計通りの標準色が守られない」「現物合わせで判断がずれる」などの温床が存在します。
色は光源・観察角度・周囲物の色などで想像以上にバラツキやすい要素です。
このため、標準色を設計段階だけでなく、現場実装まで落としこむことが非常に重要です。

また、材料や塗装方法ごとに色味がわずかに異なる場合もあり、仕上がりイメージの齟齬が生産部門と設計部門で発生しやすい。
よって、「標準色カード」「色票」「指定塗料のブランド・型番」などを用い、工程間の認識を一致させることがカギとなります。

バイヤーの視点:標準化要求の本音と取引先選定の変化

次に、サプライヤー目線でバイヤー(調達購買担当)の考えを探ってみましょう。
購買部門が標準化を強く推奨する理由、それは「一括購買によるコストメリット」「グローバル調達基準への適合」「サプライヤー管理簡素化」が大きな目的です。

過去は営業力や付き合いが重視されていましたが、今やバイヤー部門は明確な根拠ある「標準化提案」「不良率低減」「安定供給力」を評価軸としています。
標準化に消極的なサプライヤーは、今後、大手バイヤーの調達先リストから外されるリスクも認識しなければなりません。

標準色・標準塗料の選定ステップ:現場と設計の目線統一

標準化推進の鍵は「現場と設計の目線統一」と「具体的な運用フロー」です。
以下の手順で導入を進めるとよいでしょう。

  1. 社内で過去使用色・既存塗料を洗い出し、色と機能(耐候性・コスト・納期等)のデータベースを作成
  2. 主要顧客・OEM先の指定色と業界動向を調査(同業他社の標準色事例も参考)
  3. 現場で最も安定塗装・調達ができる塗料メーカー、型番を候補化
  4. 品質検証テスト(塗装条件幅・耐久テスト等)を設計-現場で合同実施
  5. 最終的に「標準色カード」「見本板」を現物決裁し、購買・設計・製造部門で共通仕様書化
  6. 標準色以外の指定時は「設計責任部署による決裁・調色費用の明確化」をルール化

デジタル活用:現場DX時代にこそ標準化のチャンス到来

最近では色判定や塗料管理にもデジタル技術が導入されつつあります。
「分光光度計」を用いた色味の数値化、調色自動機によるレシピ管理レベルでの標準化などです。

設計現場でも「3DCADの色指定」「デジタル色票共有」などDX活用が進んでいます。
これらは属人的なノウハウを定量化し、経年劣化や人事異動による品質リスクを最小限に抑える効果があります。

今こそ「昭和のアナログ運用から一歩先へ」進むきっかけと言えます。

外観だけじゃない、機能分野でも進む標準塗料化

近年の潮流として、耐食・防汚・抗ウイルス等の「機能性塗料」についても標準化が求められています。
設計初期に標準機能品を選択することで、都度試作や個別認証の手間やコストを省力化できます。
工場全体としての品質保証体制やリフロー工程省略によるエネルギーコスト削減など、機能分野への標準化展開が期待されています。

現場改革のための失敗しないポイントと社内浸透策

標準化の現場推進では以下を押さえることが重要です。

  • 設計会議だけでなく、現場塗装工や購買担当、品質管理部門も巻き込む(現場実装性を優先)
  • 標準色・塗料リストの見える化と社内イントラ共有
  • 標準外採用時のワークフローと追加費用の明確化(コスト責任の所在を曖昧にしない)
  • 既存生産ラインへの工程変更や教育・研修コストの試算も同時に実施
  • 顧客との事前合意形成(標準色サンプル提出やスペックイン推進)

教育面では「標準色カード」を新入社員や現場教育カリキュラムに組み込むことで、早期からの習熟・浸透を目指しましょう。

まとめ:標準化は現場と顧客の両方の幸せを実現する

標準色・標準塗料の統一は、設計部門の都合だけでなく、現場の生産性や品質、調達側のコスト管理、そして顧客満足度すべてに直結する戦略です。
アナログな世界観から脱却し、ラテラルシンキングで「なぜ標準化が必要か」を問い直せば、次世代の製造業を担う新たな地平線が拓けます。

これから製造業界で活躍したい方、調達・バイヤーを目指す方、またサプライヤーとして新しい価値提案をしたい方にとって、標準化の視点は大きな武器となります。
ぜひ現場と設計、そしてお客様をつなぐ「色と塗料の標準化改革」に、今こそ取り組んでください。

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