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電子機器・部品における信頼性確保と効果的・効率的な試験技術

目次
はじめに――製造現場から見た信頼性への飽くなき挑戦
製造業の中でも電子機器や部品の分野は、品質・信頼性という言葉が非常に重く響きます。
現場を預かる工場長や調達担当、品質保証部門、さらにはバイヤーに至るまで、全ての業務プロセスに「信頼性の確保」が貫かれています。
この考えは今も昭和的なアナログ文化が色濃く残る工場現場では根深く、新たな自動化やデジタル手法を取り入れつつ、独自の現場知見と融合させながら進化しています。
ここでは、筆者が20年以上の現場経験と管理職の視点から、電子機器や部品で求められる「信頼性」と、それを支える試験技術の変遷・最新動向、そして調達購買の目線も交えて、今求められる実践的なノウハウを詳しく解説します。
電子機器・部品にとっての「信頼性」とは
なぜ今、信頼性の要求がますます高まるのか
かつてのものづくりの現場では「壊れないこと」「長持ちすること」が良い製品の基準でした。
しかし、IoTや自動運転、医療機器など命や安全に直結する用途が増える中で、「想定される全ての使用環境で、期待通り動作すること」という高度な信頼性が求められています。
また、サプライチェーンがグローバル化し、複数のサプライヤーから部品を調達するスタイルに移行したことで、
・ロットごとの品質差異
・国や地域ごとの規制対応
・納品後のフィールドでの予測不能なトラブル
など、予想外のリスクをどう先回りして抑えるかが大きな課題となっています。
現場でトラブルが起きると何が起こるのか
電子部品のわずかな不良、はんだ付けの微細なクラック――一見目立たない問題がフィールドで重大事故に直結することがあります。
結果として、
・出荷停止による大きな損失
・顧客の信頼損失と取引停止
・再発防止策策定やリコールなどの莫大なコスト
など、工場現場・バイヤー・サプライヤーすべてに深刻な影響が生じます。
この現実があるからこそ、信頼性確保の重要性が強く認識されているのです。
試験の基本に立ち返る――なぜ「試験」が要なのか
誤解・手抜きが現場に横行する背景
現場には「検査はコストだから、できるだけ減らして効率化したい」「これまで問題なかったから、現状維持で良いのでは?」といった昭和的な空気が根強く残っています。
特に生産量重視の工場や、受注側のサプライヤーでは「合格品を納めればそれで良い」という“消極的な品質保証”が、
大規模トラブルの地雷となることも多いのです。
“不良を出さない”ではなく“想定不可まで試験する”発想
本当に強い企業、そしてグローバル調達でバイヤーが求めるのは、「不良ゼロ」ではありません。
実際の使用環境や予想を超えたストレス条件下でもどれほど壊れにくいか、潜在的不具合の見逃しがないか。
つまり「何重にもストレスをかけて意図的に壊し切る」
「不良発生箇所と原因を早期特定できる体制」
――これこそが、製造現場の現実的な信頼性確保の核心と言えます。
実践的な試験技術と現場導入のノウハウ
信頼性試験の種類とポイント
電子機器や部品で代表的な信頼性試験は下記の通りです。
- 加速寿命試験(高温高湿、高温動作、温度サイクル、HASTなど)
- 環境耐性試験(塩水噴霧、耐薬品、UV、振動・衝撃など)
- 機能/性能試験(通電通断試験、EMC試験、絶縁耐力など)
- フィールド実装試験(長期通電、組み合わせストレス評価)
- 目視検査・X線・非破壊検査(細かな内部不良の発見)
これらは個別に行うだけでなく、複合試験や組み合わせを工夫する現場ノウハウが重要です。
試験自動化とアナログ現場のギャップ
近年は画像処理やIoT連携による検査自動化、AIによる異常検知など、
先端技術も現場に導入されています。
しかし実際には、アナログ的な「ベテランの経験目視」や「勘所」を捨て切れない工場が多く、両者のバランスをうまく取る現場力が成功の鍵となります。
試験機器の導入一つを取っても、単なる“自動化頼り”では現場の障害要因を見逃しかねません。
手作業・目視・ヒヤリハットの記録も合わせて残すなど、独自の工夫を施すことで、初めて「生きた信頼性評価」が成立するのです。
バイヤーから信頼される品質情報とは
バイヤー目線で最も重視されるのは「信頼できるデータ」「再現性のある試験方法」「トラブル発生時の迅速な情報展開」です。
サプライヤーであれば、試験データの正確な提出、第三者認証の活用、説明責任を果たせるレポート体制の整備が重要です。
数値の羅列のみでなく、「この不良はこう生じる、こうすれば未然に抑えられる」といった、現場知見ベースの提案力が買われます。
また、フィードバックループ――納入トラブルの際にいかに速やかに事実共有と暫定・恒久対策まで示せるかも、信頼を勝ち取るための決め手となります。
昭和的アナログ現場とデジタル時代の融合
現場独自の“暗黙知”が持つ価値
AIやDXがどれだけ進んでも、現場の最前線には機械だけでは気づけない「微妙な違和感」や
「勘所を押さえた即座の判断」が残っています。
・音や匂いから異常を察知するベテラン
・ライン上での“わずかなモタつき”から原因把握する管理者
こういった昭和ならではの“匠の知恵”は、実はトラブル予防力・予兆検知力として非常に強力です。
デジタルや自動化ツールを現場ノウハウと融合させ、「人は本当に異例な部分をカバー」「AIは大量データで再現し効率化」を役割分担させるのが、現代の理想形です。
人の成長に投資する――“OJT進化型”現場教育のすすめ
試験の自動化が進んでも、真の「信頼性」を築くのは現場を知る人材そのものです。
現場ではトラブル事例集や品質異常のヒストリー、熟練者の“勘どころ”を若手に繰り返しOJT体験させる事が重要です。
例えば異常品を敢えて教材として使う、“わざと壊す”“限界条件で評価させる”教育方法は、机上の学習では得られない「使える現場力」を養います。
調達・購買目線で信頼性をどう見抜くか
単なる価格交渉ではない“サプライヤー評価軸”
サプライヤーにとって「調達購買部門」は価格や納期だけでなく、
「品質・信頼性で競合他社との差をつける」最大の商機となります。
バイヤーは
・トレーサビリティ(履歴管理)
・変更管理体制(仕様変更時のリスクコントロール)
・過去のトラブル時の対応スピード
など、目に見えない部分でサプライヤーを評価しています。
現場の声、試験結果の生データ、工程内不良の率直な開示――あえて弱みも含めて一緒に改善しようとする姿勢が、最終的に選ばれる理由となるのです。
バイヤー・サプライヤーの共創による真の信頼性確保へ
変化の激しい業界動向、米中のサプライチェーン分断リスク、SDGsや規制強化。
こうした中で、単なる“発注・受注”という関係だけでなく、
「不具合分析から後工程へのフィードバック」
「共同で評価試験設備を持つ」
「リスクを共有し合い予防策を協議する」
など、より深い連携がより強固な「信頼性」を生みます。
バイヤーを目指す方は「要求を呑ませる交渉人」ではなく、「一緒にリスク検証・価値創出を行うパートナー」視点を持つことで、部品・電子機器ビジネスの本質的な競争力を高められます。
まとめ――これからの信頼性確保の新しい地平線
電子機器・部品の信頼性確保は一朝一夕には成り立ちません。
昭和由来の緻密な現場ノウハウと、最先端の自動化・AI診断技術。
両者の強みを掛け合わせ、現場・バイヤー・サプライヤーが一体となって「使う人視点」での価値を徹底的に掘り下げていくことが、これからの時代を勝ち抜く道です。
現場の最前線に身を置く皆様が、それぞれの持ち場から“究極の信頼性”を追い求め、共に新しい製造業の地平線を切り拓いていけることを心より願っています。
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