投稿日:2024年8月7日

ブロワー(Blower)の選定と製造業での利用方法

はじめに

製造業におけるブロワー(Blower)は、空気やガスを効率的に移動させるために欠かせない装置です。
特に空調、換気、冷却システム、乾燥プロセス、粉体輸送など、さまざまな用途に使用されます。
この記事では、ブロワーの基本的な選定方法や具体的な利用方法について紹介します。
また、最新の技術動向についても触れ、製造現場での実践的な活用方法を考察します。

1. ブロワーの基本構造と原理

ブロワーは、主にファンとモーター、ハウジング(囲い)から構成されます。
ファンが回転することで空気やガスを吸引し、高圧で送り出す機能を持っています。
一般的なブロワーの種類には、遠心式ブロワー、軸流ブロワー、側流ブロワーなどがあります。

1.1 遠心式ブロワー

遠心式ブロワーは、内部のインペラー(羽根車)が高速回転することで、空気を遠心力で外部へ排出します。
このタイプのブロワーは高圧が得られるため、さまざまな用途に適しています。

1.2 軸流ブロワー

軸流ブロワーは、インペラーが軸方向に空気を流します。
一般的には大量の空気を低圧で移動させるのに適しており、主に換気システムで使われます。

1.3 側流ブロワー

側流ブロワーは、空気やガスが側面に配置された複数のインペラーによって圧縮される特徴を持ちます。
中圧・高圧域での使用が可能で、特殊な用途に利用されます。

2. ブロワーの選定基準

ブロワーを選定する際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。
具体的な選定基準について詳しく見ていきましょう。

2.1 風量と風圧

まず必要な風量と風圧を明確にすることが重要です。
風量は使用する場所や用途によって異なりますが、高圧を必要とする場合は遠心式ブロワーが適しています。
逆に大量の空気を低圧で移動させる場合は軸流ブロワーが望ましいです。

2.2 消費電力と効率

消費電力も重要な選定基準です。
効率の良いブロワーを選ぶことで、エネルギーコストを抑えることができます。
近年では、インバータ制御を搭載した高効率ブロワーが増えており、運転コストの削減が期待できます。

2.3 騒音レベル

製造現場では騒音レベルも無視できない要素です。
特に人が長時間滞在する場所では、低騒音のブロワーを選ぶことが推奨されます。
防音対策を施した製品や、運転音が静かなタイプを選ぶと良いでしょう。

2.4 環境条件

ブロワーを設置する環境条件も重要です。
例えば、腐食性のガスを扱う場合は耐腐食性のある材料を使用する必要があります。
また、高温多湿な環境では冷却機能や耐熱性に優れた製品を選ぶ必要があります。

3. ブロワーの具体的な利用方法

次に、製造業での具体的なブロワーの利用方法について説明します。

3.1 空調・換気システム

工場内の温度や湿度を適切に保つために、空調や換気システムにブロワーが使用されます。
特に、大型施設では効力の高いブロワーが必要とされます。
また、空気の質を保つためにもフィルターと併用することが一般的です。

3.2 冷却システム

製造工程で発生する熱を効率的に取り除くために、冷却システムでブロワーを使用します。
例えば、精密機器の冷却や製品の急冷作業などで効果を発揮します。
高圧で空気を送り込むことで、迅速かつ均一に冷却が行えます。

3.3 乾燥プロセス

食品や化学製品の製造工程では、乾燥プロセスが必要です。
ここでもブロワーは重要な役割を果たします。
加熱した空気を送り込むことで、効率よく乾燥が行えます。
特に連続式乾燥機やバッチ式干燥機では欠かせない装置です。

3.4 粉体輸送

粉体の搬送にもブロワーが利用されます。
高圧で空気を送り込むことで、粉体を配管内で均一に移動させることができます。
この方法は、材料を損傷させることなく、安全かつ効率的に輸送する手段として広く使われています。

4. 最新技術動向

ブロワーの設計や性能向上には最新の技術が取り入れられています。
いくつかの注目すべき動向を紹介します。

4.1 インバータ制御

インバータ制御により、ブロワーの回転速度を自由に調整することが可能になっています。
これにより、消費電力を削減しつつ、必要な風量や風圧を効率よく制御できます。
また、運転条件に合わせた最適なパフォーマンスが得られます。

4.2 IoT連携

IoT(Internet of Things)技術を活用したブロワーは、リアルタイムでの状態監視や遠隔操作が可能です。
異常の早期発見や予防保全が容易になるため、ダウンタイムを最小限に抑えられます。
また、データ分析を通じた運転効率の最適化も期待されています。

4.3 新素材の利用

ブロワーの軽量化や耐久性向上のために、新素材が導入されています。
例えば、カーボン素材や特殊合金を使うことで、高性能かつ長寿命なブロワーが実現されています。
これにより、メンテナンスコストの抑制や運搬の容易さが向上しています。

5. ブロワー導入のメリットと課題

ブロワーの導入には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの課題も存在します。

5.1 メリット

効率的な空気やガスの移動が可能になり、作業環境の改善や製造プロセスの効率化が期待できます。
また、高性能なブロワーを使用することで、エネルギーコストの削減が可能です。
さらに、最新技術を取り入れることで、運転管理が容易になり、トラブルの予防が可能です。

5.2 課題

一方で、初期投資が大きくなることが課題のひとつです。
特に高性能なブロワーは高価なため、導入には慎重な検討が必要です。
また、運転中の騒音や振動が問題になることもありますが、適切な対策を講じることで解決できます。

まとめ

製造業におけるブロワーの選定と利用方法について解説してきました。
ブロワーは多様な用途に対応可能であり、効率的な運用が求められます。
風量や風圧、消費電力、環境条件などを考慮し、最適な製品を選ぶことが重要です。
また、最新の技術を活用することで、さらなる効率化とコスト削減が期待できます。
ブロワーの効果的な活用で、製造現場の生産性向上に貢献できるでしょう。

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