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スクリーン印刷における環境配慮型インクの選定と廃液処理法

目次
はじめに
スクリーン印刷は、製造業の多くの分野で活用される技術です。
電子部品、自動車、アパレル、パッケージなど多岐にわたり、その現場では生産効率と品質向上が日々追求されています。
一方で、従来型のインクや廃液処理については、環境規制の強化や持続可能な社会への要求が高まりつつあります。
本記事では、スクリーン印刷における環境配慮型インクの選定と廃液処理法について、現場目線の実践的な内容や業界動向もふまえながら深掘りします。
スクリーン印刷の現状と課題
昭和から続くアナログ文化の現場実態
多くの現場では、未だ昭和から続くアナログ的な手法や慣習が根強く残っています。
たとえば、インクの選定は「これまでの実績」や「勘と経験」に頼る部分が大きいです。
また、廃液処理についても「とりあえず中和して流す」「保管して外部業者に任せる」という対応が一般的で、環境への関心は高まりつつも本格的な改善には至っていません。
環境配慮を迫られる背景
近年、SDGsやESG経営が社会的に強く求められ、工場にも脱炭素や化学物質の適正管理が求められています。
スクリーン印刷現場でもVOC(揮発性有機化合物)や有害重金属の削減など、具体的な対応が避けられなくなりました。
環境配慮型インクの最新動向
水性インクの拡大と導入ポイント
有機溶剤インクは乾燥や鮮やかさの面で優れていますが、その反面VOCの発生源でもあります。
近年は水性インクの開発が加速し、耐久性・密着性・乾燥性などの技術進化も著しいです。
現場での導入検討ポイントとしては、
- スクリーン版との相性(目詰まりしにくさ)
- 最終製品で求められる耐候性・耐水性
- 現行設備での運用可否(洗浄・乾燥工程)
- コストと生産能力への影響
などが挙げられます。
サンプルテストを繰り返し、小ロットから段階的に導入していくのが現場では王道です。
バイオマス・植物由来インクの可能性
原料の一部に再生可能資源を用いたバイオマスインクや、フタル酸エステルなど有害物質フリーの「グリーンインク」も登場しています。
こうした製品はCO2排出量の削減など環境ラベルの取得に繋がりますが、混合比や印刷後の物性(黄変、劣化)が課題でした。
最近ではこれらの性能向上も進み、グローバル企業への納品にも適用事例が増えています。
紫外線硬化型(UV)インクの利点と注意点
低VOC排出と高速生産を両立できるUVインクも選択肢です。
しかし、UV照射設備への投資と、作業員の安全管理(紫外線防護)、加えて廃棄時の硬化インク処理について配慮が必要です。
サプライヤー・バイヤー双方の視点で考えるインク選定
インク選定は「顧客要求」「法規制」「社内基準」「現場対応力」のせめぎあいです。
バイヤー(購買担当)としては、コスト・安定調達・品質保証だけでなく、環境負荷低減やグリーン調達ポリシーとの整合も求められます。
サプライヤー(供給側)には、提案力と開発力だけでなく、将来を見据えた持続可能な原料調達、廃棄物管理、LCA(ライフサイクルアセスメント)への意識が鍵となります。
相手企業の「将来どうしたいか」「CSRポリシー」「現場課題」に寄り添う姿勢が、ただの価格勝負ではないパートナーシップにつながります。
また、欧米アパレルや自動車大手からは「グローバル化学物質規制」「エコラベル取得」など新たな要件が追加されやすいため、先を見通した準備が重要です。
廃液処理法の現場実務と最新事例
従来の廃液処理の課題
現場では「中和→沈殿→排水」といった基礎的な廃液処理フローが一般的です。
しかし、自治体ごとの排水規制、下水基準、有機溶剤の取り扱い義務など、遵守すべき法令が年々厳格化しています。
一部では浄化装置や加圧濾過に投資する動きもあるものの、中小規模の現場では未だ「保管・外部委託」が主流です。
今後求められる責任ある廃液処理
技術・法規両面で進化しています。
企業としては次の点が求められます。
- 廃液成分の定期分析(MSDS管理含む)
- 担当者の教育(法令遵守・緊急時対応)
- 処理委託先の監査(マニフェスト管理)
- リサイクル技術活用(再生溶剤の利用・ゼロエミッション)
グリーン購入やISO14001取得企業の多くは「廃液トレース」と「分断管理」を徹底しています。
廃液を個別回収し、工程ごとに処理・分析することで違反リスク低減とデータ活用が進みつつあります。
環境配慮型インクに対応した処理法
水性インクや生分解性インクは、適切なpH調整やバクテリア分解装置による前工程処理が可能な場合があります。
一方、UVインクは硬化後もマイクロプラスチック化の懸念があり焼却処理や特殊な分離工程の選択が重要です。
また、廃液の減量化には「洗浄工程の自動化」「インク交換時の計画ロット生産」「リサイクル設備投資」など、現場改善の努力も求められてきます。
これからの調達購買・現場管理者に求められる視点
製造業における調達購買や現場管理者は、もはや「価格交渉屋」や「作業監督者」だけでは務まりません。
環境対策や社会的責任、サプライチェーン全体のリスク対応が重要となっています。
インク選定や廃液処理では、現場工程を知り尽くしている管理職こそ「抜本的な改善策」の発案ができます。
たとえば、次のようなアプローチが今後の競争力となります。
- サプライヤーとの協働開発による、現場実装しやすいグリーンインク提案
- 廃液発生率・処理コストの可視化、KPI管理による社内改革
- 業界団体や同業他社の動向を常にウォッチし最新事例をベンチマーク
- 現場作業員の声を拾い上げた運用改善と教育
また、「脱昭和」の発想として、IoTや自動計測技術と連動し、インク残量・廃液発生状況などのデータ活用も強力な武器となります。
まとめにかえて
スクリーン印刷の現場に立つ者として、「環境配慮型インクの選定」「廃液処理法の最適化」は避けて通れないテーマです。
目の前のコストや手間だけでなく、将来の法規制や社会的責任、サステナビリティまで視野に入れた意思決定が必要となります。
昭和のやり方に固執するだけでなく、ラテラル(水平志向)な発想で自社・現場に最適な方法を模索していきましょう。
サプライヤー・バイヤー・現場作業者の三位一体となった未来志向の現場改善、それがこれからの製造業の競争力となります。
今後も最新技術や業界動向にアンテナを張り、実践的な知見を現場から現場へとつなげていくことで、日本のものづくり全体の持続的な発展に寄与していきたいと考えています。
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