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投稿日:2025年7月5日

シーケンス制御の基礎理解とトラブル対策で安定運用を実現

はじめに 〜製造現場で求められるシーケンス制御の本質〜

シーケンス制御は、製造業現場の自動化・効率化の要となる技術です。
特に昭和から令和へと業界構造が大きく変化する中、現場では未だアナログ文化が根強く残る一方で、より高度な自動化ニーズが高まっています。

本記事では、シーケンス制御の基礎を現場目線で分かりやすく解説し、日々の運用で直面しやすいトラブルの要因とその具体的対策もあわせてご紹介します。
調達購買やバイヤー、またはサプライヤーとして設備改善や品質向上に取り組む方々にも有益となるよう、実践的な視点でまとめます。

シーケンス制御とは何か? 〜基本原理と製造現場での重要性〜

PLCを中心とする自動化の礎

シーケンス制御とは、設定した順序や条件に従って機械・設備を自動的に制御する技術です。
もっとも代表的な機器が「PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)」です。
この機器を使い、リレー回路やタイマー、カウンタなどの制御要素をソフトウェアで実現することで、設備の自動運転が可能となります。

工場現場には、今でもリレーやタイマーユニットで構成された「ハードワイヤード制御」も多く残りますが、制御内容の変更・拡張性、メンテナンス性などからPLC制御への置き換えが進んでいます。
シーケンス制御は、生産ラインの自動化・効率化を推進し、不良削減や安定生産、リソースの最適化の面でも欠かせません。

工程の「暗黙知」を「形式知」へ変換するツール

多くの製造現場では、ベテラン作業者のノウハウや「感覚」に頼った運用が長らく続いてきました。
しかし、シーケンス制御導入によって、工程を誰にでも再現可能な「手順(シーケンス)」として形式知化できます。

これによって属人的な業務依存を減らし、「安定した」品質や設備稼働を実現できるのが、シーケンス制御の大きなメリットです。

シーケンス制御で必ず押さえてほしい基礎知識

基本構造と“接点論理”の理解

PLCやハードリレー回路を理解するうえで基礎となるのが「接点論理」です。
これは、スイッチON/OFFやセンサ反応、安全回路など、物理的な“接点”の信号状態を“論理回路”としてどう読み取るか、という考え方です。

一般的には、

– 自動・手動運転切換
– 原点復帰動作
– センサ検知によるアクチュエータ動作
– 安全回路(非常停止やインターロック)

など、現場でよく遭遇する基本動作ロジックが数多くあります。

ラダー図の読み方・書き方

シーケンス制御の“設計図”である「ラダー図」は、各動作シナリオや異常検出の流れを直感的に表現できる手法です。
リレー回路を似た形状で表すことで、機械技師や現場作業者にも伝わりやすいのが特徴です。

ラダー図は各行(ラング)ごとに、

– 入力(条件接点)
– 出力(コイル駆動)
– 中間リレー・タイマー・カウンタ

などで構成されます。

現場では、この図面からシステムの全体動作を瞬時にイメージし、トラブルシューティングに活用することが求められます。

“インターロック”設計の重要性

インターロックとは、安全性・品質確保のために「ある条件を満たすまで次の動作をさせない」論理的な仕組みです。
例えば、

– ドアが閉まらないと装置が起動しない
– 前段の製品排出完了信号が出てから次段に搬送する

といった工程間で必須となる制御です。
インターロックをおろそかにすると、現場のヒューマンエラーや予期せぬ誤作動による大きな事故や不良発生につながります。

現場で頻発するシーケンス制御のトラブル事例

入力デバイスの物理故障や誤配線

現場で最も多いトラブルが、リミットスイッチやセンサの物理故障、もしくは定期メンテナンス時の誤配線による信号不良です。

例えば、ロータリースイッチの接点摩耗による断線、近接センサの汚れによる誤検知は、工程停止や品質不良の直接的要因になります。

点検時に「現場はきちんとセンサが動作しているか?」をテスターなどで入念にチェックする習慣が生産効率・品質向上の王道です。

プログラムミスや仕様変更時の不具合

導入段階や設備変更の際、PLCプログラムに矛盾やロジックの誤りが紛れ込みやすくなります。
操作手順追加や工程短縮の変更時、古い制御フローのまま手が加えられていない例も多いです。

この場合、現場で想定外の動作停止やシーケンス崩壊を招くこともあるため、綿密な試運転と文書による仕様管理が不可欠です。

システムダウン・電源トラブル

雷サージや突発停電、制御盤内部の異常発熱などによるシステム一斉停止も、現場ではたびたび起こります。
20世紀型設備では電源ラインのノイズやグランド不良にも十分注意が必要です。

トラブル対策の基本アプローチと実践ノウハウ

① まずは簡単な“現地五感チェック”から

異常発生時、まずは自分の五感(目・耳・手など)を使い、現場の音や動き、異臭、発熱や結露・漏電の有無を確認します。

簡単な現場観察で解決する“単純ミス”も意外に多いものです。
ときにはケーブルの断線やネズミ害、装置周辺の油・ゴミ詰まりなども疑いましょう。

② 異常発生時の“時系列整理”

いつどのタイミングでトラブルが発生したのか、周囲の設備状態や前工程の変化を紙にメモし、時系列で流れを整理します。
複数の信号や動作が重なる場合でも、正常時のシーケンスと異常時の違いを明確にすることで、原因特定につながるヒントが必ず見つかります。

③ PLCモニタ機能の最大活用

多くのメーカー製PLCでは、入力信号・出力状態・内部リレーの履歴といった“現物信号ロギング”が可能です。
この機能を上手に活用することで、たとえ複雑な制御であっても、どのタイミングで信号不一致が発生したか一目でわかります。

現場のみならず、遠隔からのトラブルサポートや解析にも非常に有効です。

④ 変更点は必ず記録として残す

プログラム変更や配線修正、部品交換履歴は必ず現場の日常点検簿や設備管理シートに記録を残しましょう。
担当者の“思い込み”による見落としや、情報伝達不足による再トラブルを防ぐうえで、アナログな記録体制も効果的です。

安定稼働・効率化のための「現場力」養成術

現場スタッフへの教育・OJT体制の構築

最新鋭の制御技術を導入しても、それを運用・ブラッシュアップするのは「人」です。
特に熟練工が減り、若年層や多様な人材が主力になる令和の工場では、ラダー図の基礎や制御原理の勉強機会が欠かせません。

定期的な勉強会や、実物教材(旧い制御盤やリレー部品)を活用したOJTトレーニングは「現場力」を底上げする重要な武器となります。

計画的な改善活動とKPI指標の導入

シーケンス制御では、小さな工程改善やトラブル対策の積み重ねが最大の財産です。
工程停止回数、トラブル発生件数、設備可動率など、定量的なKPI(重要指標)を設定し、改善結果を見える化しましょう。

日々のカイゼンを通して現場習慣として浸透させることで、安定した設備稼働・生産性向上・品質安定を実現できます。

まとめ 〜シーケンス制御の確かな実践がものづくり力を高める〜

シーケンス制御はただの自動化技術ではなく、現場のノウハウや改善文化を“形式知”に変換する「知恵の集積」です。

昭和のアナログ文化や現場の属人化から脱却し、現場全体でノウハウ共有と持続的改善を進めることで、日本のものづくりはさらに発展できます。

トラブル対策や安定運用のためのノウハウを蓄積することも、調達購買バイヤーやサプライヤーの立場で価値提案を高めるカギとなります。

今後も現場目線・実践重視で、進化し続ける制御技術を“しなやか”に使いこなし、ものづくり現場の未来をともに切り拓いていきましょう。

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