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パジャマの襟元がヨレないための縫製パターンとステッチテンション

目次
はじめに:パジャマの襟元問題は「現場の常識」?
みなさんは、「パジャマの襟元がすぐヨレる」という声を耳にされたことはありませんか?
特に家庭用のパジャマや、安価な量販店で販売されるパジャマに多いこの問題。
着ているうちにだらしなく開いたり、生地が波打って型崩れを起こしたりと、お客様満足度に直結する品質課題です。
このため、多くのアパレルOEMメーカーや工場現場では、襟元の縫製パターンや糸調子(ステッチテンション)が重要な「品質管理のツボ」となっています。
20年以上もの間、調達・生産管理・品質管理・工場自動化に携わってきた実体験を元に、現場目線で深掘りしてみたいと思います。
襟元がヨレる主な原因とアナログ業界の”あるある”
1. 生地の選定と裁断精度の課題
パジャマ用の生地は、肌ざわり重視で伸縮性素材(ニットや天竺など)を使うことが多いです。
しかし、こうした生地は「裁断方向」と「地の目通し」がわずかに狂うと、洗濯を繰り返した時や着用中の引っ張りで、容易にヨレが出やすくなります。
現場では、「裁断はマニュアル基準ぴったりに!」と指示しても、実際は作業者の経験・勘に頼りがちなため、微妙な個体差が生まれやすい環境にあります。
昭和から抜け出せないアナログ工場では、特に顕著です。
2. 襟ぐりパターンと縫製仕様の影響
パジャマの襟元は、カーブが浅い丸首からVネック、開襟シャツ型までバリエーションが豊富です。
一見シンプルですが、それぞれに最適な「パターン設計」と「縫製手順」があります。
例えば、身頃本体と襟パーツの縫い合わせ部の幅や、インターロックかカバーステッチか、といった縫製仕様の違いで、ヨレやすさに大きく差が出ます。
しかも実は、CAD(自動展開)と実裁断の乖離、極端なコストダウン要求による工程省略が重なると、どんなに腕の良い作業者でも限界が生じます。
3. ステッチテンションは「職人芸」か「数値管理」か
縫製現場のベテランは、「ミシンの糸調子(テンション)」で仕上がりを”微調整”することが多いです。
ですが、このテンション設定は、基本的にマニュアル化・標準化しにくい厄介な要素です。
試作品では美しくても、ロット生産でバラつく理由の多くは「テンションの個体差」に帰結します。
現場でよくあるのが「A班のパジャマだけ襟元の見た目が違う」や「糸始末が雑で波打ちが…」といった声。
こうした属人的な技術だけに頼る姿勢は、カイゼン活動や工場の自動化推進とは真逆を行くものです。
ヨレ防止のための縫製パターンの工夫
1. バイアス裁ちとフューズ(接着芯)の活用
首回りは必ず布帛でも「バイアス裁ち」もしくは「略バイアス裁ち」を取り入れましょう。
バイアス(斜め方向)は、縫い代が伸縮に追従しやすく、引っ張りじわや波打ち、ヨレを未然に防ぐことができます。
また、首ぐりテープや見返し、台襟部分にはソフトなフューズ(接着芯)を部分的に貼ることで、形状保持能力が飛躍的に高まります。
コストアップを恐れて省略されがちな工程ですが、工場監査時に「ノンフューズで安っぽい仕上がり」の実例は後を絶ちません。
2. 襟周りのパターンに「ゆるみ」を持たせる
「実寸ピッタリ」を求めるあまり、アパレルパターン上で首周りを極限まで”ギリギリ”に設計すると、完成品で想定外のテンションが襟にかかり、ヨレやすくなります。
特にニットは、縫製で必ず生地が引っ張られるため、設計段階で1%程度の「ゆるみ(伸び代)」を持たせることが重要です。
紙上の理想値ではなく、現物合わせ(トワルチェック)は必ず複数回行い、現場ファーストのリバース設計思想を意識しましょう。
3. 工程見直し:襟元の「二段縫い」手法
一度で襟ぐりと見返しをまとめて縫い上げる「一発縫い」は、コストを下げられる反面、僅かなズレが仕上がりに致命的な影響を与えます。
少し手間でも、一次縫製→アイロンプレス→二次縫製と「二段階」で仕上げることで、熱変形・癖取り・縫目ズレの調整が実現できます。
生産性より安定品質を重視したい現場では、「多工程化による歩留まり向上」が鍵となります。
誰でもできる!糸調子(ステッチテンション)最適化テクニック
1. ミシンごとの基準設定と点検ルーチン
昭和の工場現場では、「作業者が感覚でミシンを調整する」ことが一般的でした。
しかし今や、多品種小ロットや多様な素材が行き交う時代です。
各機種・各工程ごとに「標準テンション値(目安)」を設定し、日々の点検ルーチンに「必要以上の糸引き・緩み・割れ目ワレ」を見逃さない基準書管理を徹底しましょう。
バイヤーはサプライヤーに「標準縫製テンション表・設定値の見える化」を求める傾向が強まっています。
現場では「工程管理シート」や「品質点検票」に記録を残すことで、顧客信頼度が向上します。
2. テンション違いのサンプルを並べて比較・記録
現場教育やOJTでも、各種テンション設定でサンプルを縫製し、襟元の仕上がりや波打ち具合を「物理的に比較」することは非常に有用です。
従来のように「古株が手本を見せて終わり」でなく、テンションごとの仕上がり画像をデータベースとして残し、「新入り作業者でも同じレベルで発見・改善できる」仕組みを作りましょう。
3. 縫製ラインの自動化・DX活用も効果的
現在は、IoTやAI画像検査システムの導入で、襟元の波打ちや型崩れを自動検知し、リアルタイムでアラートを出す仕組みが構築可能です。
また、「自動糸テンション補正機能付きミシン」の活用により、人手による調整ミスを最小限にする動きも広がっています。
バイヤーやエンドユーザー向け品質保証には、「工程データの証跡提出」も求められます。
現場にとっては一見負担増ですが、「安定品質によるクレーム激減」「工数ロス削減」という成果にもつながります。
バイヤー視点・サプライヤー視点で押さえておくべきポイント
バイヤー: 付加価値提案力+品質の両立が必須
バイヤーは価格競争だけでなく、
・「耐洗濯性」や「外観耐久性(型崩れしない)」など品質スペック
・「標準化された工程×品質保証フロー」
・「生産現場のカイゼン提案力やDX対応力」
を、総合的に評価してサプライヤーを選定する時代です。
今後は設計・パターン・縫製・品質管理までを一気通貫で「見える化」し、説得力のある資料を迅速に提出できる体制が求められます。
サプライヤー: 「攻めの品質管理」で差別化を
サプライヤーの立場では、従来型の「安かろう・悪かろう」からどれだけ脱却できるかがカギです。
具体的には、
・工程ごとの品質管理数値の見える化
・不具合発生プロセスの即時是正(PDCAサイクル)
・AIや自動化技術など新技術の積極導入
で、信頼性と生産効率を同時実現することが差別化ポイントとなります。
現場での「アナログ職人芸」も残しつつ、「定量管理」と「データ活用」に強みを持つことが、今後の選ばれるサプライヤー像と言えるでしょう。
昭和モデルからの脱却、新たな地平線へ
パジャマの襟元がヨレない工夫は、「現場で考え抜かれた創意工夫+科学的な品質管理」が両輪です。
激しいコスト競争の時代だからこそ、「当たり前を磨き続ける職人魂」と「現場発のカイゼン体質」が両立する現場こそが、未来の製造業をリードしていくはずです。
「襟元がきれいなパジャマ」は、現場ひとり一人の、そしてバイヤー・サプライヤー協働の「工夫と改善」の結晶そのもの。
厳しい市場を勝ち残るために、現場起点のイノベーションと業界横断的な知恵の共有が、今まさに求められています。
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