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日本の中小企業を活かした共同購買と価格低減の戦略的活用法

目次
はじめに:中小企業の「調達力」が問われる時代
日本の製造業は、長く大企業主導で発展してきましたが、ここ十年でパラダイムシフトが起こっています。
グローバルな競争激化、部材コストの高騰、サプライチェーンの混乱など、外部環境の変化が中小企業の経営に直接影響を与えています。
とりわけ「調達購買」は、もはやコストダウンだけでなく企業存続や成長を左右する戦略領域となりました。
このような時代に、中小製造業が力強く生き残るための実践解として注目すべきは、「共同購買」の活用です。
共同購買の基礎と日本企業に根付かない理由
欧米では当たり前の共同購買
日本よりも市場競争が激しい欧米では、中小企業がバリューチェーン全体で「共同体」を作り、日用品から資材、専門部品まで幅広く共同購買しています。
これにより、単独で調達するより高い交渉力とスケールメリットでコストを下げ、安定調達を実現しています。
日本の中小製造業はなぜ導入に消極的だったのか
日本の製造現場は、「長年の取引関係」や「独自ルート」に強いこだわりがあります。
また「同業者と手を組むと競合情報が漏れるかもしれない」「品質基準が異なり交渉コストが高い」などの心理的バリアが、共同購買普及の壁となってきました。
令和の今、働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、中小企業が一社だけでサバイブしていくことはますます難しくなっています。
ここで発想を転換し、共同購買のメリットと活用法を現場目線で見直す必要があります。
共同購買の現場的メリット
価格低減だけでない真の価値
共同購買の最大メリットは「価格低減」だけではありません。
以下のような効果が期待できます。
1. 発注量の集約によるサプライヤーへの交渉力強化
2. 在庫管理や物流コスト、間接業務コスト(発注・検品・支払処理など)の分散・削減
3. 情報共有による新サプライヤーの開拓や新資材・技術の発見
4. 安定調達やBCP(事業継続計画)リスクの低減
例えば、ある町工場グループは、週に何社も同じネジや板金部材をバラバラに発注していたのを、ISO品質基準を統一した上で共同購買化しました。
結果として、1ロットあたりの単価が従来より9%以上下がり、さらに月40時間以上の間接業務削減につながったという事例もあります。
価格交渉が楽になる裏側の心理戦
購買担当者として経験則から言えるのは「複数顧客による安定した継続発注」はサプライヤー側にとって非常に魅力的です。
納入側としても新規設備投資や生産体制拡充を安心して進められるため、「今だけ値引き」ではなく長期的なコスト構造の見直しを交渉材料にできます。
発想を変えれば「バイヤー主導の価格たたき」ではなく、「サプライヤーにメリットを提示しwin-winな関係を構築」することこそ、今後の調達力強化には不可欠です。
共同購買実践の成功ポイント
「目的」と「踏み込む範囲」を明確にせよ
一口に共同購買といっても、その形態と深さは千差万別です。
まず最初に、「何を、どこまで協業するのか」を明確にすることが重要です。
例:
・標準化が容易な汎用部材だけを共同購買する
・原材料の共同輸入を手がける
・副資材や消耗品(梱包資材、工具、作業着など)を集約する
・倉庫物流や輸送ルートも一体運用する
いきなりすべてを一本化しようとすると現場の混乱を招くので、まずは初期段階で無理のない範囲から小さく始めることが定石です。
共同購買化のマネジメント設計
共同購買実現のためには「組織横断型プロジェクト」としてチームを組み、次のポイントを設計しましょう。
・各社調達担当者の役割分担(主幹事会社を決める)
・購買基準(品質・納期・価格・与信など)を揃える
・発注や支払い方法の共通ルール化
・トラブル発生時の連絡フローと解決プロセス
・共同決定できる意思決定者の明確化
ハード・ソフト両面の「ち密な段取り」が成功のカギとなります。
アナログな業界を変えるDXの活用手法
デジタルツール活用で失敗を減らす
共同購買の最大のハードルは「情報共有」と「進捗管理」です。
ここでDX化が飛躍的な効果を生みます。
例えば、クラウド型調達・購買プラットフォーム(例:コクヨの「コモゾーン」やマネーフォワードクラウドなど)を使えば、
・各社発注量、単価、納期履歴をリアルタイムで共有
・エクセル手作業よる入力・メール送信の手間を大幅に省力化
・発注/納品/検収/支払いまで自動連携
・バックオフィス業務の標準化と抜け漏れ防止
アナログな帳票主義から脱却し、「みんなが腹落ちする」見える化によって安心感と効率化が両立します。
紙文化の心理的壁はこう乗り越える
現場では「今までのやり方じゃなくなる不安」「手続きが複雑になったら困る」という声も根強いです。
この壁を破るには、まず「楽になる未来像」を現場スタッフ(事務・現場作業者問わず)に具体的に示すこと。
事務方の手間が減り、現場がコア業務に集中できる事例をロールプレイで体験してもらうのが効果的です。
バイヤー、サプライヤー、工場長の視点でみる共同購買の利点と懸念
バイヤー(調達担当者)の視点
共同購買では、「全体最適」をどう作るかが問われます。
日々の価格交渉や単価比較だけにとらわれず、「この仕組みは現場運用で本当に生きるか?取引先や現場にも納得感があるか?」という観点で、“一手先”を読みながら設計しましょう。
サプライヤー(納入側)の視点
従来の「不確かな小ロット注文」「突然の仕様変更」などに悩んでいたサプライヤーにとっては、
「まとまった発注」「今後数カ月の需要計画共有」が何よりありがたい要素です。
ただし、値引き要求が過剰すぎれば協力関係が崩壊するリスクもあります。
「コストダウン分の原資」「改善アイデア」も慎重に共創しましょう。
工場長・マネジメントの視点
現場からみれば、「調達コストダウン」だけでなく「生産工程・在庫管理の平準化」「調達リスクの低減」も大きな経営効果です。
たとえば、A・B・Cランキング管理や定期発注サイクルの標準化によって、調達在庫ロスが驚くほど低減します。
共同購買を成功させるための「横断的コミュニケーション」
調達・購買部門と生産現場、サプライヤーを隔てて考えるのではなく、「現場の生の声」を抽出し、意思決定ループに巻き込むこと。
定期的な情報交換会やミニ勉強会を実施し、成功体験をメンバー間で共有することで、モチベーション維持と組織横断の信頼感を育てます。
今後の日本の中小製造業の「協調的サバイバル戦略」
「昭和のやり方」だけに固執せず、デジタル技術と人的ネットワークの両利き経営で生き残る中小企業は、日本経済の“底力”を生み出す原動力になります。
共同購買の成功企業は、次の時代には開発力、販路、物流、IoT活用などより幅広い共同化へと進化しています。
失敗を恐れず、一歩踏み出す挑戦が明日の競争力を作り出します。
今こそ次の「日本型イノベーション」を自らの現場から生み出していきましょう。
まとめ:現場主義で進める共同購買のすすめ
共同購買は単なるコストダウン手法ではありません。
現場・調達・経営・サプライヤー全員が自発的に「協業=価値創出」に踏み出す、大きな一歩です。
中小製造業だからこそできる知恵とスピードを武器に、共に未来を切り拓きましょう。
新しい時代の“ものづくり現場力”を、現場主義でともに実践していきましょう。
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