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投稿日:2026年2月5日

イベント消耗品を安く切り替えた結果クレーム対応が増えた話

はじめに:コストカットの現場判断、その落とし穴

製造業の現場では日々、さまざまな消耗品が使われています。
この消耗品のコスト削減は経営課題として頻繁に取り上げられます。

イベントに使用する消耗品も例外ではありません。
「同じ機能なら安いほうがいい」「見た目も変わらないなら切り替えても問題ない」。
このような現場判断で安価な代用品への切り替えを決断した結果、想定外のクレーム対応に追われることになるケースは後を絶ちません。

今回は、実際にイベント用の消耗品を安価な物に切り替えた結果として発生したトラブル事例を紹介し、その背景や現場目線からの改善提案を、長年の製造業経験をもとに深掘りしていきます。

よくあるコスト削減のパターン

なぜ「安いもの」に目が行くのか

製造業の調達・購買部門や現場リーダーにとって、コスト削減は最大のテーマの一つです。
「少しでも経費を安くしたい」
「国産から海外製品に、ブランド品からノーブランドに」
そんな誘惑は、日常的に私たちの前に現れます。

カタログ価格や見積金額だけを比較し、「これで十分ではないか」と結論付けてしまいがちです。
しかし、この最短距離の思考が、予期せぬリスクを招いてしまうことも少なくありません。

現場で使うイベント消耗品の特殊性

製造ラインで使う定常的な消耗品と異なり、「イベント消耗品」は不定期かつ大量に使用される特徴があります。
作業着や手袋、名札、包装材、POPパネル、会議用のペンやノートなど多岐に渡り、短期間のうちに使い切る想定が多いため、コスト比較だけで選定されることが珍しくありません。

また、イベント特有の「見せるため」「特別感重視」の側面から、普段より多少の質低下は許容されやすい、という現場感覚もコスト優先判断に拍車をかける要因となっています。

実際に発生したクレーム事例の紹介

事例1:粗悪なイベントバッグでの信用失墜

新製品発表会で大量に必要となるトートバッグ。
当初使用していた国産のナイロン製品から、安価な海外製品に切り替えたところ、持ち手部分の縫製が甘く、配布直後に破損するトラブルが続出しました。

来場者からは
「バッグが壊れて資料が散乱した」
「せっかくのイベントなのにがっかり」
などのクレームが寄せられ、主催企業の印象ダウンに直結。
謝罪・代替品送付・再発防止策の説明など、後処理に多くの時間とコストを費やすことになりました。

事例2:安価なノーブランドマーカーペンによる混乱

ワークショップで使用するため、高価な国内ブランド品から格安ノーブランドペンに切り替えてコストダウンを図りました。

しかし、当日会場で
「インクがすぐにかすれて書けない」
「手がインクで汚れた」
と参加者から不満が噴出。
現場の進行管理者は急遽、文房具店に走ることとなり、トータルコストが逆に膨らみました。

事例3:使い捨て手袋の不良で衛生問題に発展

試食イベント用の使い捨て手袋について、大容量かつ格安のタイプに変更しました。
しかし開封すると、手袋同士が密着して取り出しにくい、サイズにバラつきがある、途中で破れるといった問題が多発しました。

衛生現場で手袋の着用を徹底できず、結果的に衛生管理のクレームと信頼低下が生まれました。

なぜクレームが発生しやすいのか?

「見た目は同じ」でも「現場品質」は別物

イベント消耗品の多くはパッと見の見た目や機能が「同等品」に見えてしまいやすいです。
そのため、「同じような製品なら価格が安い方が良いだろう」と考えてしまいます。

しかし、実際には
・短期使用に特化しすぎて耐久性が無い
・大量生産品で品質バラツキが激しい
・設計上のマージンが小さく、使い方の幅が狭い
・安全衛生やアフターサポートまで考慮されていない
といった落とし穴があります。

現場では日常的に「想定外の使い方」や「急なアクシデント」が発生しがちです。
これを考慮しないスペックダウンは、クレームの元になります。

「安い=品質が悪い」とは限らないが…

もちろん、全ての安価な製品がダメとは限りません。
しかし昭和から根付く日本の製造業現場は、「安心・安全」「信頼」「作業効率」「顧客満足」といったソフト面を想定してものづくり、現場運用をしています。
この現場目線を無視した調達・選定は、仮にコスト削減できても”見えないコスト”(クレーム対応・現場混乱・信用失墜)を高くつくリスクが潜んでいます。

クレーム対応に追われる現場の実情

即応・原因調査・再発防止の3点セット

クレームが発生した場合、現場担当者が行うことは決まっています。
1.迅速な謝罪・暫定対応
2.現地・現物・現認での原因調査
3.再発防止策の立案と報告
安価な消耗品のトラブルは頻度も数も多くなる傾向があるため、このルーティンが増大し業務負荷を圧迫します。

本来の生産・サービス品質管理に注力できず、
「何でこんな些細なことで現場がバタつくんだ」
「上層部は現場の実感なき方針でしか動いていない」
といった現場のモチベーション低下を招きかねません。

見落としがちな「二次的損失」

一度信用を失うと、取り戻すのは非常に困難です。
イベントの失敗談は口コミやSNSで拡散しやすく、その後の商談・受注に影響を及ぼすこともあります。
更に、現場への過度なコストダウン要求は、適正な在庫確保・想定リスクの回避ができず、小さなほころびが大きな損失へと波及する懸念もあります。

現場目線から見る「賢いコストダウン」の考え方

単なる価格比較からの脱却:総合的視点が不可欠

イベント消耗品のコスト管理は、「単価の安さ」だけでなく「トータルでの使い勝手・安心感」「クレーム発生率」「対応工数」を総合的に評価する必要があります。

できれば
・現場担当者と調達部門が事前に十分相談する
・予備試験やサンプル使用を必須とする
・一部のみ安価品に切り替えて小規模テスト運用する
・過去のクレームやトラブル発生履歴を可視化し事前共有する
といった、「現場と調達の共同PDCA」を回すことが肝要です。

リスク対応力が「サプライヤー選定基準」になる時代

現代のバイヤーが特に重視しているのは、「いざという時にどれだけ柔軟に対応してもらえるか」という力です。
ただ安い消耗品を買う調達ではなく
・小ロットでの臨機応変な出荷
・トラブル時の迅速な代替品供給
・現場のクレーム現認や改善提案の積極性
など、「現場を守る調達力」が本当の付加価値にもなります。

昭和の時代に培われた「お客様第一主義」と「現場主義」の両立こそ、今こそ見直すべき日本の強みです。

バイヤーとサプライヤーの理想的な関係性を考える

「コストだけ」の調達を卒業しよう

調達バイヤーは、しばしば「コストカットファースト」になりがちです。
しかし、サプライヤーも自社の品質や顧客の現場状況を理解し、ともにリスクとブランド守る仲間となるべきです。

実際に現場課題を丁寧にヒアリングするバイヤーや、「これはここまでコストダウンできますが、○○のリスクはあります」とデメリットも正直に伝えるサプライヤーこそ、パートナーとして長い信頼関係に結びつきます。

今後の製造業発展のために

日本の製造業は「現場の声」「使い勝手へのこだわり」で世界有数の信頼を築いてきました。
「安かろう悪かろう」ではなく、「必要な品質を適切なコストで提案する」バイヤーとサプライヤーの関係性が、今後ますます求められます。

現場主義で徹底したラテラルシンキング(水平思考)を持ち続けること。
それこそが、昭和的なアナログ業界の『良さ』を活かしつつ、現代的なコスト最適化とも両立できる道なのです。

まとめ

イベント消耗品の安価な切り替えは、一見単純なコスト削減策に見えます。
しかし、クレーム対応や現場混乱・顧客不満・ブランド信頼の低下まで視野を広げてみると、見えない損失が膨らむリスクを含んでいます。

製造業に従事する皆様、購買・調達を志す方、そしてサプライヤーとして現場の痛みをわかろうとする方へ。
安さ優先の判断に立ち止まり、一緒に「現場ファースト」「最適バランス」の調達・提案について、今一度見つめ直していきませんか?

現場から生まれるラテラルな発想力で、業界の明日を変えていきましょう。

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