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電子機器電装品のシステム設計と構想基本設計時のポイント

目次
はじめに
電子機器や電装品の需要が年々高まる中、システム設計および構想基本設計の重要性は増す一方です。
製造業、とくにアナログ文化が根強く残る業界においては、昭和の手法を踏襲しつつも、新しい発想と技術の導入が欠かせません。
本記事では、現場目線からみた実践的な設計手法や、調達・購買、生産管理、品質管理の観点を交え、バイヤーやサプライヤーにも有効なヒントを解説します。
電子機器・電装品のシステム設計とは
電子機器・電装品のシステム設計とは、製品が持つべき機能や性能を定め、その実現に向けて「どのようなハード・ソフトウェア構成とインターフェースを設計するか」を明確にするプロセスです。
この際、品質、生産性、コスト、保守性、拡張性など、多様な要件が複雑に絡み合うため、要件定義から各種調整・合意形成・設計ドキュメントの整備まで、幅広い実務対応力が求められます。
設計と構想基本設計の違い
システム設計は「要件を満たすための仕組みを具体化する」フェーズですが、構想基本設計はその前段階で「システムの全体像や方向性を描き、関係者間でビジョンを共有する」段階となります。
このため、構想基本設計では技術的な制約や業界動向を見極めながら、プロジェクトの成功に直結する要件抽出が鍵となります。
構想基本設計時に必ず押さえるポイント
1. 現場の課題・真のニーズを徹底的に洗い出す
電子機器・電装品のシステム設計で最も失敗しやすいのは、「開発チームの視点だけで設計を進めてしまう」ことです。
現場での作業実態や、前工程・後工程の流れ、故障やトラブル履歴、クレーム情報を徹底的にリサーチすることで、真の課題や解決すべきニーズが見えてきます。
調達購買や品質管理の立場からも不具合品の戻り理由、調達トラブル、リードタイム遅延などの生データを引き出し、現場目線で設計に反映することが大切です。
2. 属人化の排除と標準化を意識する
「ベテランだけが分かる」「あの人に聞かないと分からない」といった属人化がアナログ業界には多くみられます。
しかし、構想基本設計段階から「誰が担当しても分かりやすく、誰でも一定の品質を担保できる」標準設計を意識して進めることで、後工程の品質トラブルや量産移行時の問題を最小化できます。
プロセスフロー図やI/Oリスト、部品構成表(BOM)、システムブロック図などを積極的に可視化し、社内外関係者が同じイメージを持てるようにすることが、スムーズなPJ推進のカギです。
3. 「今ある部品・技術をどう活用できるか」の発想も有効
斬新な設計や最先端の部品選定も魅力的ですが、製造現場では「すでに実績ある部品や自社・グループ内の標準技術を流用する」ことが、品質・コスト・調達リスクの面で大きなメリットを生みます。
バイヤーや調達部門の視点では、「標準部品の活用」「複数サプライヤによる安定調達」「在庫統合によるリスク分散」なども強く意識されるため、構想段階からサプライチェーンを巻き込んだ設計にするのが重要です。
4. メンテナンス性・拡張性・将来性を考慮した設計
構想段階で「拡張性」「将来の改変容易性」「予防保全しやすい構造」「部品の交換性」などを加味し設計することが、リエンジニアリングやアフターサービス時の圧倒的な差となって現れます。
とくに電子機器では、法規制・標準規格の変化、環境対応部品やグリーン購入法への対応、デジタル化要請も加速しているため、中・長期視点での「拡張性ある設計思想」が重要です。
業界動向を押さえたシステム設計アプローチ
電子機器・電装品のサプライチェーン動向
近年、半導体や一部電子部品の供給不安定が世界的な課題となっています。
アナログ部品の代替難易度の高さやリードタイムの長期化は、製造業のバイヤーにとって常態的なプレッシャーです。
そのため、システム設計段階から「1メーカー依存排除」「ピン互換・スペック互換品の想定」「サプライヤ認定や調達ロット拡張」などの対応策が強く求められています。
デジタル化/IoT化の流れと設計思想
多くの製造現場で「見える化」や「省人化」「遠隔監視」といったニーズが高まっています。
IoTや制御ネットワーク技術の導入を想定したシステム設計を行うことで、将来的な拡張・外部連携を容易にし、現場変化にも柔軟に対応できる体制を作れるようになります。
従来の「ブラックボックス化した専用制御装置」から脱却し、「オープンなプロトコル採用」「通信インターフェースの標準化」「シミュレーションや仮想検証の組み込み」などが顕著なトレンドです。
バイヤー目線・サプライヤー目線で考える設計の勘所
バイヤーが重視する “調達リスクの最小化” を設計に活かす
調達購買部門では、単なるコストダウンだけでなく、「調達先の安定性」「契約リードタイム」「予備在庫戦略」「環境/法規制適合」も強く意識されています。
構想基本設計段階から「複数サプライヤの選択肢を持つ」「代替部品を事前に設計へ組み込む」など、バイヤーの戦略目線と設計現場の知見を融合させるアプローチが功を奏します。
サプライヤー視点でバイヤー要求に応える設計提案とは
サプライヤーである部品・ユニットメーカー各社も、クオリティ・コスト・納期(QCD)バランスに加え、「アプリケーションノートの充実」「設計支援ツールの提供」「環境対応・サステナブル部品の推進」など、バイヤーの課題解決を狙った付加価値提案がトレンドです。
設計初期段階からバイヤー視点を理解し、QCDの最適化に貢献できる設計協力姿勢がサプライヤー選定の大きな決め手となっています。
ラテラルシンキングで広がる設計の可能性
異業種・異分野との技術融合
電子機器の世界では、家電業界や通信業界、エネルギー業界など多様な分野との技術融合が進んでいます。
これまで当たり前に使われていた構造や部品にこだわらず、異業種の技術や素材、IoTサービスやソフトウェア設計思想を取り入れることで、従来の延長線にない新たな管理効率・性能向上・コスト低減が実現できます。
省エネ・持続可能性を意識した次世代設計
企業価値を左右するESG対応やカーボンニュートラルは、製造業の直接的な新規案件獲得にも大きな影響を与えています。
例えば、リサイクル材の利用拡大や消費電力削減設計、リユース可能なモジュール設計といった視点が、サプライチェーン全体の未来を変えていきます。
ラテラルシンキングを活用し、「コモディティの部品活用→リユース型モジュール戦略」「IoT可視化→エネルギー最適制御」など、既存価値観を揺さぶるアプローチこそが、変革の真のエンジンです。
まとめ:設計現場・調達・サプライヤーをつなぐ“共創”が鍵
電子機器電装品のシステム設計および構想基本設計においては、昭和時代からの現場感覚や属人化のメリット・デメリットも正しく活用しつつ、業界動向を踏まえた新たな発想(ラテラルシンキング)の取り入れが求められています。
バイヤー目線で考える「調達リスク最小化」と、サプライヤーが応える「QCDバランスと付加価値提案」、そして設計者が描く「現場の本質解の具現化」。
この三位一体の“共創”こそが、今後の製造業にとっての新たな成功モデルとなるでしょう。
現場目線、業界視点、未来志向。
すべてを融合させたシステム設計の姿勢が、これからの製造業の成長と競争力強化につながるのです。
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