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メカトロニクス要素技術とマイコン制御によるシステム開発事例

目次
メカトロニクスとは何か – 今あらためて考えるその本質
メカトロニクスとは、Mechanical(機械工学)とElectronics(電子工学)の単語を組み合わせた造語です。
1969年に日本のエンジニアによって提唱され、以来、産業界で絶え間なく応用されてきた技術領域です。
現代では「機械」「電子」「情報」「制御」を有機的に組み合わせ、スマート工場や自動化設備の礎を支える中核技術となっています。
たとえば食品包装機、精密部品の組立ライン、パレット搬送用AGV(無人搬送車)、搬送ロボット等、私たちの身近な「自動機」や「生産装置」は、メカトロニクスの発展なしでは成立しません。
そして、これらメカトロニクス機器の“頭脳”として制御を担うのがマイコンです。
メカトロニクスの要素技術 – アナログからデジタルへの進化
昭和の製造現場を長年支えてきたメカトロニクスの要素技術は、以下のように進化してきました。
1. センサ技術
位置決めを担うリミットスイッチ、エンコーダ、光電センサなどは、フィードバック制御や自動化ラインの品質担保になくてはならない要素です。
最新の現場では接触式から非接触式(光学/レーザー/画像処理など)へ、ますます精度と応答性が向上しています。
2. アクチュエータ技術
電動モータ、エアシリンダなどの駆動源は、設計思想によって選定が異なります。
高品位な製品づくりには、サーボモータとインバータドライブによる高精度な位置・速度制御が不可欠です。
3. デジタル制御(マイコン活用)
昭和時代はリレーシーケンス、トランジスタ回路による「硬い論理」が主流でしたが、現代の制御盤にはマイコンやPLCが当たり前に搭載されています。
このデジタル制御への転換が、製品開発の設計思想を大きく変えるきっかけとなりました。
4. 通信・ネットワーク
フィールドバスや産業用Ethernetの普及により、装置同士の連携もほぼシームレスに進化しました。
これにより、実装現場のみならず、SCADA監視や工場全体最適化につながるデータ活用も進みます。
メカトロニクス×マイコン制御の“現場発”システム開発事例
ここからは、製造業の現場で実際に導入・運用しているメカトロニクス&マイコン制御の事例を、工場長・現場実務者の目線で紹介します。
1. オートハンドリング装置の自動化(モータ+エンコーダ+マイコン)
某電子部品工場では、従来作業者が手作業で部品トレーを載せ替えていました。
作業のばらつき・ミス防止、および工程能力(ラインタクトUP)を目的に、オートハンドリング装置を自社開発しました。
具体的には、ステッピングモータによるX-Yテーブル駆動と光学エンコーダで位置補正し、小型マイコン(8bit PICマイコン)で各駆動・センサ情報をリアルタイム制御しました。
特筆すべきなのは、昭和の“現場勘”を持ったベテラン作業者の知恵を、マイコンのアルゴリズムに反映させた点です。
単なる自動化ではなく「現場の使い勝手」をデジタルで再現したため、導入初日から作業効率が1.35倍向上しました。
2. 検査装置のAI化(画像処理+マイコン制御+クラウド連携)
一方、最近増えてきたのが画像処理センサとマイコン制御の融合です。
某自動車部品メーカーでは、合否判定をカメラ画像AIで行い、合格品・不合格品を自動ルーティングするシステムをマイコンと組み合わせています。
ここでは、高速画像処理PCで判定した結果を即座に小型マイコンへ送信し、エアシリンダ駆動や警告ブザー制御につなげています。
また、合否データや設備稼働ログはクラウドDBへ自動収集し、品質エンジニアやバイヤーにも簡単に開示。
これにより、従来の「検査者依存」から「データドリブン検査」への脱却が進み、歩留まり10%改善・不良品流出ゼロを達成しました。
3. 省エネルギー制御(インバータ+センサ+マイコン)
昭和の大規模工場では、空調・搬送・冷却など膨大な電力量が必要です。
そこで、電力カット・コスト効率化のため、センサとインバータ、マイコンによる自動ON/OFF制御を導入した例もあります。
設定温度到達でファンを自動停止、無人時間帯は照明をダウン…現場では「小さな省エネ」が積み重なり、月30万円以上の電力コスト削減に成功した現場も少なくありません。
バイヤー視点では、こうした省エネ結果データも「取引先選定の可視化指標」として重視される時代です。
なぜ今メカトロニクス&マイコン制御を“現場目線”で見直す必要があるのか?
1. 高齢化・人手不足、業務継続リスク
日本の製造拠点(特に地方工場)では、高齢化が進み、熟練作業者の定年や慢性的な人手不足が課題化しています。
たとえば、ベテラン作業者しか理解できない「匠の挙動」をどのように自動制御へ落とし込むか。
その解決策こそ、“現場の知恵”をデジタルと融合するマイコン活用によるシステム化です。
後継者不足問題も、ノウハウをマイコン制御に移せば、脱属人化が可能となります。
2. 昭和体質からの脱却・現場主導デジタル化
未だに手作業が根強く残る業種・工程もありますが、現場主導での「小さな自動化」「段階的デジタル化」こそが、現実的なカイゼンへの第一歩です。
高度なIoTや完全自律ロボット化よりも、「まず小型マイコン+既存機械の組合せ」という昭和理解者にも受け入れやすい導入法が、“アナログ業界”でも着実に普及しています。
サプライヤー・バイヤー双方に求められる「メカトロ知識」
サプライヤー側にとって、納入先バイヤー企業の設備方針やカイゼン思想を知ることは欠かせません。
一方でバイヤー目線に立つなら、調達先がどれほど現場課題を自動化・デジタル化で解決できる力を持っているか、見極める審美眼が求められます。
たとえば、下請け加工会社が「古い機械しかない」と敬遠されがちですが、自前のマイコンやセンサ技術を駆使し“昭和の設備を平成・令和仕様に蘇生”させている現場も増えています。
こうした実践例はバイヤーの現場監査の際、最大評価ポイントとされることも多いです。
メカトロニクスとマイコン制御が拓く、新しい製造業の未来
「工場の自動化=大企業や一部メーカーの話」と思い込むのはもはや過去の話です。
中小・下請け工場でも“現場の知恵”をマイコンなどローコスト・高効率な要素技術に落とし込む時代に突入しています。
これまでアナログだった現場も再現性・省力化・データ活用で進化できます。
そして、調達・購買、現場管理、品質保証、コスト競争力UP…どの職種でも「現場目線のメカトロニクス」の基礎教養なしでは、今後の製造業では生き残れないでしょう。
ぜひ、自現場の業務やカイゼン活動、バイヤーとの対話、または自らのキャリアアップ・スキル磨きのためにも、メカトロニクス要素技術・マイコン制御の“本質”を見直してみてください。
現場と経営をつなぐ新しい視点が、きっとあなたの製造業現場にもイノベーションをもたらすはずです。
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