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OEMトレーナーのボリューム感を演出するための厚み設計と中糸構造

目次
OEMトレーナーのボリューム感がブランド価値を左右する理由
トレーナー(スウェット)は、そのシンプルな見た目からは想像もできないほど、奥深い設計思想が詰まっているアイテムです。
特にOEM(相手先ブランド製造)の現場では、「どうやって他ブランドと差別化するのか」「どんな構造なら消費者が高品質だと実感するのか」という議論が絶えません。
その中でも「ボリューム感」は、トレーナーの第一印象と着心地、耐久性までも左右する極めて重要な要素です。
なぜなら、ボリューム感のあるトレーナーは、着用した瞬間に「高級感」「安心感」「良いものを着ている実感」を与え、ブランド価値そのものを底上げする力があるからです。
消費者は無意識に「ずっしり」「ふっくら」「もちもち」といった体験を求めています。
OEMトレーナーで狙い通りのボリューム感を演出するためには、厚みの設計と中糸の構造にこそ、現場の知恵とノウハウが詰まっているのです。
トレーナーの「厚み」とは何か?表面だけを見てはいけない理由
一口に「厚手トレーナー」といっても、その「厚み」がどのように生まれるかご存じでしょうか。
実は、単純に糸を太くしたり、生地を重ねたりすればよいわけではありません。
トレーナーの多くは裏毛(パイル)や裏起毛の構造を持つ「三層編み」の生地で作ります。
この三層構造こそが、トレーナー特有の柔らかさとボリューム感、「内側はふかふか、外側はしっかり」という印象を担保する秘密なのです。
具体的には、表糸・中糸・裏糸の三種の糸を、それぞれ役割分担させることで立体的な生地設計をしています。
多くの消費者やブランド担当者は「生地の表面」だけを見がちですが、本当の差別化ポイントは「内側の作り込み」に隠されています。
この目に見えにくい領域を、どこまで丁寧に作りこむか。
それがOEMメーカーの力量であり、OEMを依頼するブランドバイヤー側の「製造背景を見る目」の試されどころでもあります。
昭和から受け継がれたトレーナー設計思想
戦後日本の成長期、アメリカナイズされたカジュアル文化と共に、トレーナーは庶民のライフスタイルへ一気に浸透しました。
当時は「とにかく頑丈で厚いこと」「洗濯に耐えること」「子供が遊んでも大丈夫なこと」が最優先され、分厚く重たい裏毛スウェットがスタンダードでした。
現代では進化した糸や織機、化繊ミックスなどが普及していますが「分厚くしっかりしたスウェットが最上」という固定観念は根強く残っています。
この昭和的価値観は、実は現在でも日本のOEM現場に強く生きており、国内バイヤーやマーチャンダイザーが「厚み」や「しっかり感」にこだわる理由の一つです。
中糸構造で変わる着心地と耐久性 現場で差がつく設計ポイント
ボリューム感あふれるトレーナーを作るには、「中糸」の設計が決定的な差を生むと断言できます。
中糸とは、三層編みの「中間層」を形作る糸のことです。
この中糸がボリュームの「壁」を支え、裏糸のパイル(ふわふわのループ)が寝たり潰れたりするのを防ぎます。
中糸の役割と種類
中糸は、主に次のような役割を担っています。
・着用時のふくらみ感や厚みを左右する
・脱水や乾燥後の「ヨレ」や「へたり」を防ぐ
・体温を逃しにくくする断熱効果を高める
中糸に使用する糸は、一般的には太い空気紡績糸や、柔らかさ重視ならコーマ糸(綿の繊維が整えられた高級糸)も選ばれます。
また、高級ラインではリサイクルポリエステルなどを「混ぜ糸」することで軽さと膨らみのバランスを追求します。
一方「昭和的トレーナー」では、あえて綿100%の太い中糸のみを使い、手編み感やヘビーウェイトな実感を重視するケースもいまだ根強いです。
中糸構造の設計ポイント
現場では以下のような観点で中糸設計を考えます。
・糸自体の太さと撚り(よじり)回数はどこまで「硬く」「強く」するか
・ループ状にする際の「高さ」(パイル長)はどれくらい出すか
・糸の本数(ゲージ数)は増やすか減らすか、その際の編機への負担はどうか
・裏側のループを起毛させるか、その場合「中糸」が潰れやすくないか
OEM現場のリアルな苦労話としては、ブランド側が「とにかく分厚く、目の詰まったスウェットが良い」と要望すると、中糸を太く・ループ高くしすぎて編機トラブルや歩留まり低下を招くこともあります。
また、着心地の柔らかさを優先しすぎると着用や洗濯を繰り返すうちにボリュームがすぐ潰れるというジレンマも常につきまといます。
この「バランスこそが命」であり、現場の技術者は経験と試作を重ねて正解を探っています。
OEM視点で考える:厚み設計とブランド戦略の両立
一流ブランドは、自ら「売り」の一つとしてトレーナーの厚みに戦略的意義を持たせます。
パッと持った瞬間「いつもより重い、分厚い」と体験できること。
腕まくりがしづらいくらいの厚みで「お、これはいいモノだ」と感じさせて初めて「OEM品でも高い価値提供ができた」と言えるのです。
OEM受注時にバイヤーが意識すべき設計ポイント
実際にOEMでトレーナーを企画するバイヤーは、以下のような観点で工場に厚み設計や中糸構造を要望・チェックする必要があります。
・g/m²(グラムパー平米)の公表値だけではなく、実際の「ふくらみ」をサンプルで必ずチェックする
・裏側のループ(裏毛)がしっかり立っているか、潰れていないか
・中糸の組成(綿、ポリエステル、混紡など)の選択理由を工場からヒアリングする
・洗濯テストの後、ボリュームダウンが許容範囲かどうか独自に評価する
・実際の編機や生産性への負担・コスト・納期と、厚み感へのこだわりとを天秤にかける覚悟を持つ
昭和的な「ヘビーオンス信仰」にとらわれすぎず、現代の消費者が本当に求めている「快適さ」「動きやすさ」「季節ごとの通気・保温性能」も冷静に見極める必要があります。
サプライヤー目線:OEMバイヤーの「本音」を読み取る方法
OEMの立場からは「バイヤーが一体なにを重視しているのか」が最大の関心事です。
とりわけ「ブランドとしてどんな付加価値を前面に出したいのか」「消費者にどんな体験を一番してほしいのか」を事前によく擦り合わせておくことが、満足度の高いOEMトレーナー作りにつながります。
工場サイドからは、単に「分厚いものなら作れます」ではなく、
・コスト増加や生産歩留まりの悪化リスク
・厚みに応じた最適な中糸構造や裏毛高さの提案
・洗濯耐久と経年劣化のサンプル検証結果
これらをエビデンス付きで説明し、ブランド担当者と知見を分け合う姿勢が必要です。
昭和スタンダードな「厚手こそ至高」の一方、アフターコロナで「軽さ」「動きやすさ」もまた消費者の大きな要望です。
OEMサプライヤーはバイヤーと二人三脚で「厚みと快適性」を両取りする道を模索しなくてはなりません。
まとめ:厚みと中糸構造=OEMトレーナーの真価を決める現場力
トレーナーのボリューム感は、外観だけでなく着心地や耐久性、ブランドイメージまで左右する極めて重要な設計要素です。
単なる「g/m²」や「厚手」「ヘビーウェイト」というスペック表記の裏側にこそ、現場の知恵とラテラルな発想が詰まっています。
私たちは、昭和の「正解」だけを金科玉条とせず、最新の糸・編機・ミックス素材といった技術進化も活用し、「いま消費者が何を求めているか?」を徹底的に深掘りすべきです。
工場の現場目線と、サプライヤー・OEMバイヤーの戦略的視点を組みあわせ、双方が真のパートナーとしてトレーナー開発に臨むことが、今後ますます激化するカジュアルウェア市場での唯一無二の価値創出につながります。
厚み設計と中糸の構造こそ、OEMトレーナー作りの“新しい地平線”を切り拓く武器です。
ぜひ自社でも、現場の叡智を最大限に生かしたボリューム感あるトレーナー企画・開発に挑戦してみてください。
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