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設計品質を高める論理的思考と試験評価連携の養成講座

目次
はじめに:なぜ今、設計品質が重要なのか
設計品質の向上は、製品力競争が激化する現代の製造業において、企業の存続と成長に直結するテーマです。
短納期・低コスト・多品種少量・カスタマイズ対応が常識化した今、設計段階で品質不良の芽を摘むことが利益率と顧客満足を左右します。
昭和時代のように、試作・現場対応で何とかなる、という価値観がますます通じなくなっています。
設計品質の根幹は、「論理的思考力」と「実証的検証力」、そして「現場との双方向連携」です。
ここでは、設計段階でどう論理的に問題を潰し、試験・評価の現場とどう連携すべきか、現場目線の実践ノウハウを深掘りします。
設計品質を決定づける3つの「壁」
1. 要求仕様の解釈ギャップ
設計品質の不良の多くが「仕様書の読み違い」「顧客と設計者の認識ズレ」から始まります。
要求仕様を単なる指示事項として受け止めるだけでなく、本当に使われる現場や顧客が想像する“真の要求”まで踏み込んで理解しましょう。
設計プロセス初期での「QFD(品質機能展開)」や、顧客ヒアリング、3現主義(現場・現物・現実)を徹底することで、論理的に真の仕様を“見える化”します。
2. バラツキ、リスクへの盲点
設計では「想定内」「理論値どおり」と考えがちですが、実際の現場は設備や部品のバラツキ、作業者ごとの熟練差など、常に変動リスクに晒されています。
昭和世代によくある「ま、これで大丈夫だろう」という楽観や、「トラブル時は現場が何とかする」という属人的判断は、設計品質に大きな穴を開けます。
ここに、FMEA(故障モード影響分析)やFTA(故障の木解析)などの論理的リスク評価手法を組み幅広く使う発想転換が必要です。
3. 部門間連携の薄さ
設計と試作、試験、品質保証、生産技術などの各部門がサイロ(縦割り)で仕事していると、手戻りや不具合流出が起きやすくなります。
設計の意図やリスク認識を現場・評価メンバーと日常から徹底共有し、ともに“失敗できるうちに失敗し、速く学ぶ”文化を、設計主導でつくることが重要です。
論理的思考の実践:設計段階で何を鍛えるべきか
設計で失敗しないための「ロジカルシンキング」5原則
設計品質の根幹には、以下5つの論理的思考スキルが不可欠です。
1. 要件細分化と因果関係の洗い出し
仕様=要望の羅列 で終わらず、それぞれ「なぜ必要か」「どんな制約があるか」を因果で因数分解します。
2. アウトプットイメージの明確化
完成品・要求性能・機能・検証方法まで、図解やプロセスマップで“見える化”します。
3. 仮説・検証型で設計を進める
「こうすれば満たすはずだ」という仮説を常に立て、根拠(データ・過去事例・先人の知恵)で裏付けます。
4. バラツキ・ノイズの定量評価
「温度変化」「作業者依存性」「部品のロット差」などを事前に洗い出し、実測やシミュレーションで影響度を数値化します。
5. 過去のトラブル事例から学ぶ
自社・他社の失敗事例を体系的に集め、その再発リスクを設計初期から網羅リスト化し、つまずきポイントを可視化します。
試験・評価連携で品質を飛躍的に高める方法
試作段階の「2つの評価軸」
設計段階の仮説が現場で本当に通用するかを見極めるには、試作・評価段階でふたつの観点から検証します。
1. 合理性(ロジックの検証)
図面どおりの寸法、材料、構造が仕様上のアウトプットを確実に満たしているか。
チェクリストや計測データの取り付け精度、組付け精度をあくまでも定量化して評価します。
2. 再現性(量産でのばらつき耐性)
単体で良くても、量産で繰り返し同じ品質を出せるのか?
ラインテストや複数ロット品での“分散評価”に加え、「ヒヤリハット」事例分析で潜在的な不安定要素を洗い出します。
現場との「オープンループ・クローズループ」コミュニケーション
昭和的な「トラブルは現場に丸投げ」「評価部門は結果連絡だけ」では、良品率は高まりません。
設計者は「なぜこの設計なのか」「どこが本質リスクなのか」を現場評価者と共有し、指摘や発見を元に再設計をクイックに回せるフロー(クローズループ)を作ります。
また、評価項目に反映されていないユーザー視点の“現場の違和感”に耳を傾け、設計イテレーション(反復改善)のピッチを上げていく必要があります。
社内文化と仕組みを変え、現場主導の設計品質改革を進める
アナログ業界の「暗黙知」を形式知化する
日本の製造業では、ベテランのノウハウや勘が「暗黙知」として属人化しやすい傾向が根強く残っています。
これを「ヒヤリハット共有会議」や「設計レビュー会」「失敗事例勉強会」といった定例イベントで可視化し、若手設計者の育成につなげる仕組みが重要です。
特に、設計・購買・生産技術・品質部門を横断するコミュニケーションの場をトップダウンで整備しましょう。
品質改革を加速するDX/IT活用術
ペーパーベースの承認や、昔ながらの口頭伝承だけでは、現場のスピードと多様な知識共有ニーズに追いつけません。
設計要件や設計変更管理、試験結果・不具合データの一元管理をクラウドやPLM、MESなどで実装し、各部署が同じ情報ソースをベースに素早く改善サイクルを回せる体制を作りましょう。
また、品質トラブルの早期発見にAIによる異常検知や、ビッグデータ解析を応用している先進企業事例を取り入れるのも有効です。
バイヤー・サプライヤーの視点:品質を発注側の武器にする
バイヤーが求める「設計品質」とは
バイヤー(調達購買担当)は「コスト最優先」ではなく、近年は設計段階での品質作りこみ=納入後のクレームや追加コストリスク削減を重視しています。
“早期設計巻き込み”(Early Supplier Involvement)を進めることで、サプライヤーの現場知見を設計に取り入れ、量産時のトラブルを減らす考え方が広まっています。
高品質な設計が調達力=差別化力となる時代です。
サプライヤーが知っておくべきバイヤー心理
サプライヤーは、納入後クレームや不良品対応で利益を食いつぶされがちです。
設計品質段階で自社リスクや現場視点を丁寧に顧客(バイヤー)側へフィードバックし、“一緒に良いモノをつくる共同体”になることで、単なる価格競争から脱却しやすくなります。
これが、長期的なパートナーシップと高付加価値取引へつながります。
おわりに:変革のカギは「現場目線」と「論理」と「連携」
設計品質を本当に高めるためには、現場の肌感覚から離れない「ものづくり精神」と、論理的に失敗を先回りし潰す思考力、そのうえで部門間・社外含むオープンな連携の仕組み作りが不可欠です。
昭和の現場主義×現代のロジック×デジタル連携を組み合わせ、新たな設計品質の地平をともに開拓していきましょう。
製造業に携わるすべてのバイヤー・サプライヤー・設計者・現場担当者の挑戦を心より応援します。
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