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冷却液管理を軽視すると起こるトラブル

目次
はじめに ~冷却液管理はなぜ重要なのか~
製造業に従事している方であれば、「冷却液」と聞いて漠然としたイメージしか持っていない方も多いかもしれません。
しかし、冷却液管理を軽視した場合、現場では思いもよらぬトラブルが頻発します。
ベテランの現場管理者としての経験をもとに、目まぐるしく変化する今の製造現場において冷却液管理がいかに重要な位置を占めているのか、そして適正管理を怠ることで具体的にどんなトラブルが発生するのかを解説します。
冷却液が果たす役割とは
熱コントロールによる安定生産
冷却液の主な役割は、機械や加工品から発生する熱を効率よく除去することです。
たとえば、切削加工やプレス成形、樹脂成形など、あらゆるプロセスで発熱は避けられません。
この熱を放置すると、製品の寸法精度悪化や機械故障の原因になります。
また、冷却の質が安定していなければ、同じ設備・条件下でも製品ばらつきが発生しやすくなります。
潤滑・洗浄効果
切削加工などでは、潤滑性の高い冷却液が刃先とワークの摩擦を減らし、刃物寿命を延ばすだけでなく、仕上げ面の品質向上にも寄与します。
微細切粉やコンタミ(異物混入)の洗浄効果もあるため、機器の長寿命化にもつながります。
腐食防止・防さび効果
多くの冷却液には防錆成分が配合されています。
これにより、機械部品やワークの腐食を防ぎ、工程内の資産価値が保たれます。
冷却液管理を軽視した場合に起こるトラブル
装置・部品の早期故障
冷却液が劣化したまま、あるいは適正範囲を超えた使用を放置すると、熱がうまく逃げず、設備のモーター焼損やベアリングの早期摩耗といったトラブルが発生します。
特に、冷却水が清浄でない場合、冷却配管や熱交換器内にスケール・スライム(バイオフィルム)・さびなどが堆積し、本来の冷却性能を大きく損ないます。
それにより、計画外停止や高額な修理工事につながる可能性もあります。
製品不良・納期遅延の連鎖
冷却液が汚れていたり、最適な濃度ではなかった場合、製品の寸法精度が出にくくなります。
これが更なる再加工、場合によってはワークの廃棄につながり、大きなコストとなります。
また、一度発生した不良品は「工程通過時間」や「納期の遅れ」に波及し、顧客との信頼関係にもダメージを与えることになります。
作業者の健康被害・職場環境悪化
冷却液は使用状況によっては強い臭気や雑菌繁殖の温床となり、職場の快適性を損ないます。
適切な管理がなされない場合、皮膚疾患や呼吸器トラブルの原因にもなり、作業員の安全確保が脅かされます。
ISOや品質監査での指摘・取引先からの信頼低下
グローバル化が進む中、ISO監査や顧客監査でも冷却液管理は指摘されやすくなっています。
誤った管理は、コンプライアンス違反や環境配慮不足として露見し、サプライヤーとしての評価を下げるリスクもはらんでいます。
昭和から変わらぬ“現場無意識”が仕組み化を妨げる
「何となく問題なさそう」が最大の落とし穴
製造業の多くの現場では「冷却液は匂ってきたら交換する」「色が変わったら処理する」といったベテランの勘・経験則がいまだ幅を利かせています。
しかし、現場の属人的な判断は、組織標準化や安定品質の大敵です。
品質のバラツキ、突然の停止――いずれも「まあ、まだ大丈夫だろう」と甘く見ることから始まっています。
デジタル化・自動化の波とアナログ管理の溝
近年、センサーによる冷却液の自動監視や、IoTを活用した工場全体の状態可視化が急速に普及しつつあります。
一方、昭和から使い続けた冷却装置や管理方式に固執し、「やり方を変えたくない」という現場心理が根強く残っています。
デジタルとアナログ運用のギャップが埋まらないままでは、せっかくの設備投資やIoT導入の恩恵も半減してしまいます。
なぜ冷却液管理は現場で「軽視」されやすいのか
最大の理由は「冷却液自体が見えにくい存在」であるためです。
設備のパフォーマンスや製品不良が目に見える形で現れるまで、その重要性に気づきにくい。
また、定期的な冷却液の分析や点検は、どうしても「手間」と「コスト」がかかるため、つい後回しになりがちです。
しかし、この“軽視のツケ”は、やがて大きな損害となって現場に跳ね返ってきます。
バイヤー・サプライヤー視点:なぜ冷却液管理が交渉ポイントになるのか
バイヤーから見た管理体制の重要性
調達担当者(バイヤー)は、コストや納期だけでなく、“サプライヤーの工程管理レベル”も重要な評価指標とします。
冷却液管理の仕組みや記録がしっかりしている工場は、「安定した品質」「納期リスクの低さ」「突発トラブルの低減」という価値を提供してくれます。
逆に、「冷却液はどう管理していますか?」という質問に曖昧な答えしか返ってこない場合、その会社の他のプロセスもおおざっぱであるという印象につながりかねません。
サプライヤーは“冷却液管理”を武器にせよ
取引先との信頼醸成や新規案件獲得を目指すメーカー・加工業者にとっても、「冷却液管理はうちの強みです」と胸を張れる体制作りが重要です。
客先監査や品質監査時には、冷却液の定期管理記録、改善策の履歴などが評価項目になります。
冷却液の省コスト・省リスク運用が進んでいれば、「他社よりも工程トラブルが少ない=コストダウン提案も可能」という武器にもなります。
現場で実践したい冷却液管理のポイント
定期的な分析と濃度管理
冷却液の濃度・pH・油分含有量は、メーカー推奨値と現場ごとに最適値があります。
定期サンプリングをルール化し、異常が出た場合にはすぐに原因究明と補正を行う運用を徹底しましょう。
ろ過・循環システムの有効活用
微細な切粉や異物が混入しやすい工程では、ろ過機やサイクロンセパレーターを積極的に活用します。
冷却液タンク内に滞留・沈殿が発生しにくいよう、循環流路の管理やタンク底引き清掃も定期的に実施しましょう。
冷却液管理台帳のデジタル化
従来の紙ベースから、エクセル・クラウドツールなどへの移行を進め、数値の推移や異常履歴を全員で共有できる仕組みを作りましょう。
これが現場の属人化排除、未来志向のトラブル予防へとつながります。
現場教育と5S活動との連動
新たなルールや管理手法は、現場作業者への教育とセットで推進します。
また5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動の中に冷却液管理を組み込み、“みんなの共通テーマ”として定着させます。
最新業界動向と冷却液管理の未来
グリーン調達と環境対応
環境への配慮が重視される時代となり、バイオ系やリサイクル再生可能な冷却液の採用が広がっています。
廃液処理コストの削減だけでなく、顧客・取引先に対するアピールポイントにもなります。
IoT/AIの導入と自動監視
IoTセンサーによる液温・濃度・流量のリアルタイム監視、さらにAIによる異常判定や薬液自動供給など、現場の省力化・高度化が進んでいます。
こうした「データに基づく冷却液管理」が、今後の製造現場の標準となっていくでしょう。
おわりに ~品質とコスト管理の本質は“見えない部分”にあり~
冷却液管理は、製造現場において“当たり前ゆえに”見過ごされやすいテーマです。
しかし、些細な管理不良が、重大な品質・設備・コストのトラブルへとつながるリスクを常に秘めています。
サプライヤー・現場の皆さんは、“今の管理で本当に十分か?”と今一度見直し、バイヤーを目指す方は、冷却液管理の実態こそが現場の成熟度を映す鏡であると覚えておいてください。
デジタル化と現場力の融合が進む製造業の“新たな地平線”へ向けて、冷却液管理のレベルアップは、今まさに必須のテーマです。
未来のトラブルゼロ現場づくりのために、一歩踏み込んだ“見える化・自律化”に挑戦していきましょう。
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