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顧客の“使い方”が想定外で設計仕様を超える負荷がかかる本音

目次
はじめに:現場で頻発する「仕様超過」のリアル
製造業に携わる方であれば、「設計仕様を超える負荷がかかる」という現象を一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
図面通り、仕様通りで進めたはずなのに、納入後にお客様から「壊れた」「動作しない」とクレームが来る。
原因を確認してみると、製品や装置が想定を大きく超えた使い方をされていた――。
本記事では、なぜ顧客の“想定外の使い方”が起こるのか。
そうした事象をどう予防し、いかに現場と顧客をつなぐべきか。
昭和から続くアナログな慣習も踏まえ、ラテラルシンキング(水平思考)の視点で、現場目線の課題解決策を提示します。
顧客の“使い方”はなぜ想定外になるのか
設計側の盲点:顧客の“実務”は設計想定からズレやすい
設計段階では、仕様書に基づいて荷重や繰り返し回数、耐熱温度など明確な条件を設定します。
しかし、現場用途の実態は千差万別です。
たとえば部品を本来の用途以上に酷使したり、マニュアルにはない独自の使い方を現場で編み出していたり――。
実際の使い方が仕様範囲外となることは珍しくありません。
背景には以下のような要因があります。
– 豊富な現場経験値による“裏ワザ”運用
– 関連工数の削減や効率化目的の独自アレンジ
– サプライチェーン全体での情報伝達ロス
このような複雑性は、設計段階ですべてを想像し切ることを難しくさせています。
バイヤーの視点:調達コスト重視のジレンマ
バイヤー(調達担当者)は、少しでも安く、品質の良い部材や設備を社内生産部門へと導入したい思惑を持っています。
ですが、自部門の業務内容や現場の実態を完璧に把握しているケースは稀です。
「使えるはず、スペックは満たしている」という認識。
これが実際の現場運用とは剥離しがちです。
過剰なコストカット志向、調達リードタイムの短縮などバイヤー自身のKPI・評価項目が、スペック以上の“使い方”に拍車をかけるリスクも存在します。
現場でよくある“想定外の使い方”の具体例
生産設備:過負荷運転の常態化
一例として、ライン生産の高速化要請に伴い、「設計速度+10%」を現場判断で常用してしまうケースがあります。
たとえば本来は1分間に100個流せる設計のコンベヤを、人手削減と生産性アップのため120個/分で運用。
結果、ギヤやベアリングに想定外の負荷がかかり、短期で故障する事例です。
工具・治具:マルチユースによる損耗
もともと単一用途で設計した冶具や工具を、現場の工夫で流用し続けてしまうことも日常茶飯事です。
「1つで2役」にしたことで、摩耗や変形が急速に進み、精度不良や不良品発生の原因となります。
消耗品:極限までのリユース要求
「もったいない」「経費節減」が根強い製造現場では、本来交換すべきタイミングを著しく超過してまで消耗品を使い続ける事例も後を絶ちません。
フィルター、Oリング、刃具――。
基準通りの寿命管理よりも、目視で“まだイケる”と判断しがちです。
システム・ソフトウェア:製品機能外の運用
システム納入後、「おまけ機能」を現場が便利ツールとして文書管理や日報などにも転用。
もともとの用途と異なる大量データ処理を走らせた結果、ダウンやデータ消失が発生する事例です。
なぜ想定外の使い方は“製造業の文化”として根付くのか
現場主義の「ベテラン職人力」
昭和の高度成長期以降、日本の現場は「カイゼンの精神」「ムダを省け」の文化が強く根付いています。
現場では“ルール内で最大効率”よりも、“現物現場現実(3現主義)でとにかく早く仕上げる”ほうが成果。
加えて、ベテランほど新しいモノの正しい使い方より、長年の感覚・知見重視。
これは決して悪いことではありません。
ただし、デジタル化や設備複雑化が進む時代には「ルール逸脱」や「仕様超過」が突発的なトラブルの要因になるのです。
顧客・サプライヤー間のコミュニケーションロス
現場と設計、設計とバイヤー、バイヤーとサプライヤー――すべての間で「実態情報」が伝わらない問題も根深いです。
特にアナログ文化が色濃く残る調達や生産部門では、「こうやって使おうとしている」「ここまでは保証されるよね?」といった本音が伝わりにくい。
過去実績や慣習重視で、「まあいけるだろう」と帰結するとミスマッチが起こりやすくなります。
“想定外”をゼロに近づけるための現場主導サイクル
現場ヒアリングとバリューチェーン共有
まずは、現場と設計・バイヤー・サプライヤーの間で「どう使うのか」「実際の現場ではどんな課題があるのか」を細かくヒアリング。
設計レビューや現場立会、カスタマーヒアリングなど、実務を知っているメンバーがいかに多く情報共有できるかがカギです。
最近ではサプライヤー自らが現場へ入り込み、運用状況を把握する“現場見学会”を積極的に行う動きも増えています。
これにより、設計仕様の妥当性や、(あらかじめ)耐久性の余地をどこまで持たせるかといった判断が現実味を増します。
デジタルデータ活用とプロセスマイニングの導入
近年はIoTセンサーなどで“実際の稼働データ”を定量的に取得が可能となっています。
例えば、装置の稼働負荷や使用頻度、故障傾向などを定期的にチェック。
そのリアルデータをもとに設計部門と調達部門で共有するサイクルを作り、想定と乖離している部分に早期対応していきます。
さらにプロセスマイニングの活用で、現場で“実際に起きている業務の流れ”を客観可視化すれば、「設計仕様を超えるポイント」の早期発見が可能になります。
ルールを超えた「柔軟な設計マージン認識」
設計図面や仕様書で細かく条件を定めても、必ず“逸脱”は起こるという前提で考える。
余裕を持った設計と明確な「ここから先は保証外」の意思表示が重要です。
同時に、現場には“イレギュラー時の運用指針”や、“過負荷運用時のリスク”を啓発し、安易にルールを超えて運用したくなる心理の抑止も必要となります。
バイヤー・サプライヤー共創で「失敗の事前共有」
調達担当やサプライヤーは、「本音ベースでの相談しやすさ」を現場に提供する姿勢が大切です。
同時に、過去に起きた失敗事例(どんな“想定外の使い方”で問題が生じたか)を積極的に共有してもらうことで、次回発生確率の低減を狙えます。
バイヤーがサプライヤーに「現場では実はこんな運用もされてしまっているんだ」と相談できる関係が理想の形です。
ラテラルな視点が業界をアップデートする
想定外の負荷や仕様超過は、時に発明や生産性向上の起点となることもあります。
逸脱がすべて悪いわけではありません。
大切なのは、事件化する“前”に情報収集し、リスクと効率化のバランスを冷静に見極める姿勢です。
固定観念や過去の慣行だけでなく、現場の声・実データ・共有知を通じて業界全体をアップデートする。
ラテラルに考え抜き、各部門が手を取り合うことで、想定外もバリューへ変換可能です。
まとめ:現場目線とバイヤー思考の架け橋に
どんなに仕様を厳密に定めても、人が現場で運用する以上、“想定外の使い方”は必ず発生します。
顧客の実態を正しく汲み取り、設計・購買・ベンダー全体で正直に情報を循環させる。
時には、現場主導サイクルやデジタルデータの活用で予兆をキャッチすることも重要です。
この記事を通じて、バイヤーを目指す方やサプライヤーの皆さまには、「本音ベースで現場を知る」大切さ、「本流・逸脱どちらも倒さないアライメント構築」の重要性を再認識いただければ幸いです。
そして、あらゆる“想定外”に前向きなイノベーションを起こしていきましょう。
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