投稿日:2025年7月14日

UV硬化樹脂種類特徴硬化不良着色濁りトラブル対策

UV硬化樹脂とは何か

UV硬化樹脂は、紫外線(UV)を照射することで短時間で硬化(乾燥/固化)する特性を持った合成樹脂です。

製造業のさまざまな現場で、接着・封止・コーティングといった多様な用途で採用されています。

従来の熱硬化や自然乾燥と異なり、「省エネ」「短サイクル」「高精度仕上げ」というメリットが評価され、特に電子部品、光学部品、自動車部品、さらには医療機器など、多岐に渡る分野で活躍しています。

ただし、その一方でUV硬化樹脂ならではのトラブルも多く、現場ではその本質的な理解と対策が必須とされています。

UV硬化樹脂の主な種類と特徴

UV硬化樹脂には多くの種類がありますが、主に3つのカテゴリに分けて特徴を紹介します。

アクリレート系

最も一般的に使われているのがアクリレート系UV硬化樹脂です。

速硬化性が高く、透明性や耐候性にも優れています。

ただし、揮発成分を含むものが多いため、臭いが強い製品もあります。

またモノマーの選定によって硬化後の柔軟性や密着性に幅があるのも特徴です。

エポキシ系

エポキシ系UV樹脂は、アクリレート系よりも耐熱性・耐薬品性・絶縁性が高いのが特徴です。

電子部品や高温・高湿環境下に使われる製品で効果を発揮します。

しかし、一般的に硬化速度はアクリレート系よりもやや遅めです。

また、硬化収縮やにじみ(ブリードアウト)が発生しやすい傾向もあり、精密部品用途では管理が必要です。

シリコーン系

シリコーン系は構造的に柔軟性が高く、ガラスや金属への密着性が優れています。

耐熱・耐寒・耐水性に強みをもち、自動車や医療分野で重宝されています。

課題としては、やや高価で硬化速度も他系統と比べて長め、また層厚や照射条件で硬化ムラが出やすい点です。

硬化不良の主な原因と対策

意外にも、UV硬化樹脂の現場トラブルで一番多いのは「硬化不良」です。

どれだけ素晴らしい樹脂や装置を導入しても、根本原因を押さえなければ歩留まりや品質は安定しません。

現場目線で特に多く報告される主な要因とその対策を詳述します。

UV照射不足

近年ではLED-UVの普及で省エネ・高寿命化が進みましたが、照度の低下・照射ムラ・波長ズレは現場で見落とされがちです。

最新設備でも、定期的なUV強度計や照射プロファイラーの活用、波長適合性の点検は必須です。

また、UVが届かない「陰」や「端部」まで硬化しているかどうかも事前に実際の製品形状で必ずテストしてください。

樹脂層の厚みや気泡

UV硬化樹脂は光の透過性や反応性に強く依存します。

厚く盛りすぎる、もしくは塗布の際に気泡・異物を巻き込むと、内側までUVが届かず未硬化が発生します。

実際の製品設計に最適な厚みや塗布方法、塗布スピード、真空脱泡や低流動での塗布など、工程設計の段階から物性理解とプロセス管理が不可欠です。

未適合な基材(密着不良)

難接着性素材や表面汚染(油分、粉塵、手脂)は密着不良・剥離の元です。

現場では「なんとなく」拭き取るだけの場合も多いですが、IPA洗浄やプラズマ処理、専用のプライマー活用といった、物理・化学的前処理を徹底しましょう。

「処理したつもり」が、根本的な樹脂剥がれに繋がることも十分あります。

UV硬化阻害物質の存在

現場でありがちなのが、硬化場所周辺でシリコンオイル、離型剤、可塑剤など「硬化阻害物質」が付着しているパターンです。

樹脂メーカーからの技術資料を過信せず、実際の自社工場環境下で厳格な適合性評価を行ってください。

着色・濁り・外観トラブルの要因とその対策

「無色透明」「高外観品質」を要求される分野では、UV硬化樹脂の着色や濁り、異物混入といった外観異常は致命的な不良要因になります。

ここでは、今なお現場で多い外観トラブルの実態と、具体的な防止策を業界の本音を交えて解説します。

経年劣化・保管不良

UV硬化樹脂は水分や酸素、紫外線暴露により着色や黄変、沈殿が進みやすい材料です。

「未開封だから大丈夫」ではなく、開封後はできるだけ小分け、暗所・低温保存、定期的なサンプリングチェックを習慣化しましょう。

また、先入れ先出しや使用期限管理が「形骸化」しやすいのも現場あるあるですので、棚卸の際や製造前チェック項目に盛り込むとよいでしょう。

塗布・混合時の異物混入

昭和から長らく続く「目視だけ」や「素手作業」が、UV樹脂の高品質化時代には大きなリスクです。

混合攪拌手順や専用ツール管理、現場作業員の防塵・防静電の徹底、クリーン度管理など、人と工程の両面で対策してください。

また、樹脂サプライヤーに「外観保証規格」「異物混入不良率」などの品質契約を明文化し、共にレビューする文化醸成も重要です。

金型や塗工装置の汚染

金型表面やディスペンサーの先端などに、以前使った材料のカスが残存しているケースは現場実態として多数存在します。

定期的な洗浄ルールの明文化、チェックシート運用、QC工程表への反映、5S活動との連動推進など、現場主導の仕組み作りで「見えていないリスク」を見える化して対策しましょう。

業界の構造的課題と今後のトレンド

アナログ文化の壁と、地道な現場改革の重要性

長年「経験と勘」や「職人技」によって支えられてきた製造現場では、標準化されたUV硬化樹脂の運用管理やトラブル解析の取組みが、どうしても遅れがちでした。

昭和型の現場文化が続いているケースでは「誰がやっても同じ品質」を保証できる仕組み作りが急務です。

最新の設備やデジタル計測技術の導入も有効ですが、それ以上に現場の教育・作業標準書の徹底・データ化された品質トラブル情報の水平展開といった、小さな地道な改革こそが大きな成果へと繋がります。

DXと品質データ活用の新潮流

製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むなか、UV硬化樹脂関連のトラブルデータや歩留まり情報を、工場全体で見える化・AI分析・シミュレーションする取り組みも進み始めています。

導入初期はコストや教育の壁がありますが、将来的には「なぜ失敗したか」「もっと品質をあげられるポイントは?」を、過去の情報から自律的に改善するサイクル確立が期待されています。

これに対応できる現場力こそ、今後のバイヤーやサプライヤーの差別化要素となるでしょう。

環境・安全対応とUV硬化樹脂

近年、VOC(揮発性有機化合物)フリー、省エネルギー、作業環境の安全性向上が各国で要請されています。

UV硬化樹脂も環境法規対応型や低刺激タイプの開発が進められ、バイヤーの選定眼も日増しに厳しくなっています。

「安価だから」「昔から使っているから」ではなく、「最新の環境負荷低減動向」「サプライヤーの技術対応力」「実機での安全性検証」なども今後必ず問われるポイントとなります。

まとめ:現場力+ラテラル思考で乗り越える

UV硬化樹脂は、現場で「当たり前」とされてきた発想ややり方を一歩踏み越え、サプライヤー・エンジニア・バイヤー・オペレーターが垣根を越えて改善し続けることで、初めて“トラブルゼロ”“安定品質”を実現できます。

現場の泥臭い事実・ノウハウをデジタルやデータで補強しつつ、「こうすればもっと良くなるのでは?」と枠にとらわれないラテラルシンキングを組み合わせてください。

今、昭和アナログ型製造業から新時代の効率・品質・サステナビリティ重視型ものづくりへの転換点に差しかかっています。

UV硬化樹脂の持つポテンシャルを最大限に引き出すため、業界の現場目線と新たな発想で、未来のものづくりを共に切り拓いていきましょう。

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