- お役立ち記事
- UXデザインの基礎と見やすく分かりやすい画面設計
月間93,089名の
製造業ご担当者様が閲覧しています*
*2025年6月30日現在のGoogle Analyticsのデータより

UXデザインの基礎と見やすく分かりやすい画面設計

目次
はじめに ― 製造業におけるUXデザインの重要性
近年、製造業でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進展しています。
ERPやSCM、MESなど、現場の業務を効率化するITツールの導入が進む一方で、「使いやすさ」や「見やすさ」、つまりユーザーエクスペリエンス(UX)への配慮が後回しになるケースが目立ちます。
昭和から続く紙とエクセルを中心としたアナログ作業に慣れた現場では、「操作が難しい」「画面がごちゃごちゃしている」「入力が面倒」などの声が多くあがります。
これらは単なる「慣れの問題」ではなく、設計段階でのUX視点の欠如が根本原因です。
本記事では、大手製造業メーカーで現場・管理職として培った知見も踏まえ、UXデザインの基礎から、実際の画面設計で何を意識すれば良いのかを、現場目線で「わかりやすく」「かゆいところに手が届く」形で解説します。
UXデザインとは ― 単なる“デザイン”じゃない
UX(ユーザーエクスペリエンス)の基本定義
「UX」とはUser Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略です。
日本語で直訳すれば「利用者体験」。
システム・アプリ・Webサイトなどを使う人が、触れた瞬間から離れる瞬間まで一貫して感じる体験そのものです。
UI(ユーザーインターフェース)は主に「見た目」や「操作感」の設計を指しますが、UXは「業務全体」「成果物の使われ方」まで広く含みます。
たとえば、調達部門が使う発注システムを例にしましょう。
「画面に発注点数を入力してボタンを押せば終わり」ではありません。
・必要な情報が一画面で分かるか
・一覧で発注状況や履歴がすぐに確認できるか
・担当者が迷わず間違いなく操作できるか
こうした一連の「業務の流れ全体」を快適にすることこそ、UXデザインの本質です。
なぜ今、製造業でUXが求められるのか
日本の製造業、とくに中堅〜大手は長年にわたり「紙文化」「属人化」「現場の経験値」が基盤です。
そのため、ITツールは「現場が嫌がるもの」になりがちです。
現場のベテランから「また面倒なシステムが来た…」と嘆かれることも多いでしょう。
しかし、DXが求められる今、これらを変革しないとグローバル競争には勝てません。
現場の作業者から購買担当、管理職まで、多様なユーザーに寄り添い「とにかく使いやすい」と思える仕組みを作ることが、離脱や失敗の減少、生産性向上、業務効率化、ミス防止のカギとなるのです。
知っておきたいUXデザインの基本原則
UXデザインにはいくつかの基本的な原則(ヒューリスティック)があります。
とくに製造業の現場で押さえておきたいものを紹介します。
一貫性 ― 人は“違い”にストレスを感じる
同じシステム内でも画面ごとに用語やボタンの配置、デザイン基準がバラバラだと、ユーザーは混乱しやすくなります。
例えば「納期設定」と「デリバリー日設定」が同じ意味で表現されていたり、「決定」と「確定」ボタンが入り混じっているとミスが起こる元です。
業界用語や自社独自の表現を社内で統一し、どの操作画面でも統一感を重視しましょう。
ヒューマンエラーを防ぐ ― 操作の“確認”と“取り消し”
現場は常に慌ただしく、数秒の操作ミスが大きな損失になることも。
・クリック一つで重要な注文が消えてしまった…
・誤った選択肢を選んでしまい、工程がストップした…
こうしたヒューマンエラーを防ぐため、必ず作業前には確認メッセージやUndo(取消し)機能を設け、心理的なセーフティネットを用意することが大切です。
情報の階層化と視認性 ― “迷いにくさ”のデザイン
多機能化したシステムは、選択肢や情報量が膨大になりがちです。
そこで必要なのが「情報の整理」「強弱付け」です。
・一眼で主な作業(新規発注・工程変更など)が見渡せる
・詳細な情報は+展開(ドリルダウン)で隠せる
・優先度や重要度に応じて色・位置・大きさを区別する
こうした工夫が、「どこを触ればいいのか、何をすればいいのか」直感的に把握できる仕組みにつながります。
実践!製造業現場ならではの“見やすく分かりやすい画面設計”
現場でよくあるシナリオに沿って、実用的な画面設計のポイントを解説していきます。
調達業務:発注画面のUX改善例
【従来型の課題】
・注文すべき品番が何か、在庫数・過去の発注履歴を複数画面で見比べる必要がある
・備考欄にフリーハンドでメモを書き込み、属人的ノウハウが埋もれてしまう
・最小発注数やリードタイム判断はマニュアルを参照しないと分からない
【UXデザイン的な改善策】
・品名・品番・在庫・過去3ヶ月の発注履歴・納期を一元表示
・必要なアクション(新規注文・数量変更)ボタンを常時表示、迷わせない
・取引先ごとに、過去の特記事項や注意点(“○○商事は3日以内必着”など)をポップアップや色付きラベルで表現
・発注個数の自動計算、異常値には警告表示を必ず入れる
・未入力時、画面遷移時のアラートを実装し、入力漏れ・ミスを撲滅
こうした施策で、「シンプル、ミスりにくい、現場の判断力を補助する」環境が生まれます。
生産現場:進捗・異常検知ダッシュボードのUX設計
物量やラインが多い工場では、進捗や異常を「いち早く」「正確に」把握できるデザインが生死を分けます。
・工程ごとに進捗率をグラフや色分けで表示
・異常アラート(機械停止・不良多発)は音声または色付きで最上部に固定表示
・担当者ごとに業務内容や表示する項目をカスタマイズできる
・操作説明書きやヘルプボタン、チャットbotによるサポートを導入
これにより、経験や慣れに頼らず、誰でも均一な判断・操作ができます。
また、新人や技能実習生、外国人作業員にも対応できるよう、多言語対応やアイコン化、動画マニュアルのアシストも備えると万全です。
“現場に寄り添う”ためのUXデザイン発想法
現場ヒアリングの徹底 ― 本音に耳を傾ける
プロのUXデザイナーとしては、現場社員が本当に困っていること、傍目には「非効率に見えるが実は意図がある」手順など、現場目線でしっかりヒアリングする姿勢が不可欠です。
上層部やIT部門主導で「こうあるべき」「これが業界標準だ」と先入観で設計を進めると、本質的な業務改善になりません。
可能な限り、現場の非公式な声や自前の“裏ノウハウ”まで拾うことが、使いやすさのカギを握ります。
プロトタイプ&ユーザーテストの重要性
完璧な設計図を書いてからリリースするよりも、まずはプロトタイプ(試作品)を早く小さく作り、現場で実際に使ってもらってフィードバックを得ましょう。
・現場ユーザーが難しい操作で立ち止まった箇所
・想定外の誤操作や、情報の読み飛ばし
・「思った通りに動かない」「わかりにくい」…本音の困りごと
これらを繰り返し手直しすることで、無駄な機能や複雑さをなくし、「痒いところに手が届く」仕組みが出来上がります。
アナログ文化でも“UXデザイン”は定着するか
「うちは昔ながらのやり方が染みついているから、今さらUXをいじっても…」という声はどの現場でもあります。
しかし、アナログ現場でも下記の工夫次第で自然とUX設計が浸透します。
・現場の“手書き日報”をそのまま電子化するのではなく、紙運用のいいところ(並列入力、余白の説明書き、印など)を取り入れたデジタル画面を作る
・新旧世代の使い手が交わる現場では、「直感操作」+「一言ヘルプ」の工夫で段階的な推進を図る
・「自分たちの業務が分かりやすくなった」「入力がラクになった」と小さな成功体験を周知する
現場起点で設計・運用・教育・改善のPDCAを回すことが、強固な定着・活用に繋がります。
UX設計で製造業の未来を変える – バイヤー・サプライヤーにも効く視点
調達購買部門やサプライヤーとのやり取りも、UXの良し悪しが円滑なビジネス関係を左右します。
バイヤー志望の方は、システム導入や情報連携の“現場視点”を理解して設計に携わることが、一目置かれる人材になる道です。
サプライヤー側の方も、「相手(バイヤー)は何に手間やストレスを感じているか」を考えた提案や書類提出が、良好な取引継続の礎となります。
製造業のアナログ文化に新風を吹き込み、全体最適と現場満足度を同時に叶えるUXデザイン。
「今さらデザインなんて…」「オシャレにするだけだろ?」と思っていると、大きな変革の波を逃すでしょう。
「見やすく分かりやすい」とは単なる美的センスではなく、「徹底した現場目線」「全員の使いやすさ」「業務への本気の寄り添い」が形になったものです。
この“現場の声をデザインする”発想を武器に、製造現場の新しい未来を一緒に切り拓いていきましょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
ユーザー登録
受発注業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた受発注情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)