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投稿日:2026年2月16日

シーリングファンを入れたのに暑さ対策にならない理由

はじめに:シーリングファン導入の現場の現実

製造現場や工場の暑さ対策として近年注目されているのが、シーリングファンです。
ネット上には「空気の循環で涼しい!」という謳い文句が並び、導入コストも比較的安価なため多くの現場で導入が進んでいます。

しかし――、実際に現場で「思ったほど暑さが解消されない」「従業員から不満の声が上がる」といった悩みをよく耳にします。
なぜ、シーリングファンを入れても期待したほどの暑さ対策にならないのでしょうか?
この記事では、現場目線・業界目線でその理由と、真に効果的な暑さ対策の考え方について掘り下げていきます。

シーリングファンが「効かない」?その理由を深堀り

熱源の根本解決になっていない

シーリングファンは天井に設置し、ゆっくりと羽を回転させることで上下の空気を循環させます。
冷暖房と比較して電力消費も少なく、設置もしやすいのが特徴です。

しかし現場で本当に問題となっているのは、加工機械や熱を発する設備、直射日光による屋根や壁の蓄熱など、「熱源」そのものが作り出す高温環境です。
シーリングファンは、室内の空気をかき混ぜる効果はあっても、「室内にこもった熱」そのものを外に逃がすことはできません。

つまり、熱だまりが発生し続ける環境では、どれだけ風を起こしても、循環させるだけで内部の温度は下がらないのです。

「風が通る」≠「体感温度が下がる」現場の錯覚

シーリングファンによる空気の流れで「風が通っている」と感じる場合でも、実際に体感する涼しさのレベルは限定的です。
なぜなら、工場現場では作業服の着用や安全装備があり、肌が露出している家庭環境とは根本的に違います。

例えば、2階建ての住宅リビングならシーリングファンの効果は抜群ですが、鉄骨・スチール材や断熱対策の不十分な工場では「空気のかくはん=熱も全体に回る」となり、暑い空気が工場全体に拡散してしまうことで、逆に「どこも暑い」状態になります。

期待される「省エネ」効果の落とし穴

シーリングファン導入時の社内稟議や提案書に「省エネ」「電気代節減」という期待効果が挙げられることが多いですが、これは冷房との併用で効果を発揮するものです。
しかし現場実態として「冷房は高コストなので使用量を減らしたい」→「ファンだけで済ませたい」となるケースが大多数です。

その結果、冷房がそもそも入らない現場では、シーリングファンのみで室温ダウンを狙いますが、上述の通り根本的に温度そのものを下げるものではなく、「熱中症リスク」も十分に軽減できません。

なぜ「工場現場」はシーリングファンだけでは限界なのか

昭和的発想の「がまん文化」とデジタル化の遅れ

日本の製造業、とりわけ昭和から続く工場では「暑さは我慢、汗をかくのが仕事」という文化が根強く残っています。
そのため、暑さ対策への投資も後回しになりがちです。

また、現場のデジタル化が遅れているため、「温湿度のモニタリングなし」「社員のバイタル管理なし」「熱源の数値管理なし」と、現状把握も曖昧です。
これでは、最適な設備投資や対策の立案ができず、「話題の省エネアイテムの導入」で満足してしまい、結局は対症療法の繰り返しになってしまいます。

建屋・断熱材のスペック不足

近年、省エネや作業環境改善の観点から新築工場では「断熱性能の高い屋根材・外壁材」や「高効率な換気システム」が標準化しつつあります。
一方、昭和・平成に建設された既存工場の多くは、熱がこもりやすい低スペックの建屋が多く、屋根や壁が常に太陽熱で熱せられ、夏場には「室温が40度以上」に達することも珍しくありません。

こうした場合、シーリングファンで空気をかき混ぜても全体が高温のままであり「茹で上がった空気を撹拌している」状態となります。

現場ごとの作業環境の多様性

製造業の現場は、工程ごとに作業環境も熱源の分布も一律ではありません。
例えば、素材加工ライン、組立セル、物流倉庫、検品ブースなど、多様な温熱環境が存在します。

現場特性に目を向けず、画一的に「シーリングファンで全社一斉対策」といった方法論では、現実的な問題解決になりません。

効果を最大化する「シーリングファン活用術」

空調機器との組み合わせがカギ

シーリングファンの効果を最大限発揮したいなら、スポットクーラーやパッケージエアコン、工場用大型扇風機など「熱気の排出」「冷風の供給」との組み合わせが必須です。
例えば、工場の高温エリアには局所的にスポットクーラーを設置し、その冷風をシーリングファンで広範囲にまわしてやることで、全体の体感温度ダウン効果を得やすくなります。

換気・排気システムの最適化

熱気がこもる工場では、給気と排気のバランスを見直すだけでも室温の低減効果を期待できます。
屋根や壁面の高い位置に排気ファンを追加し、床面から外気を取り入れる構成にすると、温度ムラの発生を防ぎながら排熱効率が上がります。
この「換気の流れ」とシーリングファンのエアフローを連動させることが効果的です。

作業場所・用途ごとのピンポイント対策

現場レイアウトや作業内容ごとに
「高温エリアにはエアカーテンやスポット冷却」
「休憩エリアにはサーキュレーターで快適空間化」
など、部分最適化も重要なポイントです。

一律で「全体をファンでかき混ぜる」ではなく、細分化したエリアごとに最適な機器・気流設計を検討することが求められます。

最新動向:業界は暑さ対策へどう動いているか

IoT・AI活用による環境モニタリング

最新の現場では、温湿度センサーやCO2センサー、作業員の熱ストレスをリアルタイムでセンシングしAIで解析する仕組みが導入されつつあります。
これらデータにより、最適なファンの回転数制御、空調機器のON/OFF自動化、警報通知などが行われています。
データドリブンで現場環境を可視化・改善する取り組みは「従業員の安全・健康」という視点からも、今後ますます加速していくでしょう。

ウェアラブル冷却デバイスの普及

近年はファン付き作業服、冷却ベストなど、個人用の暑さ対策アイテムも多様化しています。
これらをシーリングファンやスポット冷却と併用することで現場のヒートストレスを大幅に軽減できるようになっています。

「暑さ2.0」時代の到来

気候変動の影響で「かつてない猛暑」が常態化しつつある現代、これまで通りの対策(根性や我慢、ファンだけに頼る暑さ対策)では熱中症リスクや生産性低下を防げません。
法令遵守(労働安全衛生法)や従業員エンゲージメント向上の観点からも、総合的・科学的な暑さ対策への転換が製造業全体で求められる時代となっています。

まとめ:ラテラルシンキングで考える「本当の暑さ対策」

シーリングファンは暑さ対策の万能薬ではありません。
根本的な熱源対策・排熱・空調・ウェアラブル・現場データ活用――。
こうした多角的アプローチこそが、工場現場の暑さ対策を最大化します。

昭和的な「暑さは耐えるもの」「何となくで対策を進める」発想ではなく、現場のデータを活用した論理的アプローチ、そこにラテラルシンキング(水平思考)による新たな価値観導入も不可欠です。

現場を知る立場として、「シーリングファンを入れたけど暑い…」で思考停止するのではなく、現場スタッフの声に真摯に耳を傾け、個別最適と全体最適の両軸で暑さに強い現場づくりを進めていただきたいと思います。

バイヤーとしても、サプライヤーとしても、「本当に現場にフィットする提案」とは何か――。
その本質を見極める視点こそ、今後の製造業を発展させるために不可欠な力です。

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