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俺様上司の存在そのものが社内のコントになる理由

俺様上司の存在そのものが社内のコントになる理由
はじめに:なぜ「俺様上司」が生まれるのか
製造業の現場で長年働いていると、どこの職場にも「俺様上司」と呼ばれる存在がいるのを痛感します。
自分のやり方や価値観こそが絶対だと信じて疑わない。
部下や同僚の意見を軽んじ、上から目線で物事を決めてしまう。
口では「この業界も変わらなきゃダメだ」と言いながら、小手先で現場をコントロールしようとする――。
このような俺様上司の存在が、なぜ社内を「コント」(つまり喜劇のような非効率な状態)にしてしまうのでしょうか。
この記事では、昭和の会社文化から現代のダイバーシティ重視の潮流までを俯瞰しながら、現場の目線、そして調達購買や品質管理など各部門の立ち位置も交えて深堀りします。
1. 製造業現場の「俺様上司」あるある
まず、俺様上司の典型的な事例をいくつか挙げてみましょう。
– 「俺が若いころはこうだった」と過去自慢を繰り返す
– 部下が提案した改善策を「前例がない」と却下する
– 問題が起きると「なぜ相談しなかった」と責任転嫁する
– 必要以上の根回しや報連相を求め、実作業の足を引っ張る
– 下請けやサプライヤーにも命令口調で接する
こうした振る舞いが現場にどんな悪影響を及ぼすかは、現場経験者なら痛いほどわかるはずです。
一見すると「気の強い上司」「指導熱心な管理職」と見えるかも知れませんが、現実にはコミュニケーションの断絶・現場のモチベーション低下・サプライヤーとの信頼関係毀損など、あらゆる面でマイナスの連鎖を生み出してしまいます。
2. 俺様上司による「社内コント化」のリアル
ではなぜ、「俺様上司」の存在が社内全体をコント、すなわち漫才のようなズレた喜劇状態に陥らせるのでしょうか。
その背景には、日本の製造業に根強く残る昭和型の上下関係・属人的な仕事観・硬直化した意思決定といった文化があります。
まず、上司の独善的な振る舞いを部下や同僚が咎めない/咎められない空気が蔓延しやすいという点が挙げられます。
例えば、会議の場で上司が見当違いの指示を出しても、周囲は内心で失笑しつつも、表立ってはツッコミも入れられず、結果的に「お約束の茶番」が繰り返される。
これがまさにコントです。
「どう見ても変なのに、誰も止められない」「予想通りにしか進まないしょうもない結末」。
これこそが社内劇場の一幕です。
また、一人の俺様上司に過剰に忖度したり、言行に振り回されることで、周囲からは「何やってるんだこの部署」と嘲笑され、会社全体の信頼にも傷がつきます。
3. 俺様体質が生まれる土壌:昭和から引き継がれた組織文化
なぜ未だにこうした「俺様上司」が企業の中枢に存在し続けるのでしょうか。
そこには大きく3つの背景があります。
1つ目は、「現場主義」を履き違えた職人型の価値観です。
現場をよく知ることと、自らの経験のみを正解とすることはまったく違います。
しかし高度成長期の製造業では、厳しい納期、品質への偏執的なこだわりといった背景から、現場リーダーに強烈な権限と発言力が集中してきました。
それがいつしか「現場の長が最強」→「正しいのは俺だけ」という思考回路へ。
2つ目は、ジョブローテーションが少なく閉鎖的な風土です。
同じ職場・ポストに長くいることで、外部からのチェックや新陳代謝が機能しづらくなります。
「〇〇部長の言うことは絶対」となると、年功序列がそのまま価値観の温存に繋がります。
3つ目は失敗を咎める文化です。
間違いを認めることが恥とされるため、上司ほど失策を認めづらい。
だからこそ「自分のやり方以外は認めない」俺様体質が強化されるのです。
4. 調達購買/サプライヤーの目線から見る「俺様上司」
バイヤーやサプライヤーの立場で現場と関わると、俺様上司の強烈な個性が仕事をいかに左右するかを実感します。
例えば、価格交渉において、今どきWin-Winの関係構築が重要だと知りつつも、俺様上司は「うちは客だぞ」と一方的な値下げを迫るケースが珍しくありません。
「俺が交渉に行けば絶対安くなる」と高をくくり、サプライヤーの苦悩や製造原価の実情を無視した指値や無理難題を押し付ける。
その結果どうなるか。
– サプライヤーは敵意を持ち、隠れコストや品質リスクを持ち込む
– 本音で情報を開示してくれなくなり、共創の芽が消える
– 業界内で「〇〇社はやりにくい」というレッテルが定着する
また、俺様上司の「根回し命令」がバイヤーの判断やフットワークを無駄に遅くし、サプライチェーン全体の意思決定速度が低下する。
これではVUCA時代のアジャイルな対応など夢のまた夢です。
5. 生産管理や品質管理現場の悲劇
また、生産管理や品質管理の現場では、俺様上司の独善的な采配が思わぬトラブルを招くことも。
「検査工程は省略しろ」
「在庫は絞れ」
「不良出てもいいから納期厳守だ」
――こうした判断が現場の苦労や工程の現実を無視して下されると、真っ先に犠牲になるのは現場の作業員や監督者たち。
生産トラブルやクレームが増加し、「なぜ守れなかったんだ」と叱責される。
ここでも「俺様」が滑稽に振る舞い、現場は怒りと諦めが入り混じった奇妙な連帯感で「コント」を演じざるを得ません。
6. 変われない組織が淘汰される時代へ――俺様上司の終焉と再生
昭和の空気を色濃く残す製造業の現場でも、少しずつ変革の機運は高まっています。
働き方改革やダイバーシティ推進、サステナビリティ経営といった時代の波は、非効率な組織や閉鎖的な文化を徐々に淘汰しつつあります。
事実、昨今のDX推進や、自動化・IoT導入などの場面で「俺様上司」型のトップダウンが逆に足かせとなり、若手や外部人材にリーダーシップがシフトする事例も多く見受けられます。
優れたバイヤーや工場長は、決して「俺流」を強要しません。
現場やサプライヤーの声を丹念に拾い、「なぜこれが必要なのか」論理的かつ透明なコミュニケーションで説得力を持たせることができます。
今後は「俺様上司」型のローカル最適化ではなく、全体最適=現場・サプライヤー・経営の三位一体でのオープンな課題解決が求められるでしょう。
7. 俺様コントから抜け出すために――バイヤー・サプライヤー・現場ができること
もし今この記事を読んでいるあなたの職場にも、典型的な「俺様上司」がいたとしましょう。
彼らの振る舞いを嘆き、愚痴をこぼすだけでは何も変わりません。
では、バイヤー、サプライヤー、現場の作業者や管理職は何ができるのでしょうか。
まず大前提として、「事実とロジックに基づく対話」を心がけること。
「それは昔と今で事情が違います」や「このサプライヤーにはこういうメリット・デメリットがある」と、具体的なデータを武器に淡々と論点を整理する。
反論するのではなく「違い」を丁寧に見せることで、俺様上司にも気づきを与えられるケースが増えています。
また、現場の成功事例や失敗事例(社内コント化した案件も含めて)を集め、小ネタ的に共有するのも有効です。
「あの時みんなが無言で従った結果、現場がどうなったか」といったリアルなストーリーは、どんな経営研修よりも説得力があります。
サプライヤーの方は、理不尽な要求にはきちんと理由やデータをぶつけ「こうした付き合い方で御社にもリスクがあります」と誠実に説明すること。
長期的に見れば、誠実なパートナーこそ信頼を勝ち取る時代です。
おわりに:昭和のコントを繰り返さず、未来志向のマネジメントへ
俺様上司による「社内コント」は、時代遅れの働き方や意思決定プロセスの象徴です。
昭和のサラリーマン的マッチョイズムから距離を取り、現場・バイヤー・サプライヤー・経営層が対等に意見をぶつけ合う風通しのよい職場こそ、これからの製造業に求められる姿です。
現場が本当に強くなるには、全体を見る目と、他者の声にしっかり耳を傾ける度量が不可欠です。
「俺様」という化石の価値観に縛られず、現場目線と未来志向のバランスで、業界の発展に貢献していきましょう。
今、このコントのような日常を「変わらないもの」と受け入れるのか、それとも「変えていく勇気」を持てるのか。
業界の明日は、私たち一人ひとりの手に委ねられています。
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