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投稿日:2026年2月9日

健康経営を経営企画が主導すると現場が距離を感じる理由

はじめに―経営企画主導の健康経営に現場が違和感を持つ背景

健康経営が日本の製造業でも重要視されつつあります。
従業員の心身の健康が職場の生産性や品質を左右するとさえ言われ、経営層が旗を振るケースも増加しています。
その一方で、「経営企画部門が健康経営を主導すると、現場がどこか距離を感じてしまう」という現象がしばしば見受けられるのも事実です。

なぜ、健康経営という“良いこと”でさえ、現場に違和感や反発が生まれるのでしょうか。
どうすれば現場に根付き、組織全体で成果を出せるプロジェクトに成長させられるのでしょうか。
20年以上製造現場・管理職経験のある筆者が、実践事例と現場視点を交えて深掘りします。

健康経営とは何か―製造業の現場における理解の差

経営層・経営企画が意図する健康経営

健康経営とは、「会社の経営課題として従業員の健康に配慮し、その投資によって生産性の向上や企業価値につなげる」という経営方針です。
たとえば業績KPIの達成のため、健康診断の受診率向上やストレスチェック実施、メンタルヘルス対策、残業削減、運動・食事指導プログラム導入など幅広い施策を推進します。

上場企業・大手グループになるほど、IRやブランディングにも直結するため経営企画主導で大規模プロジェクト化されがちです。

現場での“健康経営”の見え方のギャップ

一方、工場現場や生産管理、品質管理など、工程の最前線にいる現場従業員からは
・突然届くアンケートや意識調査
・業務時間の合間を縫ってのセミナー参加依頼
・目的や成果が伝わりにくい健康プログラム参加
といった“やらされ感”、“上から感”、「これ本当に現場に意味があるの?」という疑念や距離感が生じやすいことも否定できません。

このギャップがなぜ生まれるか、根本から紐解きます。

経営企画主導の健康経営推進―現場が距離を感じる3つの理由

1. 実態や課題を“現場目線”で把握できていない

筆者の体験上、経営企画部門は全社的な数値管理や横断組織なので、現場一人ひとりの働き方・職場環境まで目が行き届きづらい傾向があります。
健康経営の推進会議で議論されるのは
「健康診断未受診者○人」「月平均残業○時間」など統計的な数字ばかり。

しかし、たとえば夜勤の冷暖房環境・トイレの立地・危険作業時の体調変動・熟練者の負荷偏在…現場でリアルに課題となる“健康リスク”は、データだけでは見えません。
机上のKPI設計・施策立案だけで現場につながりにくい理由です。

2. “トップダウン指示型”と“衛生要因”のすれ違い

健康経営の多くは「上から押し付け」「仕組みを作ったから守ってほしい」となりがちです。
しかし人間の健康行動は、自分ごと化されないと定着しません。

特に製造業の現場社員は「安全第一」「納期遵守」「現場カイゼン」など明確な目的・成果や、“自分たちの現場を良くする”実感を大切にする傾向が根強いです。
「会社のために健康でいてくれ」は本音でピンと来ないのです。

また、安全衛生や従業員満足度向上は“衛生要因”(=「あるのが当たり前」「なくなると不満」なもの)です。
経営企画主導の取り組みが“非日常の特別措置”のような押し付けになると、かえって現場の主体性やモチベーションが下がりやすい側面もあります。

3. 見える成果が実感しづらい

経営企画の健康経営KPIは、中長期的な目標(例えば「離職率低減」「医療費削減」)や、見えにくい指標(例えば「従業員エンゲージメント向上」)に偏りがちです。

現場のリーダーや工場長クラスは短期間での品質・納期・生産効率の責任を負っています。
「この施策によってどれだけ現場の成果や自分たちの働きやすい環境につながるのか?」が見えなければ、形骸化・消化試合になりやすいのです。

昭和的アナログ文化が根強く残る―現場のリアルと健康経営の難しさ

現場文化:横のつながり・暗黙知・職人気質の重視

昭和から続く日本の製造現場には、「現場・現物・現実」の“三現主義”や“現場主義”が深く根付いています。
現場ごとの非公式なルール、ベテラン社員の“勘と経験”、調達購買部署と現場との微妙な力関係など、人間臭い横のつながり・阿吽の呼吸が意思決定を左右する場面も多々あります。

外部の専門家や経営企画経由の「お仕着せ施策」には本能的に壁を感じやすい環境です。

“健康”だけが主役でない多重の優先順位

製造現場では「安全・品質・納期・コスト」に最優先の意識があり、健康は二の次(三の次)になりがちです。
現場では
「今、その対策より目の前の納品や設備トラブルのほうが大事じゃないか?」
「そんな“余裕”があれば仕掛品を減らしたい」
という現実的な優先順位をもっています。

健康経営を机上論で“君たちのため”と押しつけても、「現実が見えていない」と映るのです。

現場と経営企画をつなぐ“ラテラルシンキング”の実践

現場巻き込み型の健康経営 推進体制への転換

現場が主役・現場が起点となる健康経営推進が不可欠です。
その具体例としては
・現場リーダー、有志社員を含めたプロジェクトチーム編成
・本音アンケート、現場ヒアリングから課題抽出スタート
・「現場困りごと解決型」小さなPDCAの連鎖推進
など、現場主体・ボトムアップ型へ転換を図ります。

筆者がかつて現場リーダー時代に成功したケースでは、腰痛や熱中症、防災設備など“現場固有の健康課題”をピックアップし、「せめてこれだけは改善したいんだ」と共感を得られるテーマに集約。
小規模な懇談会や現場ツアーも活用し、本音のコミュニケーションを意識的に仕掛けることで、プロジェクトの一体感が高まりました。

サプライヤーや調達現場の巻き込みで“協働型”へ

健康経営は、実はサプライヤーや協力会社・パート労働者も大きく関与するケースがあります。
たとえば、工程負荷や納期調整が逼迫していると、本工場側社員だけでなく外部スタッフの健康リスクが高まります。

ここで重要なのが「バイヤー(調達側)の意識変革」です。
・調達購買担当も現場と一緒に“働き方”と“健康リスク”を理解
・サプライヤー側の職場環境改善を“買いたたき”でなく伴走型で取り組む
といった“川上・川下一体”の健康経営を志向すべき時代に入っています。

製造業バイヤー・サプライヤーが心得ておきたい視点

バイヤーとして求められる“健康経営眼”

日本の製造業の強さは、現場のきめ細やかさ・先読み力・粘り強さにありました。
しかし、その裏に「無理が利いてしまう」「我慢が美徳化される」「問題が表面化しにくい」文化も根強いです。

バイヤーは、サプライヤー選定時やQC監査時に「この会社は健康経営にどこまでコミットしているか」を見る目線を持ちましょう。
短納期やコストだけでなく、“長く付き合える健全なパートナー”を選ぶことが結果的に品質・納期リスクの低減やSDGs対応、ブランディングにも寄与します。

サプライヤー視点で知っておくべきバイヤー“裏側”心理

「最近お客さんから健康経営のアンケートが来たけど、何のため?」と戸惑うサプライヤーも多いはずです。

背景には
・調達先の安全衛生・健康状態もサプライチェーン全体最適の一部とみなす考え方
・“持続する協力関係”志向とサステナビリティ推進
・実際に健康破綻・事故時は納期/品質リスクが直撃する危機感
があり、バイヤーも現場のリアルに寄り添おうと模索しています。

一方的な“書面提出”ではなく、「お互いの現場の健康課題をぶつけ合い、協働解決する」という姿勢が、これからのサプライヤーにとって有利に働く時代です。

まとめ―地に足がついた健康経営は現場と経営企画の対話から

健康経営は経営層や経営企画だけのプロジェクトではありません。
昭和型のアナログ現場にも、「自分たちの現場を本気で守りたい」「安心して働ける会社にしたい」という本音や知恵が眠っています。

現場主体・現場起点、さらにサプライヤーや調達バイヤーも巻き込んだ“協働型健康経営”こそ、製造業の底力を底上げし、真の働き方改革・競争力強化につながる道です。

経営企画主導のトップダウン型で現場に距離感を生まないためには
・現場の暗黙知や痛みを聞き出すラテラルシンキング
・小さな課題解決からスタートする巻き込み力
・サプライチェーン全体での健康経営最適化への意識
これらを積み重ねて、現場と経営企画の対等な関係づくりを目指しましょう。

現場こそが企業の原点。
あなたの現場知見は、必ず次世代の日本の製造業に活きるはずです。

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