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兼任担当が常に緊急対応要員になる理由

目次
兼任担当が常に緊急対応要員になる理由
はじめに
製造業の現場では、「兼任担当」による業務運営が少なくありません。
特に調達購買や生産管理、品質管理などの部門では、少人数で幅広い業務をこなすため、業務分担があいまいになりがちです。
その中で、兼任担当者が常に火消し役となり、「緊急対応要員」としてアサインされてしまう現象が多発しています。
この記事では、なぜ兼任担当がこうした立ち位置に追い込まれるのか、昭和から続く業界特有のアナログな慣習も交えながら、実践現場で培った知見をもとに深掘りしていきます。
兼任担当の役割と実情
製造現場における「兼任担当」とは
製造業における兼任担当者とは、複数の役割や責任領域を同時に持ち、必要に応じて臨機応変に動く存在です。
例えば生産管理と品質保証を兼任するケース、調達購買と在庫管理を担当するなどです。
中堅以下の企業や、慢性的な人手不足に悩む工場では、兼任担当が当たり前の光景となっています。
これは単なる人件費削減だけでなく、現場での柔軟な対応力や人材の多能工化を重視する日本型の経営思想に根差しています。
しかしその裏側には、「何でも屋」として様々な火消しを強いられる深刻な現実もあります。
人数に余裕がない製造業の構造的問題
バブル崩壊以降、製造業では固定費削減のプレッシャーが高まり続けました。
いわゆる「少数精鋭主義」がすすみ、現場の要員は常に余裕がありません。
工程ごと、業務ごと、部署ごとに人を置くゆとりなど許されず、ひとり何役も求められるのが常態化しています。
さらに、昔ながらの縦割り組織が残る中、横断的なサポートやデータ連携には、人が動いて穴埋めするしかない状況が生まれます。
この“人海戦術”が、兼任担当の緊急対応体質を生み出しているのです。
兼任担当が緊急対応要員になる構造
日常業務と「イレギュラー対応」の境目が曖昧
兼任担当者は、常に本来業務と「イレギュラー(非定常)対応」との間で板挟みです。
たとえば、購買担当が資材発注や価格交渉業務に集中している傍ら、現場から不適合品や納期遅れ、取引先トラブルの相談まで飛び込んできます。
兼任ゆえに、社内の他部署からも「とりあえず○○さんに聞こう」と依頼が殺到し、通常業務の合間に火消し的な業務をこなすはめになります。
やがてその人は、「何か起きたらこの人」として、常に緊急対応担当に“自動アサイン”される悪循環に陥るのです。
ベテラン=現場頼みの暗黙知で属人化が進む
日本の製造業はベテランへの信頼が厚く、独自ノウハウや人脈、阿吽の呼吸が業務の潤滑油です。
しかし、アナログな現場ではその情報もシステムに残らず、文書化も生煮えのまま共有されません。
属人的な業務運営になりやすく、少しでも経験値が高い兼任担当者の肩に原価・品質・納期、全てのイレギュラー対応がのしかかってきます。
ベテランへの「安心神話」が、悠長な根回しや調整にも発展し、気づけば“現場便利屋”のポジションにされやすいのです。
「困った時の○○頼み」が常態化する現場文化
日々の現場は膨大なタスクと突発トラブルの連続です。
結果、「困った時の○○頼み」という都合のよい文化が深く根付いています。
本来なら組織で課題を吸収し、全体最適を図るべきですが、現実は「一人有能な兼任担当者の手腕におんぶにだっこ」になりがちです。
どのポジションでも「知っている人」「できる人」に負担が偏るため、慢性的人手不足の負のスパイラルが持続します。
アナログ業界に根付く要因と問題点
デジタル化の遅れと兼任担当の残業依存体質
多くの製造業では、未だにエクセル手入力や紙資料による情報連携が残っています。
帳票や工程管理、品質記録も各担当者が目視と手書きで対応し、イレギュラーな事態は紙と電話・FAXで摩擦的に処理されます。
システム連携や自動化が十分でないため、「情報のハブ」になるのが兼任担当者です。
工場長や現場リーダーのような現場を熟知した人材ほど、夕方以降に「今日中に」と案件が増え、結果的にサービス残業・休日対応が常習化してしまいます。
ナレッジ共有・標準化の壁
「言わなくても分かるだろう」「これまでこうだったから…」と、標準化や業務マニュアル整備が停滞しやすいのも、この業界の特徴です。
バイヤー・サプライヤー間でも同じ文化がありがちで、「阿吽の呼吸」での調整が求められます。
しかしこれは裏返せば、情報や改善事例が兼任担当者に溜まり続け、他のメンバーが育たず負担が集中する「属人化」の再生産です。
変化を避ける現場気質と組織の意思決定の遅さ
昭和の時代から続く「現場主義」「謙虚さ」「波風を立てない」組織慣行も、現場改革や分業の導入を阻む要因です。
役職や年次にとらわれ、組織変更やタスク分解・権限委譲も進みにくい。
管理職や兼任者が「私がやったほうが早い」と業務を抱え込むうち、緊急要員化が一層加速します。
これからの兼任担当の在り方と課題突破のヒント
デジタル化による業務可視化と負荷分散の推進
脱アナログ・脱属人化へは、まず業務の「見える化」から始めることが重要です。
調達、購買、生産進捗、品質記録、といったタスクをデジタルで一元管理できる仕組みを導入することで、「誰が・いつ・何を対応しているか」を全員が参照できるようになります。
現場DXは大手だけの話ではなく、中小こそスモールスタートで「管理のしくみ」づくりが将来の兼任担当負担軽減に直結します。
マルチスキル化から「タスク分担型チーム」への進化
かつては「多能工」で一人一人が全タスクを網羅することが重視されました。
しかし現在は、エキスパートではなく「機能分担型チーム」として柔軟な業務シフトやバックアップ体制を持つ運営スタイルに移ることが求められています。
兼任担当者に頼らない業務の相互カバー化を、定期的な業務分解・タスク棚卸しミーティングで推進しましょう。
若手育成、OJTや研修による情報共有サイクルづくりは、兼任担当者の心のゆとりにもつながります。
「何でも屋」から「問題解決の推進役」へ役割変革を
兼任担当の最高の価値は「緊急対応」ではなく、「現場改善の推進役」です。
一箇所に負荷が集中する前に、改善策の提案・仕組み化・委譲・自動化の旗振り役へシフトしていくことが次なる課題です。
たとえば生産計画の自動化や、サプライヤーとのオンライン連携システム構築、調達先の多元化交渉など、「仕組みごとアップデートする」という視点で、現場に本質的な余力を生み出せるのは兼任担当ならではのポジションです。
バイヤー・サプライヤー現場に向けたメッセージ
バイヤー・調達担当へのアドバイス
「火消し役」になりやすい自社内だけでなく、取引先の現場にも「何でも屋」になりかけている担当者がいることを意識しましょう。
見積・納期交渉やトラブル時の連絡経路を「属人化」せず、複数名・複数チャネルでフォローするよう工夫を。
また、社内のナレッジ共有や改善アイディアを発信する「推進役」として兼任担当者を活かしましょう。
サプライヤーへのアドバイス
バイヤー担当が孤軍奮闘で緊急対応になっていないか、相手先の体制や運営を観察しましょう。
納品や品質問題でただ要求に応じるのではなく、仕組み改善や「防止のための提案」を一緒に模索することが、信頼関係構築や“選ばれるサプライヤー”につながります。
まとめ
兼任担当が緊急対応要員に固定化されるのは、アナログな現場の構造的な問題と、昭和から続く属人的な業務スタイルによるものです。
だからこそ今、働き方と事業の進め方の変革が求められています。
業務の「見える化」や「分担型チーム」「標準化」の推進によって、兼任担当者の価値を「緊急対応」から「現場改善推進」へと進化させ、製造現場全体の生産性・働きやすさ・競争力の向上を実現していきましょう。
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