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読みやすいマニュアル作成と改善を実現する記述スキル

目次
はじめに 〜製造業におけるマニュアルの重要性〜
昭和から令和に至るまで、製造業の現場ではマニュアルが欠かせない存在となっています。
生産現場、生産管理、調達購買、品質管理、各所で日々使われているマニュアルは、単なる手順書以上の役割を持っています。
新人教育や標準作業の均一化、不良品削減、さらには災害時やトラブル発生時の拠り所として、マニュアルの有無と質が現場力を左右しています。
これほど重要なマニュアルですが、「読みにくい」「わかりにくい」「結局、現場はベテランの経験に頼っている」といった課題は未だ多くの工場で解消されていません。
では、どうすれば「本当に活用される、現場で活きるマニュアル」がつくれるのでしょうか。
20年以上の現場体験と管理職経験を通じて培った知見から、実践的なマニュアル作成・改善の記述スキルについて解説します。
なぜ現場はマニュアルを使いこなせないのか?
マニュアルは存在するのに、現場の多くは「読まない」「使わない」「そもそも探していない」ことが多々あります。
その背景には下記のような事情が潜んでいます。
1. 現場目線の不足
マニュアル作成担当者が現場から離れていたり、本社主導や他部署が作成した内容で、実際の業務とかけ離れたものになっていることはよくあります。
結果、現場は「使いにくい」「書いてある通りでは動かない」となり、ベテランの経験則が優先されてしまいます。
2. 情報量のアンバランス
無駄に情報が多すぎて要点が伝わらない、逆に説明不足で肝心のノウハウが抜け落ちているなど、情報量のコントロールができていないマニュアルは読まれません。
3. フォーマット・表記のバラつき
各人でバラバラに作成したマニュアルは、表現やレイアウトにも統一感がなく、とっつきにくいものになりがちです。
マニュアルを読むたびに「出だしはどこだ?」「この指示、誰向け?」と混乱が生まれます。
4. アナログ環境とデジタル化の壁
昭和由来の紙管理や、現場でネットワーク端末が不足している…。
こうしたインフラ面の課題が、せっかく作成したマニュアル活用を阻害している場合も見逃せません。
読みやすいマニュアルを実現する5つのポイント
では、現場に浸透するマニュアルづくりのポイントは何でしょうか。
20年以上の現場経験で「これが本当に効いた」「現場が自走しはじめた」と感じた5つの工夫を紹介します。
1. 誰が読むか、徹底的に想定する
マニュアルの宛先を「新人・異動者」「熟練工」「外部スタッフ」など、具体的にイメージして書き始めることが重要です。
特に初学者向けは、「その工程・作業に初めて触れる人が迷わない」説明を最低限担保しましょう。
2. 1工程ごとに「目的」「手順」「注意点」をセットで記述
単に「ボタンAを押す」では不十分です。
・なぜその操作が必要なのか(目的)
・どういう手順でやるか(手順)
・失敗例やトラブル時の回避法(注意点)
これらを1セットで整理することで、各工程の全体像とリスクをユーザーが理解しやすくなります。
3. 図や写真を積極的に活用する
文章だけで説明できることには限界があります。
現場で使う機械の写真、操作画面のキャプチャ、作業中の動画などを簡潔な注釈と組み合わせることで、非言語の伝達力が大幅に高まります。
特に多国籍労働者や、読解力にばらつきがある場合には決定打となります。
4. 一文を短く、結論から書く
工場の現場では、複雑な文章や長文を読む余裕はありません。
「1文40文字以内」「手順書は箇条書きで」「何より結論を先に」など、即断即決を助ける記述を心がけましょう。
5. 作りっぱなしNG、現場フィードバックで常に改善
マニュアルは書いた時点で完璧にはなりません。
現場配布後に「どこがわからなかったか」「想定外の使われ方をしていないか」を定期的にヒアリングし、その都度アップデートすることが品質維持のカギです。
紙でもデジタルでも、「最新版の所在」と「改訂履歴」を可視化しておくことで、信頼度が大きく向上します。
ベテランと新人、両方に刺さる工夫とは?
マニュアルは「新人向け」だけにフォーカスしがちですが、実は熟練者こそ巻き込むべきターゲットです。
1. ベテランの暗黙知を形式知にして残す
ベテラン作業者は「なぜそのやり方が良いのか」を理屈で説明しなくても体得しています。
マニュアル作成プロセスでベテランを巻き込み、現場でしかわからないコツ・NG例・ヒヤリハット事例を聞き出して「型」に落とし込みましょう。
この積み上げが、現場力の継承や新しい技能伝承につながり、離職や世代交代にも強くなります。
2. 定期的な見直しの場を設ける
年に一度、「マニュアル診断会」や「現場改善ワークショップ」を設けて、現状の課題共有や改善アイディアを募りましょう。
現場参加型の改善は「自分たち事」への意識を高め、浸透度を上げます。
昭和から抜け出せないアナログ現場への提案
現場によっては、「紙マニュアルが一番」「PCなんて使わない」というアナログ文化が色濃く残るケースもあります。
そういった工場向けの具体策もご紹介します。
1. シンプル1枚モノの「現場ピクトグラム」を壁貼りに
大量の紙ファイルより、要点と注意点だけを1枚のイラスト+極太文字で描いた「作業ピクトグラム・ポスター」を各工程に貼ると効果絶大です。
間違えやすいポイント、必須チェックポイントを目線の高さで可視化するのがコツです。
2. 昭和式「口伝え」に変わる「リーダー朝礼のマニュアル3分間プレゼン」
日常朝礼で、班長・リーダーがマニュアルの要点を毎朝3分で説明する時間帯を設けましょう。
アナログ現場ほど、口頭による繰り返しの実演・伝達が記憶定着に効きます。
3. 写真付きノートアプリの活用
社内にスマートフォンやタブレットが1台でも入れば、写真・動画を貼れるノートアプリで「現場の備忘録」をチーム全員で即時共有しましょう。
デジタル苦手層向けには、1日1枚の作業写真+短文解説だけでも十分です。
「マニュアルに書くほどじゃない現場の知恵」を蓄積できます。
まとめ 〜強い現場づくりは「読みやすさ」から始まる〜
製造業の発展には、マニュアルの存在そのものではなく「現場で如何に読みやすく、使いやすく、改善し続けられるか」が必須です。
目的・手順・注意点のセット化、ベテランの暗黙知汲み上げ、現場主導の改善仕組み、アナログ現場にも刺さる1枚モノや朝礼プレゼンなど、現場目線でのラテラルな工夫が「読む・伝わる・使われる」仕組みをつくります。
バイヤーにとっては現場力こそが工場の競争力の真髄ですし、サプライヤーでもこの記述スキルと現場改善ノウハウを身につけることで、取引先からの信頼や依頼も飛躍的に高まります。
今日からできる小さな改善から取り組み、製造現場の未来をともに切り拓いていきましょう。
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