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投稿日:2025年6月4日

ジルコニウム化成処理可能な筐体フレーム製作方法と委託先選定

ジルコニウム化成処理とは何か?~現場目線でその役割と特徴を解説

ジルコニウム化成処理とは、アルミニウムや鉄などの金属材料表面にジルコニウム系化合物の皮膜を形成する表面処理技術です。

これは従来のクロメート(六価クロム)処理の代替技術として生まれました。

最大の特長は、有害な六価クロムを用いないため、環境規制(RoHS指令等)に対応できる点にあります。

また処理後の皮膜は非常に薄く、導電性も一定程度保てるため、塗装や電着との相性も良好です。

そのため、自動車部品、家電製品の筐体、IT機器のフレーム、産業用ロボットの構成部品など、幅広い製造業分野で活用されています。

現場目線で見ると、ジルコニウム化成処理は「下地作りの要」です。

処理の出来・不出来が後工程の膜密着性や耐腐食性、さらには最終製品の信頼性にも影響します。

つまり、「良い筐体フレーム=優れた化成処理」だと言っても過言ではありません。

筐体フレームの製作工程とジルコニウム化成処理~工程選定の勘所

現場で実際に多い工程例をベースに、ジルコニウム化成処理がどこで活躍するのか、その流れを解説します。

1. 設計・材料選定

まずは筐体フレームの設計構想です。

ここで重要なのは、「ジルコニウム化成処理を前提とした素材選定」です。

アルミ・鉄・ステンレスなど素材によって処理液や前処理が異なるため、最終仕様とコスト・物性のバランスを見極めます。

化成処理をメリット最大化したい場合、通常は塗装や電着を組み合わせることを前提に設計するケースが多いです。

2. 加工(切断・曲げ・溶接)

図面に従って材料を切断・曲げ、必要に応じて溶接などで仮組みします。

現場で注意したいのは、「加工焼け」や「スパッタ」を極力減らす点です。

不純物混入や表面荒れは、後の化成処理ムラ・密着不良につながるからです。

また、異種金属の接合部ではガルバニック腐食(異種金属間腐食)リスクも考慮する必要があります。

3. 前処理(脱脂・酸洗い・研掃)

次に行うのがジルコニウム化成処理の“踊り場”とも呼べる前処理工程です。

– 脱脂:油分や切削剤の除去
– 酸洗い:サビや酸化膜の除去
– 研掃:表面の微粒子・異物を除去

ここを丁寧に仕上げることで、化成皮膜の形成ムラを防ぎます。

現場経験上、「とりあえず前処理」で進んでしまうと後で塗装密着や耐食に大きな違いが生まれます。

4. ジルコニウム化成処理

いよいよ本番です。

金属表面にジルコニウム皮膜が均一に形成されるよう、温度・pH・濃度管理や浸漬時間などを高精度でコントロールします。

現場目線では、液の劣化・スラッジの蓄積・液切れ・乾燥ムラなど管理ポイントは多岐にわたります。

特に大型・複雑形状フレームの場合、抜けや液ダレにも気を付けます。

5. 洗浄・乾燥・検査

化成処理後、純水でしっかり洗浄。

乾燥工程を経て、皮膜厚や密着性試験、外観検査など品質チェックを行います。

生産現場では、ここで不合格が出ると「全工程手戻り」になるケースも。

最初から品質基準を共有し、検査治具や検査体制を整備しておきましょう。

6. 塗装・電着・最終組立

ジルコニウム化成処理品は、この後、塗装や電着工程へ移ります。

これによりさらに耐食性や外観性がアップし、最終として筐体フレームへ組み込みます。

現場経験上、化成処理と塗装の連続性・リードタイム短縮が重要です。

塗装前の時間が長いと皮膜性能が劣化しますので、委託先も「ワンストップ化」を意識しましょう。

委託先(サプライヤー)選定のポイント~バイヤーの本音&現場主義

ジルコニウム化成処理+筐体フレーム製作を外部に委託する場合、どんな点を重視するべきでしょうか?

現場を知るバイヤー、委託先視点、双方の立場で考察します。

1. 技術力と認証体制

– 最新の処理ライン、設備保有
– ISO9001、ISO14001やIATF16949などの品質・環境認証取得済み
– 塗装・電着との一貫ライン有無

単なるコスト比較ではなく、最終製品の信頼性向上につながる技術と検査体制の有無を見極めてください。

R&D部門が化成処理液メーカーと連携している委託会社は、事故や品質異常時も迅速に対応できます。

2. 豊富な実績・リファレンス

特に経験の浅いサプライヤーはリスクがつきものです。

– 類似製品での加工実績
– 主要顧客名の明示
– 不良やクレーム時の対処実例

これらをヒアリングして、事前に「現場力」を見抜いておきましょう。

3. 試作・量産のサイクル短縮

昭和から続く“指示待ち体質”の会社は、図面の取り違えや情報共有の遅滞がありがちです。

見積・試作→量産移行までのリードタイムが短く、かつ仕様追加や変更にも柔軟な対応力がある会社を選びましょう。

Webベースでの図面共有や、生産計画の可視化ツール(生産管理システム)が備わっていればベターです。

4. コミュニケーションと対応力

– トラブル時のレスポンスが早い
– 技術質問に対して的確な回答がある
– 「できません」だけでなく「こうすれば可能です」と提案できる

バイヤーが本当に安心できる委託先は、単なる請け負い屋ではありません。

現場のトラブル、生産計画の突発的な変動に対し、現場視点で”二人三脚”になれるサプライヤーが理想です。

また、昭和的なアナログ管理から脱却して、デジタルによる進捗管理や異常検知、定例会議の省力化=コスト低減に力を入れている会社は、今後ますます重宝されるでしょう。

5. 適正価格と取引契約

ジルコニウム化成処理は環境性能の高さから、コストアップ要因にもなりがちです。

しかし価格だけを追いすぎると、品質や供給の安定度が下がり、結局は不良コストや手戻りリスクが増えます。

– 材料高騰や物価変動時の価格転嫁ルール
– 数量変動や突発変更時の協議フォーマット

これら詳細まで詰めて、長期安定供給のパートナーを選んでください。

特に中堅クラスの委託先は「ウィンウィン」の姿勢を評価し、自社内の担当現場とも密接に情報を連携しましょう。

バイヤー・サプライヤーが知っておくべき「今後の業界動向」

社会環境・規制・技術革新によって、ジルコニウム化成処理を取り巻くフレーム製作業界も急速に変化しています。

1. 脱炭素・省エネ化への対応

ジルコニウム化成処理は従来型のクロメート処理と異なり、CO2削減・廃液負荷低減に効果的です。

今後はESG投資やSDGsの観点で、上記技術を“標準装備”とする企業が増えるでしょう。

サプライヤー視点で見れば、「省エネ型設備」「廃液リサイクル」「薬剤の長寿命化」などに投資している会社が評価されます。

2. 設計段階からのDFA(組立性設計)の重要性

昭和的な“現場合わせ”では限界があります。

設計担当・生産技術・化成処理・塗装担当までが一気通貫で設計レビューし、「最適な組立・表面処理プロセス」を上流で決定する流れへ移行しています。

バイヤーも後工程の手戻りコストや、再処理リスクまで念頭にサプライヤーと意見交換するべきです。

3. DX(デジタル変革)推進

現場でありがちな「紙の伝票や手書きチェックシート」「誰が進捗を持っているか分からない」状況は時代遅れです。

今後は、進捗監視、品質トレーサビリティ、異常時の即時アラートを一元化管理できる仕組みが標準化されるでしょう。

委託先のアナログ体質に危機感を持ち、バイヤー自身も「デジタルでのやり取り」に切り替えていくことが重要です。

4. 適正な価格・適正な品質のバランス

この業界は長らく「値下げ一辺倒、品質は現場の犠牲」でした。

しかし、原材料高騰や人手不足が加速する現代、持続可能なサプライチェーンのためには“適正バランス”の考え方が不可欠です。

バイヤーも価格交渉だけでなく、サプライヤー現場の働き方改革(自動化・省人化設備の導入)を後押しすることが業界全体の底上げにつながるでしょう。

まとめ~製造業の新たな地平線へ:ジルコニウム化成処理と向き合う現場の流儀

ジルコニウム化成処理は「環境対応」と「高付加価値化」を両立できる、21世紀型の表面処理技術です。

筐体フレームなどの部品では、設計・サプライヤー選定から生産・品質検証まで、現場主義に基づいた“目利き力”が問われます。

昭和的なアナログ体質から脱皮し、バイヤーとサプライヤーがDXや省エネ技術で手を組み、「共創」と「持続的成長」を目指す流れの中で、ジルコニウム化成処理のニーズはますます拡大していくでしょう。

現場経験豊富な方も、これからバイヤーや品質管理に挑戦する方も、「なぜこの工程が必要なのか」「最終顧客の価値にどうつながるのか」をもう一度現場目線で問い直し、付加価値の高い“新たなものづくり文化”を創出していきましょう。

サプライヤーの皆さんも、バイヤーの立場や現場課題に共感し、単なる受注を超えた「モノづくりパートナー」へと進化してください。

これが、現場主義・現物現実のリアルから見据える“新しい製造業発展のアプローチ”であり、業界全体を次のステージへ押し上げる力になると確信しています。

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