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ODM開発の難所“量産移行”をスムーズにする方法

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ODM開発の難所“量産移行”をスムーズにする方法
ODM(Original Design Manufacturing)は、今や日本の製造業には欠かせないビジネスモデルとなりました。
自社ブランドだけでなく、他社ブランド向けの製品を設計から量産まで請け負うことで、グローバル競争力を発揮できる企業の多くが、このODMを取り入れています。
しかしながら、多くの現場担当者や購買・調達の方が痛感しているのが、開発段階は順調でも“量産移行”で思わぬ落とし穴にはまりがちである、という現実です。
実際に、開発試作までは想定通り進んだのに量産フェーズで手戻りや不良続発、さらには納期遅延やコスト増など、まさに「地獄の門」が開かれるケースをいくつも目にしてきました。
この記事では、昭和時代から引き継がれてきた製造現場のアナログな慣習にどう向き合い、デジタル時代の知見と現場目線をどう融合させて“量産移行”の難所をスマートに突破できるか、具体的なTIPSを交えて深掘りしていきます。
なぜODMの“量産移行”は難しいのか
製品開発と量産の“壁”
設計段階での完成度が高くとも、量産ライン上で初めて現れるトラブルは少なくありません。
それは、「一品モノ」の試作と「量産品」では、検証される現象・条件・安定性が根本的に異なるためです。
量産段階では、むしろ“人・設備・仕組み”の複合的な課題が浮かび上がります。
用意していた生産設備で歩留まりが悪化する、サプライヤーからの部品品質が基準を満たさない、現場作業者のスキルばらつきで不良発生…など、教科書通りにいかないノウハウの積み重ねが求められる場面が多数あります。
古き良き製造現場の功罪
いわゆる“昭和的な職人技”で乗り越えてきた現場が良しとされる背景も根強い一方、ブラックボックス化や属人化の罠も潜んでいます。
ベテランの手技頼みで監査や標準化が後手にまわり、工場間で再現性が得られず多拠点展開でつまずくのはよくある話です。
グローバル化・多様化で複雑化する調達構造
ODMによる海外生産や、複数国・複数ベンダー調達は多くのリスクもはらんでいます。
インボイスや原材料高騰、地政学リスクの影響でライン停止やコストアップ…こうしたサプライチェーンの“揺らぎ”が量産準備に大きく関わります。
スムーズな量産移行のためのコツと実践TIPS
1. 量産フェーズを見据えた開発段階からの“逆算思考”
量産時のトラブルの8割は、開発初期の“想定不足”が原因とも言われます。
そこで有効なのが「逆算思考=ダウンストリーム・プランニング」です。
設計段階から以下の視点で自問しましょう。
– この仕様・部材は現地(海外工場含む)で安定調達できるか
– 工数や作業者のスキルを平準化できるプロセス設計になっているか
– 組立・検査工程に非効率やムダが隠れていないか
さらに、開発DR(デザインレビュー)時には購買・生産部門も巻き込んだ“現場目線”のレビューを定例化します。
サイロ(縦割り)型組織の壁を超えて早期から量産可否のフィードバックループを作ることが、ムリ・ムダ・ムラの最小化につながります。
2. パイロットライン(試作ライン)をフル活用する
「量産設備の立ち上げに想定外の時間がかかった」「小ロットでは問題なかった工程が大ロットで不良を出した」
このような事態を未然に防ぐには、本番同等のパイロットラインで、できるだけ早い段階で量産プロセスを丸ごとシミュレーションしてください。
現場マネジメントのコツは、以下の2点です。
– 試作段階で“現場の本音”を吸い上げ、工程設計や作業標準をブラッシュアップする
– 検査データや歩留まり実績をナレッジとして残し、本番量産へ確実にフィードバック
昭和的現場だと「とにかく現場でやってくれるだろう」という丸投げ文化が根強いですが、ここはトップ主導のオープンなコミュニケーションが欠かせません。
3. サプライヤー管理は“協業型”に進化させる
量産移行時はバイヤー(購買担当)とサプライヤー(供給者)のパートナーシップ構築が急務です。
必要なのは「契約主導」一辺倒でなく、現場課題を一緒に解決し、双方にメリットのある関係を築く“協業型”へのシフトです。
優良サプライヤーを確保するには以下の対応が有効です。
– 部品サンプルや工程確認を伴う“現地監査”で品質・供給体制を可視化
– 技術提案やコストダウン提案を歓迎し、長期目線の信頼関係を醸成
– QCD(品質・コスト・納期)の明確な評価基準とPDCA循環を合同設計
これにより、調達難リスクや仕様変更時のレスポンスが飛躍的に向上します。
4. 品質保証は標準化×デジタル化で“見える化”を追求
“昭和流”の現場の「経験や勘」に頼るだけでなく、標準化されたマニュアル・チェックシート、最新のデジタルツールによる品質データの一元管理を推進しましょう。
IoTやDX活用によって不良情報やトレーサビリティデータが工場横断で共有できれば、異常の「早期捕捉→即対応」のサイクルが可能です。
これが“ムラ”や“属人化”を排除し、拠点展開の質的安定に直結します。
5. 生産技術・調達・現場を横断した“横串PJT”の組成
量産移行の負荷は開発部門単独で抱えるべきものではありません。
必要なのは、生産技術・品質管理・調達・現場キーマンが横串で参画するプロジェクトチームです。
目的は、下記3点に集約できます。
– 現地プロセスの課題を早期発見・共有
– 工場マネジメントと本社スタッフの一体運営
– 目標KPI(歩留まり、納期、現場クレーム等)を可視化し改善
担当部門を超えた“集団知”を構築することで、開発〜量産間の“地獄の谷”をスマートに橋渡しできます。
昭和流の現場とデジタル化は両立できる
過去20年以上工場の現場を見てきて確信しているのは、「昭和流の徹底管理・現場力」と「デジタル技術の効率化」は決して対立するものではない、ということです。
現場作業者の“勘・コツ・工夫”をシステムに取り込みつつ、そのナレッジを新しい技術で横展開することで、今まで見えなかった“潜在的なボトルネック”を可視化できます。
大切なのは、「アナログの良さ」を否定せず、次世代の生産現場にふさわしい“進化”のマインドセットを持つことです。
ODM開発でバイヤー・サプライヤーが意識すべきポイント
現場力は購買の武器になる
バイヤーがサプライヤーパートナーシップ強化やリスク評価を的確に進めるには、工程管理や現場作業のリアルな実情を知っておくことが大切です。
それがサプライヤー評価や代替提案検討時にも大きく活きます。
サプライヤー側も“バイヤーの眼”を持つ
反対に、サプライヤーも「品質安定供給」「現場改善」の視点だけでなく、バイヤーが気にする発注リスクやコストインパクトへの“共感と提案力”を身に付けるべきです。
双方が「現場目線とビジネス視点」を持ち寄ることで、揉め事も減り、Win-Winの関係構築が進みます。
まとめ:量産移行は“現場×デジタル×協働”で突破する
ODM開発の真価は、単なる設計力やコストダウンだけでなく、「量産移行」の出来栄えが決定づけます。
昭和流の現場力を活かしつつ、デジタルやグローバル知見、部門横断力を総動員して“しなやかなものづくり現場”を創りましょう。
バイヤー、サプライヤー、現場リーダーすべての方が、その舞台の主役となるべく、これからも新たな知恵と力を結集していくことを願っています。
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