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投稿日:2026年2月20日

イベント消耗品を見直すことでコストダウン以外に得られるもの

はじめに:イベント消耗品見直しの意義

工場運営における「イベント消耗品」は、調達購買や生産現場において常にコスト削減の対象となってきました。

しかし、単なるコストダウンだけを追い求めていては真の企業成長は望めません。

長年製造業の現場に携わってきた私自身の経験や、アナログ文化が根強く残る日本の製造業の現状を踏まえ、消耗品見直しを「コスト以外の価値創出」の目線から深掘りしたいと思います。

この記事では、イベント消耗品の見直しによって得られる隠れたメリットや、昭和から続くやり方をどう突破するかをご提案します。

特に、現場のリアルを知るバイヤー志望の方や、サプライヤー視点でバイヤーの思考を知りたい方にとっても実践的な記事としています。

イベント消耗品とは何か

そもそもイベント消耗品とは

イベント消耗品とは、定常的に使う消耗品とは異なり、特定の生産イベントや期間限定の案件、短期的なプロジェクトで利用される購入品のことを指します。

たとえば、見本市や展示会などのイベント向け備品、立ち上げ時の工程内で使う臨時的な治具、製品試作時の特殊材料、さらには短期間のみ使う清掃・保護用品などです。

これらは通常の資材購買ルールから外れることも多く、管理が属人的になりやすい特徴を持ちます。

昭和型調達と属人的管理の課題

日本の多くの工場では、これらイベント消耗品の手配が現場の「顔パス」や「長年の付き合い」によってなされてきました。

発注ルートがブラックボックス化しやすく、現場担当者によっては「同じ業者さんに頼めば間違いない」という発想から、価格交渉や新規サプライヤー開拓が進まないことも珍しくありません。

この昭和的なやり方が根強く残る一方、現場では新たな視点や見直しの必要性が高まっています。

見落とされている「無意識コスト」とは

イベント消耗品は、1つ1つの単価が低くても、年間の合計金額や潜在的な非効率性が企業全体にじわじわとボディブローのように効いてきます。

「誰がいつ、どんな基準で発注したか分からない」
「同じものを何度も重複して買っている」
「使い切らず余ったものがいつのまにか廃棄されている」

こうした無意識コストの積み重ねが、大きな経営リスクとなっているケースも多いのです。

コストダウンの枠を超えた見直し効果

調達業務の標準化とガバナンス強化

イベント消耗品を見直す最大のメリットは、「見える化」による調達業務の標準化と統制強化です。

特定の担当者頼みだった属人発注を、購買システムへの登録や定期棚卸し、電子承認フローの導入で可視化することで、業務の属人性を排除できます。

複数部署・工場間での横串し共有も進み、「誰がどんな物を、どのサプライヤーから、どんな価格・条件で買っているか」が明確になります。

これは内部統制上も非常に重要で、将来の監査やコンプライアンス対策にも効果を発揮します。

現場力と現場の士気向上

消耗品の管理見直しは、現場に「なぜこの消耗品が必要か?」を再考するきっかけをもたらします。

たとえば、「この使い捨て手袋、本当にイベントごとに新品が必要なのか」「そもそも100個単位で買う必要があるのか」「別の材料で代替できないのか」といった問いかけが生まれます。

現場スタッフが自ら工夫し、ムダや非効率をあぶり出すプロセスは、若手や中堅リーダーの成長にもつながります。

また、慣習の見直しに現場の声が反映されることで、士気の向上・職場エンゲージメント向上という副次効果も得られます。

業者との関係性と共創の新たな可能性

従来の「御用聞き」取引から、消耗品ユーザー・サプライヤーが一体となり、合理化や新たな改善アイディアを生み出す共創型の関係に進化する可能性もあります。

柔軟な納品数量や配送タイミング、代替材やまとめ買い割引の導入、作業効率化のための新商品開発など、サプライヤーと積極的に対話し共に問題解決に取り組むことは、サステナブル調達の第一歩とも言えます。

サプライヤーの立場からみれば、「バイヤーが考える合理性」「現場目線の改善余地」がより明確になり、提案活動のレベルアップが期待できます。

デジタル&サステナブル時代の対応

IT活用による在庫最適化とトレーサビリティ

アナログ管理から脱却し、イベント消耗品もデジタル管理する企業が増えています。

購買管理システムに登録して都度発注履歴を残し、クラウド上で複数拠点の利用状況も可視化できます。

在庫の最適化や重複購入防止、リアルタイムでの棚卸し管理が実現し、「イベントごとに現場が自腹で買ってくる」といった非効率を排除できます。

また、サプライヤーとも電子見積もり・受発注システムを共有することで、購買から納品・受け入れまでの一連のプロセスが透明化され、万一不良やクレームがあった際も迅速にトレースできます。

環境配慮型消耗品とESG調達

昨今はサステナビリティへの企業要求も強まっており、消耗品レベルでも「脱プラ」や「リユース可能」「省資源・エコ設計商品」などへの移行が進められています。

たとえばイベントで使い捨ててきた養生素材やクリーンパックなどを環境配慮型資材へ切り替えることで、企業のESG評価向上につなげる事例も増えています。

バイヤーの視点でいえば、LCA(ライフサイクルアセスメント)やカーボンフットプリントを加味した総合提案が、今後のスタンダードとなっていくでしょう。

アナログ業界こそ必要な「小さな変革」

日本の製造業界は、歴史が長く現場主義・職人技の文化が根深いため、「消耗品くらいは今まで通りで…」という発想に戻りがちです。

しかしVUCA時代と言われる今、「小さなムダの削減」や「一つ一つの改善提案の積み重ね」こそが競争力の源泉になります。

現場の慣習を敢えて問い直し、新たなベストプラクティスを発掘していく──
その土台づくりとして、イベント消耗品見直しプロジェクトは理想的な出発点なのです。

実践例:見直しが生んだ現場の変革

分散発注から統合管理で調達コスト20%削減

ある大手自動車部品メーカーでは、イベント用保護具や備品を各工場・各部門が独自に発注していました。

全社で実態調査を実施した結果、同一商品をバラバラに買っており、数量割引が活用できていなかったことが判明しました。

調達購買部主導でカタログ化・集中購買ルールの導入を進め、年間調達コストを20%削減。

さらに業者選定基準も明確化し、調達リスク低減と在庫最適化、棚卸し工数の削減にもつながりました。

現場スタッフ主導の「使い切り」運動

別の電子部品メーカーでは、現場スタッフが主体となって「イベント消耗品の使い切り目標」を掲げました。

目標値と月次進捗を見える化し、余った備品の一時保管スペースを設置。
次のイベント時にちゃんと再利用できるように管理方法を標準化しました。

その結果、廃棄物削減だけでなく「限られた資源をムダなく使う」という現場責任者の意識変革が生まれ、会社全体の課題解決マインド強化につながりました。

サプライヤー提案で新製品導入-工数半減-

古くから付き合いのある業者との関係性を活かしつつ、対等なパートナーシップで問題提起を行った事例もあります。

現場スタッフから「イベントの設営・撤去にどうしても時間がかかる」という声をサプライヤーに共有。
複数業者の知恵を集めて「ワンタッチで仮設できる消耗品セット」が共同開発され、作業工数を半減することに成功しました。

サプライヤーも、売り切り型からソリューション型のビジネスへと進化するきっかけとなった好事例です。

今すぐできる「見直しの第一歩」

現場の現実を把握する棚卸しからスタート

まず最初のアクションは、「今、本当に何をどれだけ使っているか」を現場で棚卸しすることです。

できる限り現場の方々と一緒に、実際の使用状況・購入履歴・在庫状況をリストアップしましょう。

これは、「見落とされがちな出費」の掘り起こしと、「ムダ・無駄なルール」の洗い出しに直結します。

小さく始め、確実に成果を蓄積する

見直しのポイントは、いきなり全社横断ではなく、一つの工程・一部門・一プロジェクト単位で効果検証を進めることです。

ちいさな成功体験を現場と共有しながら、段階的に範囲を広げることで、従来の抵抗感を最小限に抑えつつ変革が進みます。

バイヤー・サプライヤー双方にメリットを

調達側は「単なるコストダウン」ではなく、「現場の困りごと」「本当に価値を感じてもらえる購買サービス」を意識しましょう。

サプライヤー側も「他にはない提案」「納品だけでなく課題解決を支援する姿勢」を前面に打ち出すことで、ウィン-ウィンの関係が築かれます。

まとめ:消耗品見直しは現場発のイノベーションのはじまり

イベント消耗品の見直しは、一見すると地味で小さな改善活動に見えるかもしれません。

しかし、「ムダを減らす」「業務標準を高める」「現場の工夫やサプライヤーとの共創を促す」という多面的なメリットがあり、昭和型のアナログ業界でさえ着実な変革の起点となります。

IT活用、ESG対応、現場エンゲージメント強化──
これからの製造業が目指すべき競争力向上は、日々使われる消耗品の見直しと、その先にある現場の地道な創意工夫に宿るのです。

あなたの工場・あなたの現場から、ぜひ一歩を踏み出しましょう。

コストダウン「以外」の成果が、必ず現れるはずです。

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