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プラスチック資源循環法と、製品・包装の部材の選び方

この記事のポイント(結論先出し)
プラスチック資源循環法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)は 2022 年 4 月に施行された[6]。製造業の調達に関わるのは主に二つで、一つは製品の設計で取り組む事項を定めた「プラスチック使用製品設計指針」、もう一つは工場や事務所から出るプラスチックの排出を抑え、再資源化する排出事業者の取組である[1][4]。設計指針は単一素材化、再生利用を妨げる添加剤を避けること、再生プラスチックの利用、材質の表示などを挙げ、材料・部品の供給者との連携も求めている[1]。購買の担当者にとっては、材料の仕様に何を書き、仕入先から何の情報をもらうかと、仕入先から届く梱包材をどう減らすかの二つに落ちる。前年度の排出量が 250 トン以上の多量排出事業者には、目標を定めて計画的に取り組むことが求められ、取組が著しく不十分なら勧告・公表・命令がありうる[3][4]。以下は 2026 年 10 月時点で確かめた環境省の資料に基づく。
目次
この法律は、誰に何を求めているか
プラスチック資源循環法は、令和 3 年 6 月 11 日に公布され、令和 4 年 4 月 1 日に施行された[6]。製品の設計から、販売・提供、排出、回収、再資源化まで、プラスチックのライフサイクル全体にわたって関係者の取組を定めている。製造業の会社は、立場によって複数の役割を同時に負う。
| 立場 | 対象 | 求められること |
|---|---|---|
| プラスチック使用製品の製造事業者等 | プラスチックを使った製品を設計・製造する事業者 | 設計指針に沿った設計に取り組む。特に優れた設計は国の認定を受けられる |
| 排出事業者 | 事務所・工場・店舗等で事業を行う事業者の多く(小規模企業者等を除く) | 判断基準に沿って、排出の抑制、分別、再資源化、熱回収に取り組む |
| 多量排出事業者 | 前年度の排出量が 250 トン以上 | 目標を定めて計画的に取り組む。著しく不十分なら勧告・公表・命令の対象 |
| 小規模企業者等(排出事業者の判断基準の対象外) | 商業・サービス業以外は従業員 20 人以下、商業・サービス業は 5 人以下 | 判断基準に基づく取組の対象から除かれる |
表は環境省の普及啓発ページと施行通知に基づく[1][3][4]。ここでいう「プラスチック使用製品産業廃棄物等」には、事業活動で出たプラスチック製品の廃棄物のほか、製造や加工の過程で副次的に得られるプラスチック(端材など)も含まれる。工場ではプラスチックの端材や緩衝材も対象になると、環境省は例示している[4]。
設計指針が挙げていること——材料の仕様に効く項目
設計指針は、法第 7 条第 1 項に基づいて内閣府・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省が令和 4 年 1 月 19 日に定めた告示である[2]。製造事業者等が取り組むべき事項と配慮すべき事項を、構造、材料、ライフサイクル評価、情報発信と体制、関係者との連携、製品分野ごとの設計の標準化の六つの区分で挙げている[1]。
購買の仕様にそのまま効くのは、「構造」と「材料」の区分である[1]。
- 構造:減量化、包装の簡素化、長期使用化・長寿命化、再使用しやすい部品の使用、単一素材化(使う素材の種類を減らす)、分解・分別をしやすくすること(材料の種類の表示を含む)、収集・運搬をしやすくすること、破砕・焼却をしやすくすることの八つ
- 材料:プラスチック以外の素材への代替、再生利用しやすい材料の使用(材料の種類を減らす、再生利用を妨げる添加剤を避ける)、再生プラスチックの利用、バイオプラスチックの利用の四つ
同じ指針は、これらが安全性や機能とトレードオフになる場合があることに留意しながら、製品のライフサイクル全体で環境への影響を総合的に評価するよう求めている[1]。再生材やバイオプラスチックに変えれば必ずよい、という書き方はしていない。
そして、指針の「関係者との連携」の区分には、製造事業者等と材料・部品等の供給者、再資源化を行う事業者、製品を使う事業者などが相互に必要な協力を行うことが書かれている[1]。設計の取組は、材料や部品を買う先の協力なしには進まない、という前提である。
仕入先に何を頼むか——材料の情報
設計指針に沿った設計をするには、使っている材料が何かを正確に知る必要がある。購買の担当者が仕入先に求める情報は、次のように整理できる。
1. 材料の種類とグレード。樹脂の種類だけでなく、メーカーとグレード。複数の素材が貼り合わされた部品は、その構成。単一素材化や分別のしやすさを設計で判断する材料になる。
2. 添加剤と充填材。指針は再生利用を妨げる添加剤を避けることを挙げている[1]。難燃剤、着色剤、ガラス繊維などの有無と種類を出してもらう。含有化学物質の調査の進め方は 含有化学物質の調査を仕入先に頼むときの記事と共通する。
3. 再生材・バイオマス由来の材料の比率と由来。再生プラスチックを使うなら、どの由来のものを何割まで使っているか。
4. 材質の表示。部品に材質の表示を入れられるか。分解・分別の容易化の項目に、使われている材料の種類の表示が挙がっている[1]。
材料を再生材やバイオマス由来に切り替えるときは、グレードの変更として承認の手順を踏む。試験方法をそろえて比べ、成形した部品で評価してから承認する手順は 樹脂のグレード指定と代替グレードの承認で書いた。再生材の使用を求める規制の動きは 再生材の使用を求める規制の動きと再生材の調達の記事で扱う。
設計認定は、まだ品目が限られている
設計指針に沿った設計のうち、同種の製品と比べて特に優れたものは、国の認定を受けられる。認定を受けるには、国が指定した指定調査機関に、指針への適合性の技術的な調査を申請する[1]。認定を受けた製品については、国がグリーン購入法の基本方針を定めるときに調達が促進されるよう配慮し、事業者と消費者は認定製品を使うよう努めることとされている(法第 10 条)[3]。
ただし、製品分野ごとの認定の基準として環境省の関連法令のページに載っているのは、2026 年 10 月時点で、清涼飲料用ペットボトル容器、文具、家庭用化粧品容器、家庭用洗浄剤容器の 4 分野である[6]。産業用の部品や機械に、この認定をそのまま当てはめられる場面はまだ少ない。調達の実務では、認定の有無よりも、指針の項目を仕様書と仕入先への依頼にどう落とすかが中心になる。
排出事業者として——工場に入ってくる梱包材を減らす
排出事業者としての取組は、小規模企業者等を除くすべての排出事業者に求められる[4]。判断基準の手引き(2.1 版、令和 8 年 7 月)は、排出の抑制のために取り組む措置を三つの場面に分けている[5]。
- 製造・加工・修理の過程:原材料の使用の合理化、端材の発生の抑制、端材や試作品を原材料として使うこと
- 流通・販売の過程で使う包装材:簡素な包装の推進、紙やセルロースなどプラスチックに代わる素材の活用
- 事業活動で使うプラスチック製品:長く使うこと、過剰な使用の抑制、部品や原材料の種類が工夫された製品を使うこと
購買が関わるのは、二つ目の包装材である。工場に入ってくる部品の梱包は、仕入先が選んでいる。個装の袋、緩衝材、ストレッチフィルムなど、受け取った側で廃棄物になるものの多くは、発注の条件で減らせる。
荷姿を仕様に書く。入数、通い箱を使うか、個装が要るか、緩衝材の材質を、購買仕様書か品目ごとの取り決めに書く。書いていなければ、仕入先は自社の標準の荷姿で送ってくる(購買仕様書の書き方)。
品質の条件と一緒に決める。個装をやめると、傷や異物の不良が増えることがある。外観の基準と梱包をセットで見直す。
費用の分担を話し合う。通い箱の購入や回収の物流費を誰が持つかを決める。荷姿の変更は仕入先の作業と費用を変えるので、変更後の単価に反映させるかどうかも含めて協議し、合意した内容を記録に残す。包装資材の価格と梱包仕様の見直しは 段ボール・包装資材の価格改定と梱包仕様の見直しの記事で扱う。
判断基準は、関係者との連携として、必要に応じて取引先に協力を求めることも挙げている[5]。仕入先への依頼は、この取組の一部として位置づけられる。
多量排出事業者に当たるか、記録を取って確かめる
前年度のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量が 250 トン以上の事業者は多量排出事業者として、排出の抑制と再資源化等の目標を定め、計画的に取り組むことが求められる。毎年度、前年度の排出量と目標の達成状況をインターネットなどで公表するよう努めることとされている[4]。主務大臣は、取組が著しく不十分な多量排出事業者に勧告し、従わなければ公表し、さらに命令することができる(法第 46 条)[3]。
多量排出事業者に当たらない排出事業者も、毎年度、前年度の排出量と取組の状況を公表するよう努めること、排出量や再資源化の実施量を把握して記録すること、事業場ごとに責任者を選ぶなど管理の体制を整えることが求められている[4]。250 トンに当たるかどうかは、記録を取らなければ判断できない。端材、不良品、梱包材を分けて量を記録しておく。
排出事業者は、再資源化の事業計画を作って国の認定を受ければ、廃棄物処理法の業の許可がなくても再資源化の事業を行える仕組みもある(法第 48 条)[3][4]。工場の端材を材料として戻す取組を広げる場合の選択肢になる。
制度の見直しの議論も続いている
環境省のページには、2026 年 8 月 21 日に中央環境審議会と産業構造審議会の合同会議(第 12 回)が開かれたこと、同年 9 月 15 日に持続可能な容器包装の設計に関するタスクフォースが開かれたことが掲載されている[7]。審議の結果がどうなるかはまだ決まっていないので、ここでは予想を書かない。施行から 4 年が経ち、手引きも令和 8 年 3 月と 7 月に改訂されている[5]。購買の担当者は、改訂のたびに仕入先への依頼の内容を見直せるよう、依頼の根拠をどの資料のどの版に置いたかを記録しておくとよい。
よくある質問
部品しか作っていない会社にも、設計指針は関係するか
設計指針は、プラスチック使用製品の製造事業者等が取り組むべき事項と配慮すべき事項を定めたもので、あらゆるプラスチック使用製品の製造事業者等を対象にしている[1]。部品を納める立場でも、顧客から材料の種類や添加剤、再生材の比率を問われる場面は増える。自社が出す情報と、自社が仕入先からもらう情報をそろえておくと答えやすい。
端材を社内で材料に戻すのは、排出の抑制に数えられるか
判断基準の手引きは、製造・加工の過程での排出抑制の取組として、端材の発生を抑えることと、端材や試作品を原材料として使うことを挙げている[5]。再生材を混ぜる比率や由来は、製品の品質の条件として仕様に書いておく。
まとめ
プラスチック資源循環法は、製品の設計と事業所からの排出の両方に取組を求めている[1][4]。設計指針は単一素材化、添加剤への配慮、再生材の利用、材質の表示を挙げ、材料・部品の供給者との連携も求める[1]。購買の担当者は、材料の種類・グレード・添加剤・再生材の比率といった情報を仕入先から受け取れるようにし、材料の切り替えはグレード変更として承認する。排出の側では、仕入先から届く梱包材を荷姿の条件として仕様に書き、品質と費用の分担と一緒に見直す[5]。排出量を記録して多量排出事業者に当たるかを確かめておけば、目標や公表の求めにも慌てずに対応できる。
出典・参考資料
- プラスチック使用製品設計指針と認定制度(環境省 プラスチック資源循環法 普及啓発ページ)
- プラスチック使用製品設計指針(内閣府・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省告示第一号)(令和 4 年 1 月 19 日)
- プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行について(通知)(環境省 環境再生・資源循環局/令和 4 年 4 月 1 日)
- 排出事業者による排出の抑制・再資源化等と認定申請(環境省 プラスチック資源循環法 普及啓発ページ)
- 排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の促進に関する判断の基準の手引き(2.1 版)(環境省/令和 8 年 7 月)
- 関連法令等(環境省 プラスチック資源循環法 普及啓発ページ)
- プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)の普及啓発ページ お知らせ(環境省)
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