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投稿日:2026年10月1日

再生材の使用義務化に備える調達——定義・証明・品質の決め方

この記事のポイント(結論先出し)

2026 年 10 月時点で、再生材の使用を求める規制は国内外とも「始まった」段階にある。国内では改正資源有効利用促進法が 2026 年 4 月 1 日に施行され、自動車・家電 4 品目・容器包装の製造事業者等に再生プラスチックの利用計画と定期報告が求められる[1]。発注して作らせる製品も計画と報告の対象に入る[1]。EU では車の設計と使用済み自動車に関する新しい規則が 2026 年 8 月 13 日に発効し、新車のプラスチックに 2032 年 9 月から 15%、2036 年から 25% の再生材を求める[2]。調達で先に決めるべきなのは量ではなく、何を再生材と数えるか(定義)、何で証明するか、品質のばらつきをどう受け入れるかの三つである。国の担当者による論文は、再生プラスチックは品質が低くばらつきが大きく、品質の証明の体制が足りないと指摘している[4]。

2026 年 10 月時点の規制——国内と EU を並べる

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再生材の使用を求める動きは、包装、電池、自動車、家電と、製品ごとに別々の規制として進んでいる。ここでは、製造業の部品調達に影響が大きい国内の資源有効利用促進法と、EU の自動車の規則を並べる。包装と電池の規制は、それぞれEU 包装・包装廃棄物規則(PPWR)と輸出品の包装材とEU 電池規則とバッテリーパスポートで扱う。

項目 国内:改正資源有効利用促進法 EU:車の循環性と使用済み自動車の規則
開始 2026 年 4 月 1 日施行[1] 2026 年 8 月 13 日発効、2028 年 9 月 1 日から適用[2]
対象の製品 自動車、家電 4 品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)、プラスチック製容器包装[1] 新しい車(二輪車・トラック・バス・トレーラーへの対象の拡大は 2031 年 9 月から)[2]
求めること 再生プラスチックの利用計画の提出と、毎年度の利用量・利用率の報告[1] プラスチックの再生材の最低含有率:2032 年 9 月から 15%、2036 年から 25%[2]
数え方の特徴 プレコンシューマ材とポストコンシューマ材の両方を含む[1] 目標の 20% は使用済み自動車などから回収したプラスチックで満たす(合意の内容)[3]
対象となる規模・時期 自動車 1 万台、家電各 5 万台、容器包装 1 万トン以上。計画は 2026 年 10 月以後最初の事業年度から(初回は 2027 年 9 月末まで)[1] 鉄鋼・アルミの再生材目標は欧州委員会が定め、2033 年からの適用が見込まれる[2]

国内:発注して作らせる製品も数える

経済産業省の説明資料によると、改正法は、脱炭素化を進めるため、再生材(第一弾は再生プラスチック)の利用を求める製品として自動車、家電 4 品目、容器包装(食品用(飲料用 PET ボトルを除く)や医薬品用などを除く)を指定し、その製造事業者等に再生材の利用に関する計画の提出と定期報告を求めるものである[1]。対象となるのは、生産量(製造の発注を含む)または販売量(輸入販売に限る)が一定以上の事業者で、自動車は 1 万台、エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機は各 5 万台、プラスチック製容器包装は 1 万トンが要件とされている[1]。

調達の担当者が注目すべきは計画と報告の様式である。様式には、自社で製造する製品のほか、事業の用に供するために発注して製造する製品と、輸入して販売する製品のそれぞれについて、再生プラスチックの利用量・利用率を書く欄がある[1]。国産の再生プラスチックの利用量を書く欄(任意)もある[1]。つまり、製品を他社に作らせているメーカーは、その委託先がどれだけ再生材を使ったかを数えて報告する必要がある。部品の仕入先には、部品ごとの再生材の量を求める依頼が届くことになる。

計画は毎年度 9 月末までに出し、2026 年 10 月以後に最初に始まる事業年度から適用される(初年度は 2027 年 9 月末まで)[1]。定期報告は 2027 年 10 月以後に最初に始まる事業年度からで、初年度は 2028 年 9 月末までとされる[1]。計画に変更がなければ、最大 5 年間(自動車は最大 10 年間)は新たな計画の提出が要らない[1]。

EU:車の部品のプラスチックに最低含有率

欧州委員会によると、EU の新しい規則は、車の設計に循環性の要件を入れ、再生材の含有を義務づけ、生産者の責任を強め、使用済み自動車の追跡と解体・回収の水準を上げるもので、2026 年 8 月 13 日に発効し、2028 年 9 月 1 日から適用される[2]。新車のプラスチックについては 2032 年 9 月から 15%、2036 年から 25% の再生材含有の目標が置かれ、鉄鋼とアルミの再生材目標を欧州委員会が導入する枠組みも設けられた[2]。2025 年 12 月の暫定合意を伝えた欧州議会の発表によると、この目標の 20% は、使用済み自動車や使用中に外された部品から回収したプラスチックを使って満たす必要がある[3]。欧州委員会は、再生材含有の計算方法についても実施規則などで定めていくとしている[2]。

日本の部品メーカーにとっても、EU で売る車のプラスチック部品を納めているなら、車のメーカーから再生材の含有率と、その再生材がどこから来たかの情報を求められることになる。計算方法の細目はまだ定められていないので、今の段階では「何を記録しておけば後から計算できるか」を先に決めておくのが現実的である。

先に決めること 1:何を「再生材」と数えるか

国内の改正法の説明資料は、再生プラスチックを、使用済みの物品や副産物を原料として使える状態にしたプラスチックと説明し、プレコンシューマ材(製造工程で出た端材など)とポストコンシューマ材(使われた後に回収されたもの)の両方を含むとしている[1]。一方、EU の自動車の規則は、目標の一部を使用済み自動車由来のプラスチックで満たすことを求める[3]。同じ「再生材 20%」でも、規制によって数えてよいものが違う。

発注側が仕入先に再生材を求めるときは、少なくとも次を決めておく。これは規制の文言そのものではなく、上の違いを踏まえた実務の提案である。

1. プレコンシューマ材を数えるか
仕入先が自社工程の端材を同じ部品に戻す場合(工程内の再利用)を再生材に含めるかどうか。

2. 由来を区別する必要があるか
使用済み自動車由来、家電由来、包装由来などを分けて記録するか。輸出先の規制によって要る。

3. 含有率をどの単位で出すか
部品ごとか、材料のロットごとか、年間の購入量の合計か。

4. 国産かどうか
国内の報告様式には国産再生プラスチックの量を書く欄(任意)がある[1]。

再生材の含有を製品の宣伝に使う場合は、自己宣言による環境主張の国際規格 ISO 14021 の考え方が関わる。この規格は 2026 年 6 月に 2026 年版が発行され、2016 年版を置き換えた[5]。用語の定義の細部は改訂後の規格本文で確かめる必要がある。

先に決めること 2:何で証明するか

環境省の担当者が 2025 年に書いた論文は、国内で自動車向けに使われている再生プラスチックは、品質が明らかな工程内の端材(プレコンシューマー材)がほとんどで、市中から回収されるポストコンシューマー材の活用は限られていると述べている[4]。そのうえで、樹脂のリサイクラーには製造した再生プラスチックの品質を証明することが求められるが、需要側から求められる物性値への適合や化学物質の含有を調べる検査装置を持つには投資が要り、物性の保証や懸念化学物質の規制への対応の体制が足りないと指摘している[4]。

つまり、再生材の含有率も物性も、仕入先が出す書類だけでは裏付けが弱いことがある。証明として何を受け取るかを、発注の前に決めておく。

1. 材料の購入記録との照合
再生材の購入量と、その材料で作った部品の量が合うか。含有率の宣言だけを受け取らない。

2. ロットとの紐づけ
どのロットの部品にどの再生材ロットを使ったか。後から含有率を計算し直すときの土台になる。

3. 再生材メーカーの成績書
物性値と、含有化学物質の調査結果。再生材は元の製品に何が入っていたかで中身が変わる。

4. 第三者による確認
顧客や輸出先が求める場合に、どの範囲を誰に確認してもらうか。

化学物質の調査の頼み方は含有化学物質の調査を仕入先に頼むときで扱っている。再生材を使うと、バージン材では起きなかった含有物の問題が出ることがあるので、調査の頻度は分けて決める。

先に決めること 3:品質のばらつきをどう受け入れるか

同じ論文は、再生プラスチックはバージン材と比べて品質が低く、ばらつきが大きいため使いにくいと述べている[4]。生産量が少なく量の確保が不安定であることも、自動車への量産適用に至っていない理由に挙げている[4]。

発注側がとれる手は、仕様と承認の手順を再生材向けに作り直すことである。樹脂をグレードで指定するときの書き方と、代替グレードを承認する手順は樹脂のグレード指定と代替グレードの承認で扱った。再生材を入れるのは、実質的に材料の変更である。部品の機能に効く物性(衝撃強さ、耐熱、寸法の安定性、外観)を挙げ、試験の方法をそろえて比べ、承認してから切り替える。ばらつきを前提に、受入れで見る項目と頻度もバージン材のときとは分ける。

供給の面では、再生材メーカーが少なく、量が急に増えないことを前提にする。再生材を指定した部品は、代替の調達先が見つかりにくい。使う再生材の銘柄と製造元を仕入先と共有し、切り替えるときは事前の連絡と承認を求める取り決めにしておく。

価格の取り決め——再生材の指定は取引条件の変更になる

部品の材料を再生材に切り替えると、材料の単価、選別や検査の手間、歩留まりが変わる。費用が上がるか下がるかは材料と工程によって違う。発注側から再生材の使用を求めて仕様を変えるなら、それは取引条件の変更であり、単価をそのまま据え置くことを前提にしない方がよい。

取適法の第 5 条第 2 項第 4 号(2026 年 1 月施行)は、中小受託事業者から代金の額について協議を求められた委託事業者が、協議を拒んだり、求められた説明・情報を出さないまま代金を一方的に決めたりすることを禁じた[6]。協議のきっかけとなる事情について、公正取引委員会と中小企業庁のテキストは、原材料価格や労務費、エネルギーコストが上がって給付に要する費用が変わった場合などを例に挙げる[6]。再生材の指定で材料費や検査の手間が増えた仕入先から協議を求められたら、応じたうえで増加の根拠を確かめることになる。進め方は仕入先から値上げの申し入れが来たらで扱っている。

よくある質問

自社は対象の製品を作っていない。関係はあるか

国内の改正法で計画と報告を出すのは、対象の製品を一定量以上作る、または作らせる事業者である[1]。ただ、その製品に部品や包装を納めていれば、顧客から再生材の量を聞かれることになる。EU 向けの車の部品も同じである[2]。自社が義務を負うかどうかと、情報を求められるかどうかは別に考える。

グリーン調達基準に再生材の項目を入れるべきか

顧客から再生材の情報を求められる製品を作っているなら、入れておくと仕入先への依頼が一本になる。基準の改定の進め方はグリーン調達基準を改定するとき、仕入先に何を求めるかで、国内のプラスチック資源循環法との関係はプラスチック資源循環法と、製品・包装の部材の選び方で扱う。

含有率の計算方法が決まるまで待ってよいか

EU の計算方法の細目は欧州委員会がこれから定めるとしている[2]。ただ、記録が残っていなければ後から計算できない。再生材の購入量、ロットとの紐づけ、由来の区分は、方法が決まる前から残し始めておく。

まとめ

国内では改正資源有効利用促進法が 2026 年 4 月 1 日に施行され、自動車・家電 4 品目・容器包装の製造事業者等に再生プラスチックの利用計画と報告が求められる。発注して作らせる製品の分も数える[1]。EU では車の規則が 2026 年 8 月 13 日に発効し、新車のプラスチックに 2032 年 9 月から 15%、2036 年から 25% の再生材を求める[2]。目標の一部は使用済み自動車由来で満たす必要がある[3]。調達で先に決めるのは、何を再生材と数えるか、何で証明するか、品質のばらつきをどう受け入れるかの三つで、国の担当者の論文も品質の証明とばらつきを課題に挙げている[4]。再生材の指定は取引条件の変更なので、価格の協議にも備える[6]。

出典・参考資料

  1. 資源の有効な利用の促進に関する法律の一部改正について(令和 8 年 4 月 1 日施行)(経済産業省 説明資料/農林水産省ウェブサイト掲載)
  2. End-of-Life Vehicles(European Commission, Environment)
  3. Circular economy: deal on new EU rules for the automotive sector(European Parliament/2025 年 12 月 12 日)
  4. 河田陽平「自動車向け再生プラスチック供給体制の構築に向けた取り組みおよび自動車リサイクルを巡る政策動向」廃棄物資源循環学会誌 36 巻 6 号(廃棄物資源循環学会/2025 年 12 月)
  5. ISO 14021:2026 Environmental statements and programmes for products — Self-declared environmental claims(国際標準化機構/2026 年 6 月)
  6. 中小受託取引適正化法テキスト「下請法」から「取適法」へ(公正取引委員会・中小企業庁/令和 7 年 11 月)

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