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投稿日:2026年10月26日

タレットパンチプレス加工品の発注——JIS B 0408 の打抜き等級、かえり・追い抜きの跡の指定

この記事のポイント(結論先出し)

タレットパンチプレス(タレパン)は、形の違う多数の金型を円状に並べ、使う型を回して選びながら板に打抜きをするプレス機械である[1]。抜いた寸法は、プレスで型抜きした寸法として JIS B 0408 の打抜きの普通寸法公差(A・B・C の 3 等級)で読めるが、どの等級で読むかは図面に書かないと決まらない[2]。抜いた切口は、だれ・せん断面・破断面・かえりの 4 つからなり、かえりはパンチとダイのすき間(クリアランス)が合っていないときや工具が摩耗したときに大きくなる[3]。発注では、等級のほかに、かえりを許す側と大きさ[4]、追い抜きの段や小さなつなぎの跡を許す面、成形(バーリングなど)の寸法、板の表面の保護を決めて書く。

この記事は、板金部品のうちタレパンで穴や外形を抜く部品を発注する側の目線で書く。板金の曲げの限界や、レーザー切断の切断面の話は別の記事に任せ、タレパンで抜くときに図面と注文書で決めておくことに絞る。この記事でいう板金部品は工業用途の部品で、薄い金属板(鋼板・ステンレス・アルミなど)から作るものを指す。

タレパンは「型を選んで打つ」機械である

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JIS B 0111(プレス機械-用語)は、タレットパンチプレスを「形状の異なった多数の金型を円状に配置し,任意の金型をスライド下部に回転させ,素材の所定の位置に所定の打抜き作業ができ,金型搭載及び選択にタレットディスクを使用したプレス機械」と定義している[1]。同じ規格には、金型を別置きのマガジンに収めて交換しながら打つシングルパンチプレスもあり、どちらも素材の所定の位置に所定の打抜き作業ができる機械として並んでいる[1]。

発注側にとって大事なのは、タレパンが「仕入先の手持ちの型」で形を作る機械だという点である。丸や角の穴、長穴などは、手持ちの型の寸法に合えば一度で抜ける。手持ちに無い寸法を図面で求めると、型を新たに用意するか、小さな型を少しずつずらして何度も打って輪郭を作ることになる。どちらを選ぶかで、見積の金額と切口の見た目が変わる。

図面で加工方法を記号で示す場合、JIS B 0122(加工方法記号)は、プレス抜きのなかに打抜き(PPB)、穴抜き(PPPC)、切欠き(PPN)などの記号を定めている[5]。ただし記号は加工の名前を示すもので、どの機械で抜くかや切口の状態までは決めない。

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寸法は、どの規格のどの等級で読むかを書く

JIS B 0408(金属プレス加工品の普通寸法公差)は、金属プレス加工品を「金属板を打抜き・曲げ・絞りによってプレス加工したもの」とし、金属板のせん断加工品は含まない、としている。打抜きは「プレス機械を用いて,金属板から所定の形状に型抜きすること」と定義されている[2]。タレパンはプレス機械なので、タレパンで型抜きした寸法は、この定義に当てはまると読める。ただし、小さな型を何度も打って作った輪郭まで「型抜き」に含めるかは、規格の本文には書かれていない。図面で決めておく。

打抜きの普通寸法公差は A 級・B 級・C 級の 3 等級で、基準寸法の区分ごとに寸法許容差が決まっている。規格は、A 級・B 級・C 級がそれぞれ JIS B 0405 の公差等級 f・m・c に相当するとしている[2]。一部を抜き出すと次のとおりである。

基準寸法の区分 A 級 B 級 C 級
6 mm を超え 30 mm 以下 ±0.1 mm ±0.2 mm ±0.5 mm
30 mm を超え 120 mm 以下 ±0.15 mm ±0.3 mm ±0.8 mm
120 mm を超え 400 mm 以下 ±0.2 mm ±0.5 mm ±1.2 mm

(JIS B 0408 の表 1「打抜きの普通寸法許容差」から抜粋[2]。曲げと絞りには別の表がある。)

規格は、図面か関連文書に規格番号と等級を指示するとし、打抜きと曲げ・絞りで等級を変えるならそのことを明記する、としている。書き方の例として「打抜きの普通寸法公差 JIS B 0408-B/曲げ及び絞りの普通寸法公差 JIS B 0408-C」が示されている[2]。タレパンで抜いてからプレスブレーキで曲げる部品では、抜きと曲げで等級を分けて書くと、読み違いが起きにくい。

一方、シャーで直線に切った素板の幅や直角度は、JIS B 0410(金属板せん断加工品の普通公差)が別に定めており、ギャップシヤーなどの直刃せん断機で切断した厚さ 12 mm 以下の金属板が対象である[6]。外形をシャーで切ってから穴をタレパンで抜く、という工程なら、外形と穴で読む規格が変わる。プレス品・板金品で普通公差の規格をどう選ぶかはプレス品・板金品の公差の指定で詳しく扱っている。

抜いた切口は 4 つの部分でできている

軽金属学会誌の講座は、せん断加工で得られる切口面が、だれ、せん断面、破断面、かえり(ばり)から構成されると説明している[3]。だれは、せん断の途中に材料の表面にかかる引張力で材料が引き込まれてできる。せん断面は工具が食い込んでできる平滑な面で、破断面はき裂が進んでできるため凹凸が大きい。かえりは、材料が分離するときのき裂が工具の刃先から少しずれた位置から出るために、工具の側面側にあった材料の一部が突起として残るもので、一般のせん断では避けられないとされている[3]。

つまり、タレパンで抜いた切口は、全面が削ったような平らな面ではない。切口の全面が平滑でなければならない部品(ほかの部品と滑る面、すき間を管理する面など)は、抜いたままでは足りないことがある。そうした面は、図面で切口の状態を指定するか、後加工を入れる。

クリアランスでかえりとだれが変わる

同じ講座は、パンチとダイの間のすき間(クリアランス)の大きさが、切口の性状と製品の精度に大きく影響するとしている。クリアランスが大きいとだれとかえりが大きくなり、せん断面の割合が減り、切口の板面に対する直角度も悪くなる。クリアランスを小さくすると直角度は良くなるが、小さすぎると切口が工具の側面でこすられ、かえりが逆に大きくなる場合がある[3]。

推奨されるクリアランスは、材料ごとに板厚に対する百分率で示されている。講座の表から一部を抜き出すと次のとおりである(板厚 3 mm 以下での目安。講座の表 3 の注による)[3]。

材料 適正クリアランス(板厚に対する %)
軟鋼 6〜9
硬鋼 8〜12
ステンレス鋼 7〜11
アルミニウム(軟質) 5〜8
アルミニウム(硬質) 6〜10
銅・黄銅 6〜10

表の注は、切口を板面に垂直にしたい場合はこの値の 1/3 程度に小さくするとしている[3]。発注側がクリアランスの数値まで指定することはまれだが、この表は二つのことを教えてくれる。第一に、適正なクリアランスは材料と板厚で変わるので、同じ図面でも材料や板厚を変えれば型の合わせ直しが要る。第二に、切口を板面に垂直に近づけたいという要求は、普通の打抜きの条件とは別の条件になる。切口の直角度が機能に効くなら、それを図面に書く。

かえりは型の摩耗とともに大きくなる

講座は、かえりが大きくなる原因として、クリアランスの片寄り(大きい側に大きなかえりが出やすい)、工具の摩耗(刃先が丸まるとかえりが大きくなる)、工具側面への凝着(アルミニウムやマグネシウムでは少ない加工回数でも起こりうる)を挙げ、摩耗した刃先は再研磨して直す必要があるとしている[3]。伸びの大きな材料ほどかえりが大きくなる傾向がある、とも書かれている[3]。

量産で同じ型を使い続けると、最初の品物と後の品物でかえりの大きさが変わりうる。受入でかえりを見るなら、初回の品物だけで合否を決めず、継続して見る項目に入れる。仕入先には、型の研磨の管理をどうしているかを聞いておくとよい。

かえりの向きと大きさを図面に書く

「バリなきこと」とだけ書いた図面は、どちらの面にどの大きさのかえりまで許すのかを決めていない。形を定めないエッジの状態は、JIS B 0051 の図示記号で、ばり(パッシング)を許すか、角を落とすこと(アンダーカット)を求めるかと、その寸法で指示できる[4]。タレパンの部品では、かえりの出る面は打つ向き(パンチを当てる面)で決まるので、見た目の面や手が触れる面にかえりを出したくなければ、その面を図面で示し、打つ向きを仕入先と合わせる。記号の読み方はエッジ・バリ・面取りの図面指示で扱っている。

型を何度も打って作る輪郭と、小さなつなぎ

手持ちの型より大きな穴や、曲線の外形は、小さな型を少しずつずらして連続で打って作ることが多い(追い抜き、ニブリングと呼ばれる)。この方法では、輪郭に打ち跡の小さな段や波が残ることがある。JIS B 0111 は、連続往復運動で板材を任意の形状に切断する機械をニブリングマシンとして別に定義しており[1]、切り方としても型抜きとは区別されている。

また、抜いた部品を素材の板から完全に切り離さず、小さなつなぎを残して加工を続け、最後に折り取る方法がとられることもある。この場合、外形に小さな突起や折り取った跡が残る。

どちらも、外観や組み付けに影響しない面なら問題にならないことが多い。影響する面があるなら、図面に「この面は打ち跡・つなぎの跡を不可」と書くか、その面だけ別の方法(レーザー切断や後加工)を指定する。レーザー切断で決めることはレーザー切断品の発注で扱っている。

小さな穴と、穴と穴のすき間

講座は、被加工材の板厚より小さな直径の穴をあける加工を「小穴抜き」と呼んで、ほかの打抜きと区別している[3]。板厚に対して小さな穴は、普通の打抜きとは条件が違う加工になる。図面に板厚より小さな径の穴がある場合は、抜けるか、抜くならどの程度の精度か、ドリルなどの後加工にするかを見積の段階で仕入先に確かめる。

穴と穴の間、穴と縁の間の幅(さん幅)を小さくしすぎると、切口の近くにき裂が入ったり、大きなだれが出たりして不良になりやすいとされている[3]。穴を密に並べた部品の変形の例はパンチングメタルの発注で扱った。設計の段階でさん幅を詰めている部品は、仕入先の型と条件で抜けるかを先に確かめる。

成形・表面の保護・曲げとの組み合わせ

タレパンでは、穴の縁を立ち上げる成形(バーリング)や、ルーバー、小さな絞りなどを、成形用の型で打つことがある。こうした成形は仕入先の型の形に依存するので、図面には仕上がりの寸法(立ち上がりの高さ、内径、ねじを切るならねじの呼び)を書き、型の形を決めつけないほうがよい。ねじを切る場合のねじ穴の指示は、ねじの公差域クラスの指定と合わせて決める。

ステンレスやアルミの意匠面のように傷が問題になる板では、保護フィルム付きの板を使うか、打ったあとにフィルムを残して納めるかを決めておく。何も書かなければ、板を動かすときの擦り傷の扱いは仕入先任せになる。

抜いたあとに曲げる部品では、曲げ線の近くの穴が曲げで変形する。曲げの限界とフランジの長さは板金の曲げ加工でできないことで扱った。材料の板そのものの指定(SPCC・SPHC など)は鋼板の材料記号の指定を参照してほしい。

発注書と図面に書くこと

項目 書き方の例
普通公差 打抜きの普通寸法公差 JIS B 0408-B/曲げ JIS B 0408-C
かえり JIS B 0051 の記号で、許す面と最大寸法を指示
輪郭の跡 A 面は打ち跡・つなぎの跡を不可(その他の面は可)
小穴 板厚未満の径の穴は、抜くか後加工かを見積時に回答
成形 バーリングの立ち上がり高さ・内径・ねじの呼び
表面 保護フィルム付き材を使用し、フィルムを残して納入
工程の変更 レーザー切断・順送型などへの変更は事前に連絡し承認

最後の行は、試作はタレパン、量産は順送型やレーザーに変える、といった工程の変更を指す。同じ図面でも工程が変われば、切口の状態、かえりの向き、寸法のばらつきが変わりうる。変更の前に連絡を受けて、初回品で確かめる形にしておく。基準は発注のときに出しておく。発注後に基準を厳しくして不合格にする扱いが取適法でどう見られるかは受領拒否・返品・やり直しのルールで扱っている。

よくある質問

タレパンとレーザーのどちらで作るか、指定すべきですか

多くの場合、指定は不要で、仕上がりの条件(寸法の等級、かえり、跡の扱い)を書けば仕入先が選ぶ。ただし、切口の状態が機能に効く部品や、量産で工程を変えてほしくない部品では、工程を指定するか、工程の変更を事前承認にする。

抜いた穴の寸法は、何で決まりますか

講座は、一般に、穴あけで得られる穴の内径はパンチの外径に、打抜きで得られる品物の外径はダイの穴径に依存すると言われる、としたうえで、厳密にはクリアランスによっても変わると説明している[3]。穴の寸法に厳しい公差がある場合は、その穴を個別の公差で指示し、測り方を合わせる。

アルミの部品で、途中からかえりが大きくなった

講座は、アルミニウムやマグネシウムでは工具の側面に材料が凝着し、少ない加工回数でも大きなかえりが出ることがあり、凝着を防ぐ潤滑剤や硬質膜を被覆した工具で改善できるとしている[3]。仕入先に、型の研磨や交換の周期をどう管理しているかを確かめる。

まとめ

タレパンは多数の型を選んで打抜きをするプレス機械で[1]、型抜きした寸法は JIS B 0408 の打抜きの等級で読めるが、等級は図面に書く[2]。切口はだれ・せん断面・破断面・かえりからなり、かえりはクリアランスの不適正や型の摩耗で大きくなる[3]。かえりの面と大きさは JIS B 0051 の記号で示し[4]、追い抜きの跡やつなぎの跡を許さない面、小穴、成形の寸法、表面の保護、工程の変更の扱いを発注時に決めておく。

同じ束では、ウォータージェット切断品、溶接ひずみの許容と矯正、ステンレスの溶接焼けの除去、調質(焼入焼戻し)の指示の発注も扱う。

出典・参考資料

  1. JIS B 0111:2017 プレス機械-用語(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2017 年 7 月 20 日改正・2022 年 10 月 20 日確認)
  2. JIS B 0408:1991 金属プレス加工品の普通寸法公差(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1991 年 2 月 1 日改正・2025 年 6 月 20 日確認)
  3. 初歩から学ぶ塑性加工 講座 9 せん断加工(古閑伸裕/軽金属 57 巻 12 号/2007 年)
  4. JIS B 0051:2023 製品技術文書情報-形状を定義しないエッジ-寸法の指示方法(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/2023 年 3 月 20 日改正)
  5. JIS B 0122:1978 加工方法記号(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1978 年 2 月 1 日改正・2023 年 10 月 20 日確認)
  6. JIS B 0410:1991 金属板せん断加工品の普通公差(日本産業標準調査会 JIS 検索で閲覧/1991 年 2 月 1 日改正・2025 年 6 月 20 日確認)

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