投稿日:2024年8月8日

エラストマー(Elastomer)の技術とそのOEM製造での利用法

エラストマーとは何か?

エラストマー(Elastomer)は、その名前からもわかるように、「弾性」を持つ材料の総称です。
具体的には、高い引っ張り強度と耐久性を持ちながらも、十分な柔軟性を持つポリマー材料を指します。
この特性により、エラストマーはゴムのように伸縮することができ、多様な産業用途に利用されています。

エラストマーの特性と種類

エラストマーの主な特性は、高い弾性、耐久性、耐候性、耐熱性、そして化学薬品への耐性です。
これらの特性が一体となることで、厳しい環境条件でも安定的に機能する材料となります。

高弾性

エラストマーは、元の形に戻る能力が非常に高いです。
これは主に、分子構造の自由度が高いためです。
この特性により、耐衝撃性や防振性能が求められる製品に適しています。

耐久性

エラストマーは、非常に長寿命な材料です。
高強度でありながら、繰り返しの曲げや引っ張りに対して劣化しにくいという特性があります。

耐候性・耐熱性

厳しい環境条件や高温環境下でも安定した性能を発揮します。
このため、屋外や高温状態での利用が可能です。

種類

エラストマーは、天然ゴム(NR: Natural Rubber)や合成ゴム(SBR: Styrene-Butadiene Rubber、NBR: Nitrile Butadiene Rubber、EPDM: Ethylene Propylene Diene Monomerなど)に分類されます。
また、熱可塑性エラストマー(TPE: Thermoplastic Elastomer)やシリコーンエラストマーも普及しており、それぞれ異なる特性を持ち合わせています。

エラストマーの製造過程

エラストマーの製造過程は、主に混練(ミキシング)、成形、硫化(または架橋)の3段階に分かれます。

混練(ミキシング)

初めに、エラストマーの基材や補強剤、添加剤を均一に混ぜ合わせます。
この過程では、高速ミキサーや密閉型ミキサーが用いられます。
混練においては、温度管理が非常に重要です。
適切な温度で混合することで、材料の品質が確保されます。

成形

次に、混合したエラストマーを型に流し込み、成形します。
成形方法としては、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形などがあります。
特に精密な形状が求められる製品では、射出成形が一般的に利用されます。

硫化(架橋)

最後に、成形されたエラストマーを加熱し、硫化(架橋)させることで、材料の最終的な物性が確定します。
硫化はエラストマーの分子間に架橋結合を形成させるプロセスで、これにより材料の弾性と耐久性が向上します。

エラストマーのOEM製造での利用法

エラストマーは、その特性を活かし、さまざまなOEM(Original Equipment Manufacturer)製造に取り入れられています。
ここでは、いくつかの具体例を挙げて説明します。

自動車産業

自動車産業において、エラストマーは重要な材料です。
防振材、シール材、ホース、ベルト、ガスケットなど、多様な部品に利用されています。
特に耐熱性や耐油性が求められるエンジン部品や、高弾性が必要なサスペンション部品において、非常に重宝されています。

医療用製品

医療用製品でもエラストマーは幅広く利用されています。
例えば、シリコーンエラストマーは、体内に挿入されるカテーテルやインプラントなどに使用されています。
また、ラテックスフリー手袋や各種シール材にも利用され、安全性が重視される場面での利用が進んでいます。

家庭用品・日用品

エラストマーは、家庭用品や日用品、スポーツ用品にも利用されています。
例えば、柔らかいタッチが求められるグリップやハンドル、耐久性が求められるマットやパッド、各種自動販売機のシール材などです。

エラストマー関連の最新技術動向

エラストマーの分野でも技術革新が進んでいます。
以下、最新の技術動向をいくつか紹介します。

バイオベースエラストマー

環境への配慮が重要視される昨今、バイオベースエラストマーの開発が進んでいます。
再生可能な天然資源を原料としたエラストマーは、持続可能な製造工程と廃棄プロセスを実現します。
これにより、環境負荷を大幅に削減できます。

ナノコンポジットエラストマー

ナノテクノロジーを活用したナノコンポジットエラストマーも注目されています。
ナノスケールのフィラーをエラストマーに混入することで、材料の強度や耐久性、電気特性が飛躍的に向上します。
これにより、高性能な電子デバイスや医療デバイスの製造が可能となります。

高度な自動化・AI技術の導入

製造現場に高度な自動化技術やAI(人工知能)技術を導入することにより、生産効率が向上し、品質管理も厳密に行えるようになります。
例えば、混練や成形プロセスのリアルタイムモニタリング、品質検査にAIを用いることで、製品の一貫性を確保しつつ、不良品の早期発見が可能です。

エラストマー利用における企業の課題と対策

エラストマーを利用するにあたり、企業はさまざまな課題に直面することがあります。
ここでは、その主な課題と対策法について解説します。

供給チェーンの確保

エラストマーの原材料供給には不安定性が伴うことがあります。
特に、世界的な枯渇や生産地域の制約などが影響します。
この対策として、複数の供給元を確保することや、代替材料の検討を進めることが重要です。

品質管理

エラストマー製品の品質管理は非常に重要です。
厳しい製造環境や多様な製品要求に対応するためには、精密な品質管理体制が必要です。
自動検査システムの導入や定期的な品質評価の実施が推奨されます。

コスト管理

エラストマー製造には高コストが伴うことが多いです。
これを抑えるためには、効率的な生産プロセスやリサイクル技術の導入が欠かせません。
また、エネルギー効率の改善や廃棄物削減も重要なポイントとなります。

まとめ

エラストマー(Elastomer)は、高い弾性と耐久性を持つ材料で、さまざまな産業用途に利用されています。
その製造には混練、成形、硫化のプロセスを経る必要があり、それぞれが適切に管理されることで高品質な製品が生まれます。
自動車産業や医療用製品、家庭用品など、幅広い分野で活用されており、最新の技術動向としてはバイオベースエラストマーやナノコンポジットエラストマーが注目されています。
企業は供給チェーンや品質管理、コスト管理の課題に果敢に対応しながら、未来の製造業を支えています。

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