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投稿日:2025年6月7日

自動車バッテリーの再生メンテナンス事業連携と調達方法

はじめに:自動車バッテリー再生メンテナンスの注目背景

近年、サステナビリティやカーボンニュートラルの掛け声のもと、自動車バッテリーの再利用・再生ビジネスが製造業界で急速に拡大しています。

新車販売だけではなく、特装車・中古車のリース、レンタカー事業やカーシェアリング、工場設備のAGV、フォークリフト、さらには非常用電源まで、多様な現場で蓄電池の再利用が議論の的となっています。

その一方で、昭和時代からの“新品一辺倒商慣習”は依然根強く、バッテリー調達・廃棄現場には未だ多くの課題が残ります。

本記事では、自動車バッテリーの再生(リファービッシュ、リユース、リマン)及びそれらを軸にしたメンテナンス事業連携と、再生品調達の実務を、現場視点ならではのリアルな目線で掘り下げていきます。

自動車バッテリーの再生とは何か?

再生バッテリーの基本的な仕組み

自動車バッテリー再生とは、使用済みバッテリーを回収し、劣化部品や活性化が必要な部分を選別・修理・交換した上で、再度出荷可能な状態にリマニュファクチャリングするプロセスです。

鉛バッテリーの場合、
– セルごとの電圧・比重測定
– 内部洗浄
– 電解液補充/交換
– 必要部材のリプレース

などがセットになっています。

リチウムイオンバッテリーでは、
– 実セル特性測定
– バランシング調整
– 保護回路(BMS)のリフレッシュ
– 残存寿命推定

など技術要求が更に増します。

単なる“中古”とは異なるプロセス

再生と聞くと「単なる中古」と誤解されがちですが、コンディションチェックと見極め、一定品質の維持を前提とした上で新品に準じる保証を実現する点が大きな違いです。

そのため、調達バイヤーの目線でも“二次利用”の不安やリスク管理、保証体制の重要性など、調達段階からしっかりと戦略を練る必要が出てきます。

業界の動向と昭和型慣習の壁

従来の製造業現場では、「自動車バッテリー=新品交換」がほとんどでした。特に正規ディーラーや指定整備工場では、新品純正部品のみを扱うことで“品質上の安心”を担保してきた歴史があります。

しかし、時代は変わりつつあります。

再生バッテリー市場の成長要因

– 環境負荷低減への社会的要請(SDGs)
– 鉛、リチウム等の資源高騰
– 新品バッテリーの値上げ
– 廃棄・リサイクルコストの負担増
– 再生技術の進化と法整備(例:JIS規格等)

これらの背景から、国内自動車修理ネットワーク、車両リース業者、工場内物流事業者などが次々と再生バッテリー導入に舵切りを始めています。

一方で、中小規模の現場や保守的な企業では、昭和型の「新品調達こそ唯一絶対」という思い込みが根強く残っています。その反面、バイヤーや生産購買担当者が“コスト削減”だけを目的に安易な再生バッテリー導入を推進した場合、品質問題や寿命トラブルで逆に損失が拡大するリスクも否定できません。

業界ごとの採用事情

– 自動車整備市場:各ディーラーの方針によるばらつきが大きいものの、商用車やタクシーでは再生品利用が進む
– 工場物流(フォークリフト等):厳しい稼働条件のため、一定の性能担保が必須
– 官公庁・自治体:入札・認証に再生品条件が含まれる例も増加中

現場に効く!再生バッテリー事業連携の実践例

連携モデル構築のポイント

実際に現場で成功する再生バッテリー事業連携には、下記のような構造的な工夫が必要です。

1. 信頼できる再生バッテリー供給元とのパートナーシップ

単発で調達するのではなく、JIS規格・ISO認証などを取得し、長年の再生事業で実績と信用がある再生事業者と継続契約を結ぶことが重要です。試験証明書や性能保証の有無を必ずチェックしましょう。

2. 回収・リサイクルまでの一気通貫システム化

交換したバッテリーの回収から、再生や再資源化までを一貫請負できるサプライヤーと連携すると、現場の管理コストが劇的に低減します。

3. メンテナンスサービスとの結合(アウトソーシング含む)

アナログな現場では保守メンテナンス力がカギを握ります。納入後も定期的に性能チェックを行ってくれるサポート体制が不可欠です。必要に応じて現地点検やオンサイト交換も委託できる体制を構築しましょう。

4. IT・データ連携(クラウドでの管理・予兆保全)

バッテリーの残存寿命、稼働実績、交換履歴などをデータベース化し、次回交換や再生タイミングの最適化、トラブル未然防止を目指すことも重要になっています。

成功現場の実践例(工場内AGVの場合)

– 大手自動車部品工場(関西地方)

AGV用リチウムイオンバッテリーを年30セット、再生バッテリー導入

1)新品調達時比50%コストダウン

2)故障時は再生業者が36時間以内現地出張

3)全AGVの稼働記録をクラウドで一元管理し、次回再生・交換を自動提案

このモデルは調達部門、現場運行部署、再生業者の三社プロジェクト体制でスタートし、現場説明会やベンチマークテストを繰り返しながら現場目線を徹底。新品信仰を徐々に払拭していった好例です。

調達手法・バイヤーの目で見るポイント

調達プロセスにおける注意点

再生バッテリーの調達では、調達バイヤーが細心の注意を払うべきポイントがあります。

現場用途・使用条件の明確化

どの車種・用途で使うかのスペック明示が初歩です。
AGV、タクシー、一般乗用車、トラック、フォークリフト等、それぞれ要求される性能基準が異なります。
状況によっては「新品+再生品のミックス運用」も検討範囲に入ります。

サプライヤーの技術力・信用調査

設立年月、主要取引先、認証取得の有無(自動車メーカー承認、JIS等)、保証期間やサポート網をしっかり確認します。

品質・保証

性能検査データ、トレーサビリティ(製造・修理履歴)、不良発生時の返金・リプレース条件を明文化しましょう。

コストとライフサイクル比較

単純な初期費用比較にせず、実寿命・メンテナンス費用・万一のダウンタイム損失も含めて総合判断します。

契約形態

リース、レンタル、サブスクリプションなどの新たな調達形態もオプションとして検討しましょう。
一括買取よりリスク分散が可能となる場合もあります。

サプライヤー視点:バイヤーは何を見ているか?

サプライヤーの立場からすると、バイヤーは「最安」「最短納期」のみで意思決定していません。

現場の“止められない”プレッシャー、品質保証への要求、トラブル発生時の即応体制、データと信頼性に基づいた長期安定供給こそ重視されています。

そのため、サプライヤー側も
– 明確な性能証明データ(数値の透明性)
– チャレンジングな使用状況での実績・ベンチマーク情報
– 導入前テストや現場担当との直接コミュニケーション

などに積極的に応える準備が必要不可欠です。

今後の新潮流:デジタル活用とサーキュラーエコノミー

再生事業の新展開として「バッテリーライフサイクル管理プラットフォーム」の台頭も注目されています。

使用開始時から寿命終了、再生、再利用、廃棄まで、各フェーズのコンディション情報を一元管理し、工場・サプライヤー・ユーザーをデジタルで結ぶ仕組みです。

これにより、需要予測、バッテリー在庫計画、交換サイクル最適化までリアルタイムに行えるだけでなく、現場オペレーターの業務平準化や無駄なコストの最小化にも寄与します。

カーボンフットプリント開示義務対応や海外認証(UL規格、CEマーク等)も進んできており、単なる“安価な代替品”から“資産価値を最大化するITプラットフォーム”へと、再生バッテリー調達の常識が進化しつつあります。

まとめ:現場から提言 ― 再生バッテリー導入は“現場起点”で進めるべし

自動車バッテリーの再生メンテナンス事業連携と調達方法は、これからの製造業において確実に欠かせない選択肢となるでしょう。

ですが導入の成否は、“一律のコストカット”や“安易な切り替え”ではなく、現場ごとの用途・実態・オペレーションを深く見極めた上で、信頼できるパートナーと連携し、データと現場力に基づいて戦略的に推進することにかかっています。

また、調達担当者やサプライヤー、現場作業員が密に連携し、双方向の現場目線でノウハウを蓄積し続けること。
この歩みこそ、昭和の慣習を乗り越え、日本の製造業がさらにサステナブルに成長していくための新たな地平となるのです。

現場から広がる“再生価値の連携ストーリー”を、ぜひ自社でも実践してみてはいかがでしょうか。

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