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投稿日:2025年6月11日

グランドパッキン・ガスケットの基礎と適切な選定方法およびトラブル対策

はじめに

製造業において欠かせない部品の一つが、グランドパッキンやガスケットです。
これらは配管や各種機器の密閉を担い、漏れや故障のリスクを大幅に低減します。
特に工場の安定稼働や生産効率向上には、適切なパッキン・ガスケットの選定と確実な取り付けが不可欠です。
本記事では、現場目線に立ちながら、グランドパッキン・ガスケットの基礎知識と最適な選び方、そして発生しがちなトラブルへの実践的対策を詳しく解説します。

グランドパッキン・ガスケットとは何か

グランドパッキンとは

グランドパッキンは、主にバルブやポンプのシャフト部など、可動箇所の軸回りに設置されるシール材です。
液体や気体の漏れを防ぎながらも、適度な可動性を確保する必要があるため、耐摩耗性や柔軟性が求められます。
また、材料としてはアスベストからカーボン、PTFE、グラファイト、各種合成繊維などが一般的です。
昭和時代はアスベストが主流でしたが、現在は安全性の観点からノンアスベストが主流となり、より高性能な素材への移行が進んでいます。

ガスケットとは

ガスケットは、配管フランジや機器の接合面など、主に静止した箇所に取り付ける密封用のパッキン材です。
弾性や圧縮復元性に優れており、ボルトの締め付けにより金属同士の微細な隙間を埋めることで漏れを防止します。
素材はゴム、PTFE、ノンアスベストシート、メタル、複合材など多種多様です。
流体の種類や温度、圧力、フランジ面の仕上げ状態といった多岐にわたる条件を考慮し、適切なタイプが選ばれるべきです。

適切なグランドパッキン・ガスケットの選定方法

流体の種類と使用条件を見極める

最初に注目するべきは、「何をどこで密封するのか」という現場の実態です。
例えば、薬液、蒸気、高温水、あるいは腐食性の高い流体か否かで、選ぶ素材や仕様が大きく異なります。
グランドパッキンの場合、薬液であればPTFEやフッ素系パッキン、高温高圧にはカーボンやグラファイト系が適します。
ガスケットも同様に、耐薬品性が必要ならPTFE系やノンアスベスト、高温蒸気ならメタルガスケットやスパイラルワウンドタイプ(渦巻き型)などを検討します。

既設設備との適合性

昭和から続く多くの工場では、古い配管規格や国際標準外のフランジ形状が今なお現役です。
ガスケットの外径・内径・厚みだけでなく、フランジ面粗度や溝形状、ボルト穴のピッチまで、現場現物を必ず確認しましょう。
長年の慣例で「これで十分」と選定してきたタイプが、最新の規格や環境基準に合っていないこともよくあります。
一方で、高機能ガスケットを導入しすぎてコストアップや取り扱いミスが増えるケースも。
現場検証とメーカーへの問い合わせを組み合わせて、最適解を見つけることが重要です。

耐久性・メンテナンス性の観点

コストだけで選ぶと、短期で劣化しやすいパッキン・ガスケットに当たってしまうこともあります。
とくにパルス圧力がかかる現場や、頻繁に分解点検する配管では、十分な耐久性と容易な取り外し・再組み付け性も考慮しましょう。
さらに、食品や医薬品分野では衛生法規や異物混入対策として、シール材にも「製品証明書」やトレーサビリティの提出が求められます。
今後ますます高まる業界標準(JIS・ASTM・FDA等)に則った材料選定が不可欠です。

発生しやすいトラブルとその対処法

漏れトラブルの代表例と対策

ガスケットやグランドパッキンに関する現場トラブルの筆頭は「漏れ」です。
想定できる原因と、その対策は以下の通りです。

・締め付け不足または過剰締付
→ ガスケット・パッキンは適度な圧縮で効果を発揮します。トルクレンチの導入や、メーカー指示値の順守、4~5回に分けて対向ボルトを均等締めする方法が有効です。

・素材劣化や異種流体の混入
→ 高温多湿下や薬液環境下で、想定外の化学反応やパッキンの軟化・脆化が起きる場合があります。定期的な交換計画と目視点検、実績データに基づく素材見直しが必須です。

・施工不良やガスケットのずれ
→ メタルガスケットのカケやムラ、粗いフランジ面による密着不良、取り付け位置ズレなど、小さな作業ミスが大事故につながります。手順書の整備・教育、ダブルチェック体制を強化しましょう。

軸シール部の摩耗やグラス化

グランドパッキンは、繰り返しの開閉や連続運転で徐々に摩耗し、隙間が生じやすくなります。
また、摺動熱によってガラス状に硬化(グラス化)し、密封性能の低下だけでなくシャフト損傷にもつながる恐れがあります。
症状がみられたら速やかにパッキンを交換し、必要に応じてグランド注油・冷却系の見直しや、メカニカルシールへのアップグレードを検討しましょう。

規格外・偽装ガスケット流通のリスク

経費削減や短納期対応を目的に、非正規ルートから安価なガスケットを調達する場合、JISやASTMなどの品質規格を満たしていないリスクが伴います。
万が一事故が発生した際には製造責任とともに信用失墜の連鎖も発生しかねません。
サプライヤーを選定する際は「証明書提出可」「履歴管理体制完備」「実績あるメーカー品」を必ず条件に加えましょう。

バイヤー視点で考える最適な調達戦略

コスト・品質・納期の三本柱の最適化

グランドパッキンやガスケットは消耗品であると同時に、工場の安全・生産性を根本的に支える要素でもあります。
価格交渉だけでなく、品質管理システム、サプライチェーンの安定性、長期契約による継続供給など、バイヤーとして全体最適の視点でプロジェクトを設計しましょう。
また納期対応力(緊急時の即納体制やストック管理)も重要です。
業者選定の際には、「単なる仕入先」ではなく、現場改善パートナーとして技術提案力や代替品情報提供能力を重視することをおすすめします。

現場フィードバックの重視とデータ活用

現場作業者からの「なぜこの場所で漏れが減らないのか」「どんなメーカーが使いやすかったか」といったナレッジを収集・分析しましょう。
工場のIoT化が進む今、ガスケット交換履歴やメンテ頻度なども数値化し、調達現場の意思決定に反映可能です。
アナログなノウハウとデジタルなデータの融合が、調達購買部門バイヤーに求められる次世代スキルです。

サプライヤーとの健全な関係構築

安易なコストダウンのみを求めるのではなく、長期的な技術連携や共同開発案件への参画も視野に入れましょう。
サプライヤー側には現場改善ノウハウの蓄積があります。
定期的な情報交換会や勉強会によって、お互いの立場を理解し合う「win-win」の関係が、ひいては安定したシール材調達・使用環境づくりにつながります。

まとめ

グランドパッキンとガスケットは、単なる消耗部品以上に製造現場の生命線となるパーツです。
素材や形状・現場条件に応じた正しい選定、確実な取り付け、そしてこまめな点検と正規ルートでの調達が、工場の安定稼働・生産性向上につながります。
調達バイヤーを目指す方やサプライヤーの立場からバイヤーの考えを知りたい方は、ぜひ本記事を参考に、密封部品の最適活用を現場視点で追求してください。
昭和のアナログと令和のデジタルが交錯する今こそ、業界全体でナレッジを継承・進化させていきましょう。

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