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*2025年4月30日現在のGoogle Analyticsのデータより

投稿日:2025年4月28日

半導体の小型高集積化に対応する次世代半導体パッケージの開発と最新技術

半導体の微細化が限界へ近づく中、機能や性能の向上をパッケージ側で担保する流れが加速しています。
スマートフォン、車載、5G・6G、AI サーバーなど、高発熱かつ多機能なアプリケーションが同時並行で拡大している今、次世代半導体パッケージの開発と量産体制の確立は、デバイスメーカーのみならずサプライチェーン全体の競争力を左右します。

市場背景と小型高集積化がもたらす課題

半導体市場は CAGR5〜8%で成長が続くと予測されています。
そのボリュームゾーンの約7割が「より小型で高集積、かつ高出力密度」を求める領域です。

サブ6GHzからミリ波へ:電気特性と熱マネジメントの両立

周波数帯が上がるほど配線損失は指数関数的に増大します。
そのためパッケージ配線のインピーダンス制御と、チャネル短縮による高速化が必須です。
並行して発熱密度も上がるため、熱拡散パスを確保した 3D 放熱設計と TIM(熱伝導材)の高性能化がセットで求められます。

パッケージングコストと歩留まりのジレンマ

微細化=コストダウンと捉えられがちですが、パッケージング工程ではむしろ逆です。
超微細配線、高精度実装、拡張検査の追加により、従来比 1.5〜2 倍のコスト増が見込まれます。
歩留まりをいかに早期に 95%以上へ引き上げるかが、量産フェーズ移行の鍵となります。

主要パッケージ技術の比較

2.5D/3D IC

シリコンインターポーザ上に複数ダイを高密度実装し、配線長を大幅短縮できます。
高帯域メモリ(HBM)と CPU/GPU を積層する AI サーバー向けで主流です。
課題は高コストと発熱集中。熱シミュレーション精度が歩留まりに直結します。

Fan-Out Wafer Level Package(FO-WLP)

再配線層をウエハ全面に拡張し、モールド樹脂内へチップを埋め込む方式です。
スマートフォンの RF フロントエンドで量産実績が豊富です。
ウエハサイズの大型化でスループットを稼げますが、樹脂収縮によるワープが工程トラブルの元になります。

Chiplet アーキテクチャ

機能別に小さなダイを分割製造し、パッケージ内で高速インターコネクトします。
先端ノードを必要とするロジック部分だけを 3nm で、電源や I/O ダイは 14nm を使うなど、コスト最適化が可能です。
AMD、Intel、TSMC が UCIe 規格で主導権争いを展開中です。

最新プロセス技術

ハイブリッドボンディング

Cu-Cu 接合と分子結合を同時に行うことで、バンプレスかつ 5μm 以下ピッチを実現します。
ダイ間ギャップがゼロに近づくため、信号遅延が顕著に低減し、低電圧駆動が可能です。
課題は 200℃ 以下の低温接合と表面クリーン度の確保で、ライン管理が鍵です。

レーザーアシストリフローによる低温接合

ポイント加熱でソルダペーストを選択的に溶融させる手法です。
基板全体を加熱しないため、樹脂や有機材の熱ダメージを抑制できます。
設備コストは高いものの、Cu コア基板など熱応力の大きい材料と相性が良好です。

有機基板の微細配線化(SAP・mSAP)

セミアディティブプロセスで配線幅/間隔を 8/8μm から 2/2μm へ微細化します。
FO-WLP や 2.5D の再配線に用いれば、従来の BT レジン基板より 30%以上の小型化が可能です。
旭化成やSEMCOが量産ラインを拡張しています。

調達・購買視点で押さえるべきポイント

キャパシティ確保と二重発注リスク

先端パッケージは世界で 5 社程度の OSAT に集中しています。
ライン確保を焦るあまりブッキングオーダーを重ねると、市況反転時にキャンセル料が利益を圧迫します。
複数年契約+歩留まり連動型価格条項で、適正キャパを確保する戦略が有効です。

材料サプライチェーンのボトルネック

ABF フィルム、Cu プレート、フォトレジストの3品目が慢性的に逼迫しています。
台湾地震や中国電力制限が直接影響するため、調達リードタイムは従来の 1.5 倍を見込むべきです。
代替材の実装・信頼性データを先回りで取得し、仕様変更の稟議リードタイムを短縮しましょう。

生産・品質管理が直面する新課題

パッケージレベルの熱サイクル試験

3D IC では接合界面が多層化し、熱膨張係数差による剥離が発生します。
JEDEC 規格だけでなく、自社アプリ負荷を模擬したパワーサイクル試験を設計段階から盛り込むことが重要です。

非破壊検査技術の進歩

X線 CT は 0.5μm 分解能が実用化しつつあり、ボイド検出能力が向上しました。
加えて、フェーズコントラスト方式で Cu-Cu 接合界面の微小空隙も可視化できます。
検査データは AI 学習モデルに蓄積し、不良トレンドを早期予測する運用が成果を上げています。

工場自動化とスマートファクトリー化の鍵

クリーンルーム内 AMR と AGV の融合

2m 四方の FO-WLP パネルを搬送するには、高可動域 AMR が適しています。
AGV の定位置搬送と AMR のフレキシブル搬送をレイヤー分けし、レイアウト変更対応力を高めましょう。

AI 画像検査とデータレイク構築

微細配線欠陥の判定は熟練検査員でも 70%台の一致率しか出ません。
AI 画像検査による一次判定+熟練者レビューで、検査タクトを 50%短縮できます。
全センサーからの時系列データをクラウドに集約し、EDA ツールと連携すれば、設計と製造のフィードバックループが形成されます。

昭和型体質から脱却するための組織変革

サイロ構造を壊すバリューチェーン視点

設計・製造・品質・調達が別々に最適化を図ると、パッケージ収縮や熱拡散経路など横串で潰せる課題が後工程に噴出します。
クロスファンクショナルチームを常設し、試作前レビューでコストと信頼性を同時に議論する文化を根付かせることが不可欠です。

デジタル人材育成とリスキリング

パッケージ開発には材料工学、電磁気、熱解析、ソフトウェアが横断的に関わります。
自社の設計者が Python で熱シミュレーションの前処理を自動化できるレベルまで育てば、外注費と開発リードタイムは大幅に短縮します。
公開オンライン講座+社内メンター制度で、最短 6 か月で基礎データサイエンスを習得した事例もあります。

まとめ:次世代パッケージ開発を勝ち抜くために

1.2.5D/3D、FO-WLP、Chiplet をアプリ別に最適配置し、熱とコストを両立させる戦略設計が重要です。
2.ハイブリッドボンディングなど新プロセスの量産移行には、歩留まり連動型契約で OSAT とパートナーシップを深めましょう。
3.データ駆動型の品質・生産管理体制を敷き、AI 検査とスマートファクトリーでリードタイムを半減させることが競争力の源泉となります。
4.昭和型サイロを打破し、デジタル人材を育成することで、設計—調達—製造—品質の一気通貫最適化が可能になります。

半導体の小型高集積化トレンドは止まりません。
自社の組織とサプライチェーン全体を俯瞰し、先端パッケージを武器に新たなマーケットを切り拓きましょう。

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