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臭気対策の効果的な方法とそのポイント

目次
はじめに:なぜ今、製造業における臭気対策が重要なのか
製造業の現場で働いていると、常に悩まされるのが「臭気問題」です。
これまでは「工場なんだから多少のニオイはしかたない」と、なんとなく流されてきた節もあります。
しかし時代が変わる中で、顧客ニーズの高度化や法規制の強化、従業員の職場環境への関心の高まりなど、臭気対策は企業価値そのものを左右するテーマとなっています。
また、調達・購買や生産管理の担当者としては「サプライヤーや協力会社でもしっかりと対策できているか」を気にする声も増えています。
本記事では、現場で“本当に使える”臭気対策の実践ノウハウとポイント、そして業界のアナログな慣習から脱却するための考え方まで、昭和・平成・令和をまたぐ変革の視点も交えてお伝えします。
製造業における臭気の種類と原因
臭気の種類
製造業の工程によって、発生する臭気には以下のようなものがあります。
– 有機溶剤系(塗装・洗浄・インキ・接着剤など)
– ゴム・樹脂類の加熱や成形時に発生するニオイ
– 金属加工油や切削液由来の油臭
– 化学製品の製造工程で発生する特有臭
– 廃液や廃材の分解による腐敗臭
– ボイラー、燃焼プラント等の煤煙臭
それぞれ特性や対策ポイントが異なりますので、まずは「自社で発生している臭気の種類を把握する」ことが第一歩となります。
臭気発生の主な原因
臭気の発生源は「工程そのもの」と「設備や資材の老朽化、不適切な管理」に大きく分けられます。
1. 工程に起因するもの
– 原材料そのものの特性
– 化学反応、加熱・発酵処理時の発生ガス
– 未処理の排気や排水
2. 管理に起因するもの
– 廃棄物や資材の滞留・放置
– フィルターやダクト清掃の不十分さ
– ピットや排水路のスラッジ堆積
– 建屋の換気設計の不備
どこで何が原因となっているのか、現場の担当者・工場長が“ぜんぶ現場の責任”と片付けるのではなく、工程設計や設備保全、管理体制ごとに可視化していく必要があります。
効果的な臭気対策の全体像
臭気対策の基本フロー
1. 臭気の発生源特定(定量化・定性化)
2. 発生抑制(抜本対策)
3. 空間・環境改善(遮断・希釈・換気)
4. 臭気除去(脱臭・消臭)
5. 定期的モニタリングと見直し
この流れの中で、「どこに、どのようにコストと手間をかけるべきか」を判断するのが調達購買、生産管理担当者の腕の見せどころです。
臭気の発生源特定と見える化のポイント
近年は臭気判定士資格やにおい測定機器も普及しています。
しかしながら「センサー値」だけを気にするあまり、現場で一番大切な“実作業者の実感やクレーム履歴”が軽視されがちです。
現場の作業員や出入りの協力会社、物流ドライバー、時には近隣住民の声にも耳を傾け、「どの工程・場所・時間帯・天候のときに強いニオイが出ているのか?」を詳細に記録することが成功の鍵となります。
具体的には、
– 作業日報に臭気の発生メモ欄を設ける
– 顧客や社内からのクレーム履歴を定量化
– 月次の定点測定を実施
など、“現場に根ざした臭気見える化”を必ず始めてください。
発生抑制を最優先に:根本から断つアプローチ
臭気対策は「発生源で断つ」ことが最も効果的で、後工程のコスト削減にもつながります。
具体的な施策は以下の通りです。
原材料の見直し・選定
同じ製品を作る場合でも、原料の純度や配合の工夫で臭気発生源を大きく抑えられる場合があります。
最近では「低臭気グレード」「無臭化処理済み」などをアピールする原材料メーカーも増え、調達購買担当者の腕の見せどころです。
実際、低臭気油剤を採用したことで近隣住民からの苦情がゼロになったプレス工場事例もあります。
工程設計・設備の改良
臭気の強い工程を密閉化する、局所排気装置を新設する、排ガス洗浄・燃焼処理ラインを追加する──このような大掛かりな対策は初期投資こそかかりますが、慢性的な悪臭問題に悩む現場には合理的な選択です。
また「工程短縮」や「省人化」と臭気抑制がセットになって評価されるケース(たとえば乾燥炉の適正温度見直し、揮発工程の自動化など)も今後増えていくでしょう。
現場で出来る即効性のある臭気対策
コストをかけず、すぐにでも始められる臭気対策も意外と多いです。
定期清掃と予防保全の徹底
– ピットや排水路・タンク・廃棄物ストックヤードの定期清掃
– フィルター、ダクト、換気ファンの清掃・点検グラフ化
– 特に夏場は高温多湿で分解臭が発生しやすいので頻度を上げる
このような地道な活動が、異常発生の“芽”を摘むことにつながります。
換気・希釈・仕切りの工夫
工場の臭気は「溜め込まないこと」が重要です。
– 仕切りやカーテン、空気清浄機の設置
– 正圧・陰圧など局所換気バランスの調整
– 交差汚染を減らすためのゾーニング設計
“昭和時代の大扉・裸天井の開放”から、「どこに風の流れを作るか」に注力するのが現代流です。
脱臭・消臭装置の賢い選び方・使い方
創造的な臭気対策には、自動化技術やIoTの知見も活きます。
現在使われている主な脱臭・消臭装置は以下の通りです。
– 活性炭脱臭装置
– オゾン・UV除菌消臭装置
– バイオフィルター脱臭塔
– スクラバー(湿式洗浄塔)
– 光触媒式脱臭機
それぞれ長所と短所があり、用途・悪臭物質の種類・コストバランスを見極めて使い分けが必要です。
ポイント1:スケールに合わせる
小型の現場であれば簡易タイプの消臭機で十分ですが、中~大規模工場では「局所(工程ごと・排気ごと)の脱臭」と「全体環境の希釈・換気」の組み合わせが必須となります。
ポイント2:メンテナンス性も重要
脱臭・消臭装置の目詰まりやフィルター劣化は、臭気漏出の原因です。
調達時には「メンテナンス頻度」「ランニングコスト」「運用手順のカイゼン度」も必ず検討しましょう。
サプライヤー側も知っておくべきバイヤー視点
臭気問題への姿勢は、近年サプライヤー評価の項目にもなりつつあります。
新規商談や既存協力会社の監査の際、次のような観点で評価されるケースが増えています。
– 臭気に関する法規制の遵守状況(悪臭防止法など)
– 計画的な臭気測定・対策記録の有無
– 臭気苦情への迅速な対応体制
調達側の企業(バイヤー)は「自社のブランド・顧客環境の守り」の視点から、サプライヤーに対してより高い衛生・環境基準を求めています。
サプライヤーは“製品品質だけでなく社会的責任”を十分アピールできるよう、くまなく現場を巡回し記録を残しておきましょう。
アナログ業界で根付く「慣習」との向き合い方と変革のヒント
昭和時代の“匂いは工場の勲章”といった感覚が、まだまだ製造業界には色濃く残っています。
一方で、SDGsやカーボンニュートラルが叫ばれる現代、臭気対策の徹底は「環境対応の第一歩」ともいえます。
バイヤーや品質監査チームが「まだやっていないの?」「もっとこうしたら?」と指摘してきたとき、“それは現場任せでしかできない”と逃げていると、機会損失にも直結します。
ラテラルシンキング(水平思考)で考えれば、
– 原材料メーカーと協力し脱臭技術を共創する
– 他産業(例えば食品・医薬品工場)の事例を取り入れる
– IoT・AIを使った臭気モニタリングの自動化を図る
– 従業員のアイデア提案制度で身近な臭気改善策を掘り起こす
など、業界の「ハードル=差別化」の源泉に変えることが可能です。
まとめ:現場から始める「臭気ゼロ」の未来づくり
臭気対策は、単なる“現場トラブルの後始末”ではありません。
企業ブランドや働きやすさ、そして環境配慮型モノづくりの核をなすものです。
調達購買、生産管理、品質管理、それぞれの現場で出来ることを粘り強く実行し、一歩先を読むラテラルシンキングで新たな仕組みづくりを目指しましょう。
そうすればきっと、あなたの工場やサプライヤーの価値が大きくステージアップするはずです。
現場目線の実践ノウハウと“変革を楽しむ発想”が、これからの製造業には欠かせません。
読むだけでなく、ぜひみなさんの現場でも今日から「臭気対策革命」をスタートしてみてください。
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