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*2025年5月31日現在のGoogle Analyticsのデータより

なぜなぜ分析の効果的な進め方と技術問題の解決法

目次
はじめに:なぜなぜ分析の必要性と現場のリアル
製造業の現場では、予期しないトラブルや品質問題が日常的に発生します。
昭和時代から続く「現場力」や「職人技」に頼る文化は今も多くの工場で根強く残っていますが、昨今のグローバル競争激化や顧客要求の高度化により、再現性のある問題解決手法がこれまで以上に求められるようになりました。
その中でも「なぜなぜ分析」は、なぜ問題が発生したのかを深掘りし、根本原因を探し出し改善につなげる有効な方法です。
しかし、その運用を少し誤ると形骸化してしまい、「書類を埋める作業」になってしまうことも少なくありません。
この記事では現場を20年以上見つめてきた実体験も交えつつ、なぜなぜ分析を最大限に活かし技術問題を本質的に解決する実践的なコツと、新たなアプローチについて掘り下げていきます。
なぜなぜ分析とは何か?目的と基本の手順
なぜなぜ分析(Why-Why Analysis)は、「なぜ?」を繰り返し問うことで真の原因(真因)に迫る、ロジカルな問題解決手法です。
一般的には5回程度、「なぜ?」の質問を繰り返すことで表面的な現象から背後に隠れた根本要因を明らかにします。
なぜなぜ分析の目的
現場で発生する不良やトラブルは、そのまま再発防止策を打っても“現象”の撲滅に過ぎない場合が多いです。
それではまた同じような問題が形を変えて繰り返されてしまいます。
なぜなぜ分析の真の目的は、
“どうしてこの問題が起きたのか?”
“根本的なプロセス・習慣・仕組みのどこにメスを入れれば再発を防げるのか?”
を明らかにし、本質的な改善へとつなげることです。
基本的な進め方
1. 発生した不良・問題を定義する
2. 「なぜそれが起きたのか?」を問う
3. 出てきた答えにまた「なぜ?」を重ねる
4. 5回程度繰り返し、“これ以上進まない”ところが真因となる
5. 真因を取り除くための対策を考え、再発防止策を講じる
一見シンプルですが、現場では「なぜ?」の問いかけが浅かったり、担当者自身の思い込み・心理的バイアスが入りやすく、正しい真因に到達するのが難しいのが実情です。
なぜなぜ分析が形骸化しやすい理由と、改善の着眼点
多くの現場でなぜなぜ分析が形骸化し、本来の価値を発揮できていない例を見てきました。
そこには以下のような共通の課題が潜んでいます。
現象の整理で止まる
「なぜ?」を1〜2回繰り返すと満足しがちになり、最表層の“現象”レベルで分析が終わってしまうことが多々あります。
例えば「不良発生→作業員が間違えた→作業が複雑だったから」で終了し、「作業員への指導強化」に傾きがちです。
しかし本来なら「なぜ、作業が複雑なまま放置されたのか」「なぜ設計段階で簡素化されなかったのか」など、部署や工程を超えて掘り下げる視点が不可欠です。
個人の責任追及で終了しやすい
昭和的な現場では、悪い出来事について人に責任を求める傾向が今でも根強く残っています。
「なぜ?」を繰り返した結果、現場作業員や工程リーダーの注意力不足、熟練不足といった“属人的管理”に帰着され、「教育の徹底」で終わるケースが非常に多いのが実態です。
これでは真因の発見にも再発防止にもなりません。
現場と管理層の温度差
管理側は「なぜなぜをやらせていればOK、形だけやれば良し」となりがちで、現場も「提出すれば良い書類」とだけ認識してしまうと、真の学びや改善文化が根付かなくなります。
横展開と知見の蓄積が弱い
同じようなトラブルが別工程や他工場で何度も繰り返される大きな理由の一つが、なぜなぜ分析の成果と学びの共有の弱さです。
現場目線で押さえたい、効果的ななぜなぜ分析の進め方
20年以上の現場経験の中で、なぜなぜ分析を“生きた改善活動”として根づかせるためのコツや視点をご紹介します。
1. 事実ベースに徹する
なぜなぜ分析では「思い込み」や「仮説先行」でなく、『現場で確認した事実』をベースに進めることが最重要です。
例えば「材料が不足した→発注ミスが原因」と決め打ちせず、実際に発注履歴・資材の動き・担当者のヒアリングなど、“見える化”できる証拠をひとつずつ積み上げていきましょう。
「工程内で何が起きていたのか」を時系列で図解(フローチャート)にすると原因の分岐点も明確になります。
2. 多角的視点を持つ(バイヤー/サプライヤー双方の目線)
工程内要因だけでなく、仕入れ先(サプライヤー)の状況、バイヤー・調達部門の意思決定、工場設計や生産計画部門のロジックまで視野を広げることが本質的な原因解明には不可欠です。
例えば「納期遅延が起きる」の一因には、
– 部品納入遅れ(サプライヤーの製造工程・発注リードタイム)
– 調達バイヤーの認識不足(ABC分析や発注警告ルールの不徹底)
– 生産計画の見積もり精度
– 上流工程からの情報伝達ミス
など、サプライチェーン全体のつながりが絡んでいることが多々あります。
部署を越えた“相互責任型”の問いを立てることで、再発防止のアイデアも格段に広がります。
3. 「なぜ」を問い返す“第三者視点”を入れる
分析を進めるメンバー自身だと当たり前のルールや慣習を見落としがちです。
外部部門のメンバーや、現場以外の関係者が「本当にその前提でいいの?」「他の視点はないか?」と問い返すことで、自部署内バイアスを排除できます。
大手自動車メーカーでは、定期的に他部署や親会社から“なぜなぜ分析の監査”が入り、根掘り葉掘り問う「メタ分析」を導入しています。
これが現場の学びの質を上げるコツです。
4. 対策の「再現性」と「継続性」を必ず問う
再発防止策=人への注意、貼り紙の追加…で終わっていませんか?
工程設計・設備改善・発注ルールの自動化など「仕組み」を変える空間に踏み込まないと、同じ問題は必ず再発します。
また一度改善したあと「継続運用」できているかをモニタリングし、必要なら迅速に再アジャストする仕組みづくりも不可欠です。
AI・自動化時代における“新しいなぜなぜ分析”のアプローチ
今後、工場の自動化やIoT化が進む中で、なぜなぜ分析そのものも進化が求められます。
アナログな書類文化に留まらず、以下のようなリニューアルにぜひ挑戦してみてください。
データドリブンななぜなぜ分析
– 不良発生時、「なぜ?」を問う前に、IoTセンサー情報や工程トレースデータを使って“根拠となる客観事実”を抽出する
– 人の主観による仮説と実データのギャップを見る
– ビッグデータの分析からパターンや抜け穴をAIが自動抽出する
ストーリーマッピング+シミュレーションの融合
現象・原因・対策をフローチャートや工程図にマッピングし、改善後のモデルケースをシミュレーションすることで「理想と現実」の差分を検証できます。
“なぜ”の言語化にAI・音声入力ツールを活用
普段紙やPCの前では出てこない“本音”や“気付き”を、現場作業員やオペレーターが音声入力やチャットボットにその場で語ることで、リアリティある一次情報を収集しましょう。
AIがこれを自動構造化し、なぜなぜ分析の補助素材として使う未来も間近です。
なぜなぜ分析を現場文化として根付かせるために
分析手法そのものも重要ですが、「なぜなぜ分析」を現場全体の共有知として根付かせる取り組みが何より大切です。
昭和から平成、令和へと時代が変わっても、“人”の成長と自律性を大切にしつつ、
– 成果と失敗事例のオープンな共有(「隠す文化」から「学び合う文化」へ)
– 業務フローや立場を越えたクロスファンクション型なぜなぜ分析
– 新人にもベテランにも「問う力」を育てる教育
– 管理職が率先してなぜなぜ分析の“問いの質”を高める
こうした組織づくりこそが、不良ゼロ・改善文化の根付いた未来工場への第一歩となるはずです。
まとめ:なぜなぜ分析は、現場知と組織成長の要
なぜなぜ分析は、もはや単なる帳票作業や“悪者探し”の儀式ではありません。
現場の知恵と現場発イノベーションへのファーストステップです。
アナログ色が抜けきらない製造現場だからこそ、なぜなぜ分析の質と運用を見直し、真の根本解決力と、現場横断的な思考を育てていくことがいっそう求められています。
製造業バイヤー志望の方、現場最前線で頑張る皆さん、サプライヤーの方々も、それぞれの立場で「なぜ?」を深掘りし、共に新しいものづくりの地平線を拓いていきましょう。
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