投稿日:2025年10月18日

プリント工程での静電吸着不良を防ぐ環境湿度と静電除去対策

はじめに:プリント工程での静電気トラブルの本質

プリント工程は、電子部品の製造やパッケージング現場など、多くの製造業工程にとって要となるプロセスです。

しかし、この繊細な工程には「静電気」という見過ごせない課題が潜んでいます。

特に静電気による吸着不良やミスプリントは、生産効率の低下や不良品の発生といった品質問題へ直結します。

本記事では、昭和世代からなかなか抜け出せないアナログな現場の特性もふまえつつ、現場目線でプリント工程の静電気対策、理想的な環境湿度の管理方法、具体的な静電除去手段について解説します。

調達・購買担当、新人バイヤー、サプライヤー側の関係者も必見です。

プリント工程と静電気の基礎知識

なぜプリント工程で静電気が発生するのか

プリント工程では基板やフィルム、部品、ペーストを高速で転送したり、搬送ベルトの上で滑らせたりします。

その摩擦による「帯電(たいでん)」は避けがたいものです。

また、乾燥した環境では絶縁体表面の微細なホコリやパーティクルも静電気に引き寄せられて付着しやすくなります。

結果、以下のようなトラブルが起きます。

– ワークの搬送時に静電吸着で位置ズレ
– 異物混入・付着による不良
– 不均一なインクやペーストの塗布
– 電子部品の突発的なリーク(放電)による破損

静電気問題は、生産ラインのスピードアップや自動化が進んだ今も現場に強く根付いている課題です。

アナログ現場が見逃しがちな兆候

昭和的な現場では、
「部品のくっつきや搬送時のズレ」「目に見えないパーティクル付着」などが経験知として語られます。

しかし、静電気が根本原因と論理的に解析できていないことが大半です。

これが「昭和から抜け出せない」プリント工程の落とし穴となっています。

静電吸着による“何か変だ”を、「湿度」「除電」「作業服」など多角的に分解し、数字で管理する眼が求められます。

環境湿度の管理が静電気不良を左右する

湿度が低いほど静電気トラブルが増える理由

湿度は現場の静電気発生量を大きく左右します。

乾燥している空気は絶縁性が高く、摩擦帯電した電荷が拡散せずに物体表面に残り続けやすいのです。

湿度が高ければ空気や表面の水分子が帯電した電荷を速やかに逃しやすくなります。

一般的には「湿度40%未満」になると途端に静電トラブルが多発する傾向にあります。

理想的な環境湿度の指標

プリント工程で推奨される環境湿度は「45%~60%」です。

– 40%を下回ると吸着不良・パーティクル付着などのリスクが顕在化
– 60%を超えると結露やカビ、原料や部品の保管・劣化の心配がでる

したがって、年間を通じてこのレンジ内を維持することが静電気抑制に最も効果的です。

特に冬季や梅雨明け~秋の季節変動時は注意が必要です。

湿度管理の現場ノウハウ

– 加湿器には「気化式」「超音波式」「スチーム式」などがあり、ランニングコスト・メンテナンス性を比較検討する
– 湿度センサーは測定位置・測定基準点の選定が重要。工程付近複数点で数値確認を
– 自動加湿制御や警報連携で異常値の際に迅速対応できる仕組みを構築
– 部材・原料の適切な保管場所やタイミング(湿度コントロール付き搬入室など)の工夫

日本の多くの既存工場には湿度管理が設備要件として不十分なケースが多いのが現状です。

現場に最適な投資検討をぜひ進めてください。

静電除去の実践的方法

基本は“帯電予防”と“即時除去”の両輪

静電対策は2つの方向があります。

1. 帯電しにくくする(予防)
2. 帯電したものを速やかに除電する(除去)

予防策としては、帯電防止剤処理、導電性ガイド、帯電防止素材のワーク使用、クリーンルーム用作業着や手袋の採用など。

除去策としては、除電器(イオナイザー・ブロア)、アース接地、定期的なワーク拭き取り…などが挙げられます。

現場で実際によく使われる静電除去装置

– 高圧イオナイザー(クリーンルームなどに適した除電ブロア・バー)
– タッチ型除電ガン(局所的な作業台やメンテナンス箇所に最適)
– フロアアースマット、導電性フットウェア(作業者の帯電防止)
– 粘着ローラーによる表面除去+帯電防止効果

それぞれの設備や作業内容に応じた除電装置・工法の適材適所が重要です。

投資判断のポイント

バイヤーや購買担当者の場合、静電除去装置導入時には
「イニシャルコスト」「消耗品費用」「メンテナンス頻度」「現場作業負荷」など多角的な視点でROIを評価する必要があります。

またサプライヤー側としても、「現場に本当にマッチした機種選定」「現場同席での現物トライアル導入」などの対応が、バイヤーからの信頼アップに直結します。

現場目線で進める静電気対策のチェックリスト

1. 現場の帯電量・湿度を見える化する

– 静電気測定器(表面電圧計・湿度計)の定期測定
– 稼働中・停止中の状況変化把握
– 不良発生時には工場全体で状況を横断的に比較検証

2. 作業者・管理者の教育を徹底

– 静電気発生のメカニズムや影響をロールプレイ形式で体験
– 「静電除去手順書」「湿度管理基準」などの明文化と掲示
– 定例ミーティングでの静電不良事例共有と再発防止案の立案

3. ソフトとハード両面からの持続的なアップデート

– 工場内の加湿・除湿能力やレイアウト変更を随時評価・改善
– 現状に不満を持ち、他社の成功事例や最新装置情報に敏感になる
– クレーム・不良解析データを累積し、現場主導で対策案をアップデート

サプライヤーからみた“バイヤーの静電気対策観点”

バイヤーは価格だけでなく、現場運用時の安定稼働・品質リスクを最重視します。

特に静電気に起因するトラブルは、
「現象が目に見えにくい」「責任の所在が曖昧」「不良が納品後に発生する」など、非常に厄介です。

優良なサプライヤーは、
「なぜこの工程で静電対策が必要か?」「どこまで工場で検証済みか?」といった現場のツボを押さえた説明と、バイヤーの課題共感力が必須です。

また、どうしても抜け落ちがちな“現場の声”や“小さい変化”を日報・社内共有しておくことも、信頼構築に役立ちます。

まとめ:プリント工程の静電吸着不良は「管理」で防げる

技術や設備が進化しても、静電気という“見えない敵”は現場の油断のスキマを突いてきます。

昭和的な経験知や場当たり的な対応から一歩踏み出し、「湿度管理」「静電気除去」「作業員教育」「データの見える化」など、四位一体での体制構築が生産現場の未来を切り拓きます。

この記事を通して、“現場こそが最先端の知恵と工夫の宝庫”ということを、各方面の方々へ届けられましたら幸いです。

製造業に携わるすべての方が、自信を持って「静電気不良ゼロ」のプリント工程を実現できますように。

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